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本編
最終話 的中率十割の予知姫
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子育ては思った以上に大変だった。私はあまり母乳が出ない体質だった。
すぐにミルクへ切り替えた。それでも新生児には三時間おきにミルクを飲ませないといけない。おむつも頻繁に替えないと肌が痛んでしまう。
夜中でも三時間おきだ。私は多少、産後鬱になった。
そんな私を気遣って、征士くんは夜中でも、私に代わりミルクを与え、おむつも替えた。寝かしつけもよく子守り歌を歌っていた。
♦ ♦ ♦
三か月程経ち、少し落ち着いてくると、友達や先輩が出産お祝いに来てくれた。首が据わっていないので、皆おっかなびっくり抱き上げる。
「ちーちゃん。弥生お姉さんが、お洋服持ってきたよ」
「玲子お姉さんは、小さなうさぎさんや、きりんさんのぬいぐるみよ」
深見くんと志野谷さんと山井さんが来て、共同でおむつケーキをプレゼントしてくれた。若竹兄弟も連れ立ってやってきた。
「俺からはスタイです。兄はテニスボールを持ってきました」
「若竹くん、テニスボールなんて球、どうするのよ」
「だって、ちーちゃん、英才教育しないといけないじゃねえか。いつか試合して、そして俺が勝つ!」
「若竹先輩、テニスで僕に勝てなかったからといって、ちーちゃん相手にするのは理不尽です」
♦ ♦ ♦
育休も終わり、知乃は豊永さんに預けてまた働きに出た。店長と宮西さんが、子ども用の靴を何足かお祝いにくれた。
「また頑張って働けよ。征士は学校へ行って、徹夜で子育てしながら、アルバイトもしていたんだからな」
「はい。仕事、頑張ります」
♦ ♦ ♦
月日は流れて、知乃は四歳になっていた。顔立ちは征士くんに似ていて可愛らしく、物覚えも非常に早い。ある日、私と征士くんと三人でテレビを観ていると、知乃が指差した。
「おかあさま。このマークがついているたてものが、すごくおおきなたてものになったゆめをみたよ」
私と征士くんは顔を見合わせた。私が予知夢を視るようになったのは十歳くらいだった。しばらく様子を見ていると、本当にその会社は大幅に業績を伸ばした。
知乃は夢を視ると、私達へ報告してくる。全く外れない。
父にその話をすると、喜んで知乃へ色々な会社のマークを見せていた。
「おじいさま。このマークのついているものが、すごくたくさん、おみせでうれているゆめをみたよ」
「そうか、ちーちゃん。ではこのマークの会社の株を買ってみよう」
知乃が何回夢を視ても必ず当たる。的中率九割どころの話ではない。まさに百発百中だ。
私がまた産休を取って本を読んでいると、知乃が部屋へ入ってきた。今日は征士くんもお休みで、経済雑誌を読んでいる。
「おとうさま、おかあさま。わたし、またゆめをみたよ」
知乃の言葉に本を読むのをやめて近寄った。征士くんも経済雑誌を置いて、私の側へ来た。
「どんな夢を視たの?」
私が問いかけると、知乃は口を開いた。何だろう。お腹の中の子どもの性別でも当てるのか。
「あのね。おとうさまとおかあさまが、おじいちゃんとおばあちゃんになっているゆめなの。とてもたのしそうで、おとうさまがおかあさまのほっぺに、ちゅっとしているのよ」
征士くんはそれを聞いて、ものすごく幸せそうに笑った。
「知乃。その夢は絶対当たっているよ。だって僕と月乃さんは、こんなに愛し合っているからね!」
それはもう蕩けそうな笑顔で、征士くんは私に深く口付けた。
すぐにミルクへ切り替えた。それでも新生児には三時間おきにミルクを飲ませないといけない。おむつも頻繁に替えないと肌が痛んでしまう。
夜中でも三時間おきだ。私は多少、産後鬱になった。
そんな私を気遣って、征士くんは夜中でも、私に代わりミルクを与え、おむつも替えた。寝かしつけもよく子守り歌を歌っていた。
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三か月程経ち、少し落ち着いてくると、友達や先輩が出産お祝いに来てくれた。首が据わっていないので、皆おっかなびっくり抱き上げる。
「ちーちゃん。弥生お姉さんが、お洋服持ってきたよ」
「玲子お姉さんは、小さなうさぎさんや、きりんさんのぬいぐるみよ」
深見くんと志野谷さんと山井さんが来て、共同でおむつケーキをプレゼントしてくれた。若竹兄弟も連れ立ってやってきた。
「俺からはスタイです。兄はテニスボールを持ってきました」
「若竹くん、テニスボールなんて球、どうするのよ」
「だって、ちーちゃん、英才教育しないといけないじゃねえか。いつか試合して、そして俺が勝つ!」
「若竹先輩、テニスで僕に勝てなかったからといって、ちーちゃん相手にするのは理不尽です」
♦ ♦ ♦
育休も終わり、知乃は豊永さんに預けてまた働きに出た。店長と宮西さんが、子ども用の靴を何足かお祝いにくれた。
「また頑張って働けよ。征士は学校へ行って、徹夜で子育てしながら、アルバイトもしていたんだからな」
「はい。仕事、頑張ります」
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月日は流れて、知乃は四歳になっていた。顔立ちは征士くんに似ていて可愛らしく、物覚えも非常に早い。ある日、私と征士くんと三人でテレビを観ていると、知乃が指差した。
「おかあさま。このマークがついているたてものが、すごくおおきなたてものになったゆめをみたよ」
私と征士くんは顔を見合わせた。私が予知夢を視るようになったのは十歳くらいだった。しばらく様子を見ていると、本当にその会社は大幅に業績を伸ばした。
知乃は夢を視ると、私達へ報告してくる。全く外れない。
父にその話をすると、喜んで知乃へ色々な会社のマークを見せていた。
「おじいさま。このマークのついているものが、すごくたくさん、おみせでうれているゆめをみたよ」
「そうか、ちーちゃん。ではこのマークの会社の株を買ってみよう」
知乃が何回夢を視ても必ず当たる。的中率九割どころの話ではない。まさに百発百中だ。
私がまた産休を取って本を読んでいると、知乃が部屋へ入ってきた。今日は征士くんもお休みで、経済雑誌を読んでいる。
「おとうさま、おかあさま。わたし、またゆめをみたよ」
知乃の言葉に本を読むのをやめて近寄った。征士くんも経済雑誌を置いて、私の側へ来た。
「どんな夢を視たの?」
私が問いかけると、知乃は口を開いた。何だろう。お腹の中の子どもの性別でも当てるのか。
「あのね。おとうさまとおかあさまが、おじいちゃんとおばあちゃんになっているゆめなの。とてもたのしそうで、おとうさまがおかあさまのほっぺに、ちゅっとしているのよ」
征士くんはそれを聞いて、ものすごく幸せそうに笑った。
「知乃。その夢は絶対当たっているよ。だって僕と月乃さんは、こんなに愛し合っているからね!」
それはもう蕩けそうな笑顔で、征士くんは私に深く口付けた。
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