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第30話 砂漠の国
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あれから二か月ほど移動し続けた。
この辺に来ると、モンスターも結構強いのが出てくるようになった。
闇雲に戦うだけではなく、遠くから強そうなモンスターが飛んでくる時は、地上へ下りてやり過ごしてから、また再び上空へ飛んで行くということを繰り返す日も多かった。
また、場合よると地上を通った方が安全なこともあったので、地上を歩いて移動することもあった。地上のモンスターもそれなりに強い。僕がメインで戦い、カルディさんやファードスさんが羽翼種三人の護りに徹することも増えていた。
そして、辿り着く街のギルドで、仕事の依頼を受けて報酬を受け取ったりもしていた。
これは、リーシャ達の食費・街での宿泊費・入国税で、僕達の所持金が減少しているのが理由だ。
そうやっている内に、辿り着いた国がある。ファーラーン国だ。
この国は、砂漠の中にあるが、街中に入ると活気に満ちていた。
人々は穏やかに笑いながら、商店の並ぶ通りを行き来している。食べ物屋も豊富で、この砂漠で、一体どうやってこれだけの食料を確保しているのか不思議だった。また、この国はどう見ても〝観光客〟が多い。
一体、皆は何を見に来ているのだろう?
これについては僕達がギルドを訪れることで、その理由が分かった。
ギルドで受付係の人が教えてくれた。
「この国には、過去のファーラーン王族が作ったピラミッドが複数あります。また、ピラミッドは守護者によって守られています。このような守護が必要になるのは、ピラミッド内部に、王家の秘宝が歴代の王と共に埋蔵されているためです。そして、この守護者に魔力を供給するために、ピラミッドの建設場所は魔素濃度の高い地域が選ばれます」
「それと、この国の物資の豊かさは何か関係があるのでしょうか?」
「はい。ピラミッド内部は様々な階層構造になっていまして、その各層に湖・森・草原と云った様々なダンジョンが形成されています。魔素濃度の高い地域にピラミッドが建てられたためです。ここから採取できる食べ物がこの国の主要な産業の礎となっております。過去の王家においては、現在のこの国に貢献するつもりでピラミッドを作ったわけではないはずですが、長い時を経るにつれて、結果、この国に恵みの雨を降らせることになったわけです」
「この国は観光で栄えているように見えます。そのピラミッドを見に来る人が多いのでしょうか?」
「はい。それもそうですが、他にも理由があります。砂漠にいるサウンドリバイアサンを見たいという方々が世界各国から訪れますね」
「サウンドリバイアサンとは何ですか?」
「リバイアサンは元々海にいる巨大な海獣で、細長く蛇のような胴体をしていますが、顔は龍のような形をしています。そしてこのリバイアサンの一部が陸上に上がって、この砂漠に適応して、住み着いたものがサウンドリバイアサンになります。世界有数の巨大生物の一つでしょう」
「それは危険ではないのですか?」
「サウンドリバイアサンからすると、私たちなど取るに足らない存在なので、襲ってくることはありませんね。あのレベルのモンスターになると、食事は、主に砂漠内に発生する魔素を吸引することになります。ですから、私たちが手を出さなければ襲われることはありません」
「私たちは砂漠を超えようとしています。超えるためにはどうやって移動すればいいのでしょうか? 空を飛んで行っても大丈夫でしょうか?」
「空を飛ぶのはお勧めできません。サウンドリバイアサンの子供に見つかって捕食されるかもしれません。あれは上空を飛んでいるモノを反射的に襲うことがあります。海中から、一気に上空へ飛び出して捕食してくる感じですね。ですから、この砂漠地帯を超えるには、皆は別の手段を取ります。
具体的にはシーバイクを貸し出しております。これは砂漠の上を高速で走ることができるバイクになります。これに乗って砂漠を超え、超えた場所でそのバイクを向こう側のギルドで返却してもらうことになります」
そう言われて、受付係の人に指を差された方向を見ると、バイクが置いてあった。
というか、水上バイクという感じだ。
試しにシーバイクを一台借りて、砂漠を訪れてみることにする。
なんで砂漠なのに水上バイクが置いてあるのか不思議に思ったが、これは砂漠に行ってみてその理由が分かった。
そこは、砂漠と云われていたが、違った。海だった。
厳密には砂漠なのだが、砂が海の様に波になってこちらへ押し寄せてくるのだ。遠くを見ると大きな波が出来ていて、その大波に乗ってサーフィンを楽しんでいる人達がいる。
どうやら、この砂漠の砂は、魔素の影響を受けているらしく、限りなく水に近い性質があるようだ。だから、サウンドリバイアサンの祖先はこの砂漠に定住することにしたのだろう。
まず、僕がバイクに乗ってみることにした。
ブオン、という甲高い音共にエンジンが掛かる。乗ってみると、ドッドッドッとエンジン音がしている。振動が心地いい。
「じゃあ、ちょっと乗ってみますので皆さんは待っていてください」
そう言って、海に向かって走り出した。
時速五十キロ程度で走り出して、それから百キロまで速度を上げる。
最高時速は三百キロメートルまでいけるそうだ。
波に向かって走るので、大きい波にぶつかると、バイクごとジャンプしてしまう。ただ、面白い。シーバイクで、色々走行を試してみたが、正直、先を急ぐよりはこれで遊んでから次の街を目指したくなった。
カルディさん達の所へ戻った。
ビルドが騒ぐ。
「次は俺だ」
ビルドは僕からシーバイクを引っ手繰ると、そのまま乗って行ってしまった。
見ていると、ガンガン乗り回している。ビルドは運動神経が良さそうだ。
カルディさんが話し掛けてきた。
「楽しそうだね。私も乗ってみたい」
「僕も試してみましたが、かなり面白いですよ。この国に少し滞在して遊んで行きたいくらいですね」
「別にいいんじゃないかな。私たちの旅は最終的に人族の国へ行けばいい。急がなければいけないわけじゃない」
「じゃあ、皆で少しこの国に滞在してみますか?」
そう言って、リーシャやセリサ、ファードスさんの方を見てみた
三人とも笑っている。ファードスさんはこの手の乗り物が得意そうだ。
ビルドが中々帰って来ないので、結局、全員分の水上バイクを借りることになった。
そして、皆で乗り回す。
予想通り、ファードスさんはバイクの運転がうまかった。あっという間に乗りこなして、遠くの方の大波へ向かっていく。おそらくそのうち、サーフィンも始めるだろうと思われる。
カルディさんも楽しそうだ。あの人は僕達のパーティでは一番大人びているが、今日ばかりは普段あまり見せないような表情をしている。
セリサも運動神経がいいようだ。最初は苦戦したようだが、あっという間に乗りこなしていく。
が、リーシャは運動神経があまり良くなかった。
乗れないわけではないのだが、あまりうまく乗りこなせていない感じがする。ただ、しばらく僕が近くで一緒に乗り方のアドバイスをしてあげたところ、乗りこなせるようになった。極端に大きい波でなければひっくり返ることはないだろう。
その日は結局日が沈むまで、皆シーバイクで遊びまわってしまった。
そして、ホテルに泊まることにして、皆で話し合うことになった。
ビルドが皆に提案をしてくる。
「俺は、当分ここで遊んで行くべきだと思いますね」
セリサもビルドに加勢していく。
「私も賛成だわ。せっかく海に来たようなわけだし、何も先を急がなくてもいいわね」
ファードスさんも頷いている。カルディさんが、僕とシリィが嬉しそうにしているのを見て総括した。
「じゃあ、ここで遊んで行こう。気が向けば次の街を目指せばいい」
そう言うと、ビルドとセリサがハイタッチしている。
そして、カルディさんはビールを飲みながら、僕に話をしてきた。
「この街は観光立国だけあって、治安はいいようだ。人攫いの類は発生しないらしい。あと、ギルドで面白い話を聞いた。多分、マサキ君向きだ」
「何でしょうか?」
「ピラミッドの中心には王家の秘宝が眠っている。そのようなピラミッドは百個近くあるそうだ。そして、現在のファーラーン国家はこれを発掘したいらしい。財宝を国家財源に当てたいのと、加えて、過去の財宝を学術的な意味で検証したいらしい。が、発掘する際に一つの問題がある」
そう言って、カルディさんは僕をみてニコニコしている。少し酔っているのかもしれない。カルディさんがそう言うので、僕向きという意味を考えてみる。
が、もちろん、すぐ思い足る節があった。
「王家の財宝を護っている者がいるとギルドで説明されていました。そして、その守護者は財宝を発掘する際に邪魔になります。その守護者を倒せる者を探しているのではないでしょうか?」
カルディさんが僕を指差す。
「正解だ。ピラミッドの守護者を倒せる者をギルドは募集している。厳密には、守護者を倒そうと思えば倒すことはできる。が、それをやると、以前の羽翼種のダンジョンと同じで、広範囲魔法でピラミッドごと崩れてしまう可能性が高い。だから、ギルドは接近戦が強い者を、守護者を討伐する者として募集しているそうだ。守護者を撃破出来たピラミッドもあるが、出来ていないピラミッドもある。そして、もうこの数百年、大勢の武芸者が挑んだが、撃破出来ていないピラミッドがある。どうだい?」
僕はニヤッとしてしまった。
「もちろんやります」
「そう言うと思った。だから、先ほど水上バイクを返しに行くついでに、君がピラミッドに入れるようにギルドに申請しておいたよ。時間がある時にピラミッドに行ってみるといい」
すると、ビルドがここで話に割り込んできた。
「せっかくだから、僕達もピラミッドに行ってみませんか? 今回、この街には観光で滞在するわけですし、だったらピラミッド内部に行ってみるのも面白いと思うのですが」
「あー、それいいわ。私もビルドの案に賛成」
今日はビルドとセリサの相性がいいようだ。別に普段も悪いわけではないが。
カルディさんはビールをさらにぐびっと飲んでから答えた。
「そうだね。じゃあ、マサキ君が守護者の討伐に向かう時に、私達も一緒にピラミッドに行ってみようか」
それから一週間は皆、海で遊び続けた。
海なので、リーシャ達は水着を買っていた。ただ、背中の羽が見えてしまうので水着の上に一枚パーカーのようなものを羽織っていた。リーシャ達は流石に普段それほど激しい運動をしていないので、途中で筋肉痛が激しくなって休んでいる日もあった。
ただ、ビルドは筋肉痛を押して海に出続けていた。が、ちょうど七日目で、足が完全にパンパンになってしまいダウンしてしまった。そりゃそうだ……。
そうして、さらに一週間ほど遊びまくった後、僕達はピラミッドを目指すことになるのであった。
この辺に来ると、モンスターも結構強いのが出てくるようになった。
闇雲に戦うだけではなく、遠くから強そうなモンスターが飛んでくる時は、地上へ下りてやり過ごしてから、また再び上空へ飛んで行くということを繰り返す日も多かった。
また、場合よると地上を通った方が安全なこともあったので、地上を歩いて移動することもあった。地上のモンスターもそれなりに強い。僕がメインで戦い、カルディさんやファードスさんが羽翼種三人の護りに徹することも増えていた。
そして、辿り着く街のギルドで、仕事の依頼を受けて報酬を受け取ったりもしていた。
これは、リーシャ達の食費・街での宿泊費・入国税で、僕達の所持金が減少しているのが理由だ。
そうやっている内に、辿り着いた国がある。ファーラーン国だ。
この国は、砂漠の中にあるが、街中に入ると活気に満ちていた。
人々は穏やかに笑いながら、商店の並ぶ通りを行き来している。食べ物屋も豊富で、この砂漠で、一体どうやってこれだけの食料を確保しているのか不思議だった。また、この国はどう見ても〝観光客〟が多い。
一体、皆は何を見に来ているのだろう?
これについては僕達がギルドを訪れることで、その理由が分かった。
ギルドで受付係の人が教えてくれた。
「この国には、過去のファーラーン王族が作ったピラミッドが複数あります。また、ピラミッドは守護者によって守られています。このような守護が必要になるのは、ピラミッド内部に、王家の秘宝が歴代の王と共に埋蔵されているためです。そして、この守護者に魔力を供給するために、ピラミッドの建設場所は魔素濃度の高い地域が選ばれます」
「それと、この国の物資の豊かさは何か関係があるのでしょうか?」
「はい。ピラミッド内部は様々な階層構造になっていまして、その各層に湖・森・草原と云った様々なダンジョンが形成されています。魔素濃度の高い地域にピラミッドが建てられたためです。ここから採取できる食べ物がこの国の主要な産業の礎となっております。過去の王家においては、現在のこの国に貢献するつもりでピラミッドを作ったわけではないはずですが、長い時を経るにつれて、結果、この国に恵みの雨を降らせることになったわけです」
「この国は観光で栄えているように見えます。そのピラミッドを見に来る人が多いのでしょうか?」
「はい。それもそうですが、他にも理由があります。砂漠にいるサウンドリバイアサンを見たいという方々が世界各国から訪れますね」
「サウンドリバイアサンとは何ですか?」
「リバイアサンは元々海にいる巨大な海獣で、細長く蛇のような胴体をしていますが、顔は龍のような形をしています。そしてこのリバイアサンの一部が陸上に上がって、この砂漠に適応して、住み着いたものがサウンドリバイアサンになります。世界有数の巨大生物の一つでしょう」
「それは危険ではないのですか?」
「サウンドリバイアサンからすると、私たちなど取るに足らない存在なので、襲ってくることはありませんね。あのレベルのモンスターになると、食事は、主に砂漠内に発生する魔素を吸引することになります。ですから、私たちが手を出さなければ襲われることはありません」
「私たちは砂漠を超えようとしています。超えるためにはどうやって移動すればいいのでしょうか? 空を飛んで行っても大丈夫でしょうか?」
「空を飛ぶのはお勧めできません。サウンドリバイアサンの子供に見つかって捕食されるかもしれません。あれは上空を飛んでいるモノを反射的に襲うことがあります。海中から、一気に上空へ飛び出して捕食してくる感じですね。ですから、この砂漠地帯を超えるには、皆は別の手段を取ります。
具体的にはシーバイクを貸し出しております。これは砂漠の上を高速で走ることができるバイクになります。これに乗って砂漠を超え、超えた場所でそのバイクを向こう側のギルドで返却してもらうことになります」
そう言われて、受付係の人に指を差された方向を見ると、バイクが置いてあった。
というか、水上バイクという感じだ。
試しにシーバイクを一台借りて、砂漠を訪れてみることにする。
なんで砂漠なのに水上バイクが置いてあるのか不思議に思ったが、これは砂漠に行ってみてその理由が分かった。
そこは、砂漠と云われていたが、違った。海だった。
厳密には砂漠なのだが、砂が海の様に波になってこちらへ押し寄せてくるのだ。遠くを見ると大きな波が出来ていて、その大波に乗ってサーフィンを楽しんでいる人達がいる。
どうやら、この砂漠の砂は、魔素の影響を受けているらしく、限りなく水に近い性質があるようだ。だから、サウンドリバイアサンの祖先はこの砂漠に定住することにしたのだろう。
まず、僕がバイクに乗ってみることにした。
ブオン、という甲高い音共にエンジンが掛かる。乗ってみると、ドッドッドッとエンジン音がしている。振動が心地いい。
「じゃあ、ちょっと乗ってみますので皆さんは待っていてください」
そう言って、海に向かって走り出した。
時速五十キロ程度で走り出して、それから百キロまで速度を上げる。
最高時速は三百キロメートルまでいけるそうだ。
波に向かって走るので、大きい波にぶつかると、バイクごとジャンプしてしまう。ただ、面白い。シーバイクで、色々走行を試してみたが、正直、先を急ぐよりはこれで遊んでから次の街を目指したくなった。
カルディさん達の所へ戻った。
ビルドが騒ぐ。
「次は俺だ」
ビルドは僕からシーバイクを引っ手繰ると、そのまま乗って行ってしまった。
見ていると、ガンガン乗り回している。ビルドは運動神経が良さそうだ。
カルディさんが話し掛けてきた。
「楽しそうだね。私も乗ってみたい」
「僕も試してみましたが、かなり面白いですよ。この国に少し滞在して遊んで行きたいくらいですね」
「別にいいんじゃないかな。私たちの旅は最終的に人族の国へ行けばいい。急がなければいけないわけじゃない」
「じゃあ、皆で少しこの国に滞在してみますか?」
そう言って、リーシャやセリサ、ファードスさんの方を見てみた
三人とも笑っている。ファードスさんはこの手の乗り物が得意そうだ。
ビルドが中々帰って来ないので、結局、全員分の水上バイクを借りることになった。
そして、皆で乗り回す。
予想通り、ファードスさんはバイクの運転がうまかった。あっという間に乗りこなして、遠くの方の大波へ向かっていく。おそらくそのうち、サーフィンも始めるだろうと思われる。
カルディさんも楽しそうだ。あの人は僕達のパーティでは一番大人びているが、今日ばかりは普段あまり見せないような表情をしている。
セリサも運動神経がいいようだ。最初は苦戦したようだが、あっという間に乗りこなしていく。
が、リーシャは運動神経があまり良くなかった。
乗れないわけではないのだが、あまりうまく乗りこなせていない感じがする。ただ、しばらく僕が近くで一緒に乗り方のアドバイスをしてあげたところ、乗りこなせるようになった。極端に大きい波でなければひっくり返ることはないだろう。
その日は結局日が沈むまで、皆シーバイクで遊びまわってしまった。
そして、ホテルに泊まることにして、皆で話し合うことになった。
ビルドが皆に提案をしてくる。
「俺は、当分ここで遊んで行くべきだと思いますね」
セリサもビルドに加勢していく。
「私も賛成だわ。せっかく海に来たようなわけだし、何も先を急がなくてもいいわね」
ファードスさんも頷いている。カルディさんが、僕とシリィが嬉しそうにしているのを見て総括した。
「じゃあ、ここで遊んで行こう。気が向けば次の街を目指せばいい」
そう言うと、ビルドとセリサがハイタッチしている。
そして、カルディさんはビールを飲みながら、僕に話をしてきた。
「この街は観光立国だけあって、治安はいいようだ。人攫いの類は発生しないらしい。あと、ギルドで面白い話を聞いた。多分、マサキ君向きだ」
「何でしょうか?」
「ピラミッドの中心には王家の秘宝が眠っている。そのようなピラミッドは百個近くあるそうだ。そして、現在のファーラーン国家はこれを発掘したいらしい。財宝を国家財源に当てたいのと、加えて、過去の財宝を学術的な意味で検証したいらしい。が、発掘する際に一つの問題がある」
そう言って、カルディさんは僕をみてニコニコしている。少し酔っているのかもしれない。カルディさんがそう言うので、僕向きという意味を考えてみる。
が、もちろん、すぐ思い足る節があった。
「王家の財宝を護っている者がいるとギルドで説明されていました。そして、その守護者は財宝を発掘する際に邪魔になります。その守護者を倒せる者を探しているのではないでしょうか?」
カルディさんが僕を指差す。
「正解だ。ピラミッドの守護者を倒せる者をギルドは募集している。厳密には、守護者を倒そうと思えば倒すことはできる。が、それをやると、以前の羽翼種のダンジョンと同じで、広範囲魔法でピラミッドごと崩れてしまう可能性が高い。だから、ギルドは接近戦が強い者を、守護者を討伐する者として募集しているそうだ。守護者を撃破出来たピラミッドもあるが、出来ていないピラミッドもある。そして、もうこの数百年、大勢の武芸者が挑んだが、撃破出来ていないピラミッドがある。どうだい?」
僕はニヤッとしてしまった。
「もちろんやります」
「そう言うと思った。だから、先ほど水上バイクを返しに行くついでに、君がピラミッドに入れるようにギルドに申請しておいたよ。時間がある時にピラミッドに行ってみるといい」
すると、ビルドがここで話に割り込んできた。
「せっかくだから、僕達もピラミッドに行ってみませんか? 今回、この街には観光で滞在するわけですし、だったらピラミッド内部に行ってみるのも面白いと思うのですが」
「あー、それいいわ。私もビルドの案に賛成」
今日はビルドとセリサの相性がいいようだ。別に普段も悪いわけではないが。
カルディさんはビールをさらにぐびっと飲んでから答えた。
「そうだね。じゃあ、マサキ君が守護者の討伐に向かう時に、私達も一緒にピラミッドに行ってみようか」
それから一週間は皆、海で遊び続けた。
海なので、リーシャ達は水着を買っていた。ただ、背中の羽が見えてしまうので水着の上に一枚パーカーのようなものを羽織っていた。リーシャ達は流石に普段それほど激しい運動をしていないので、途中で筋肉痛が激しくなって休んでいる日もあった。
ただ、ビルドは筋肉痛を押して海に出続けていた。が、ちょうど七日目で、足が完全にパンパンになってしまいダウンしてしまった。そりゃそうだ……。
そうして、さらに一週間ほど遊びまくった後、僕達はピラミッドを目指すことになるのであった。
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