【完結】彼は皇帝なので、彼女は薬師として尽くすことにしました。

朝日みらい

文字の大きさ
23 / 40

23. 戦後の再会 

しおりを挟む
戦争が終わった。

やっと、この言葉を口にできるなんて、信じられないくらいだった。

戦場での死闘が続く中、毎日が不安で、毎晩、布団の中で目を閉じると、アラクシウスの顔を思い出しては涙を流していた。

無事に帰ってくるという約束を胸に、私は待ち続けた。

でも、あんなにも遠く感じた日々が、ようやく終わったんだ。

「アラクシウス……!」

私が城の広間に入ると、目の前に、少し疲れた顔の彼が立っていた。

まるで夢のように、あの男らしい姿がそこにあった。

体は少し痩せて、顔には無数の傷が残っているけれど、その瞳は変わらず、私を見つめている。

「エリナ、無事だったか?」

その声が聞こえた瞬間、私は足が動かなくなって、ただ立ち尽くしてしまった。

涙が溢れてきて、思わず手で顔を覆う。

「もう、ダメだ……! なんで、こんなに涙が止まらないのよ、私!」

彼が一歩、私に近づいてきて、手を伸ばしてきた。

その手を取ると、私の涙がますます溢れ出てきて、彼の胸に顔を埋めてしまった。

「泣くなよ。泣くほどのことじゃないだろう。」

アラクシウスが優しく言ってくれるんだけど、私の涙は止まらない。

だって、彼が無事に帰ってきたってことが、私にとってどれほど大切か、どうしても伝えきれない。

「あなたが無事でいてくれることが、こんなにも大事だったんだって、今、実感してるんだから…。」

私は顔を上げて、彼を見つめる。

彼の瞳も、どこか優しく、そして、少しだけ私を心配しているようだった。

「俺は、ただ帰ってきただけだよ。」

でも、彼がそう言っても、私はその言葉を簡単には受け入れられなかった。

だって、彼は私のために戦ってくれたんだと、心の中で何度も感じてきたから。

「でも、それでも、ありがとう。」

私は静かにそう言って、今度は彼に微笑む。

その瞬間、アラクシウスが少し照れたように顔を赤くして、私の髪をそっと撫でてきた。

「そんな顔をしてると、ますます可愛くなるからやめてくれ。」

その言葉に、私はちょっと驚いたけれど、同時に胸が温かくなった。

ああ、やっぱり、私はこの人に支えられているんだ。

アラクシウスは、私の一番大切な存在だ。

「そんなこと言われると、また泣きそうになるじゃない……!」

私がそう言うと、アラクシウスはさらに近づいてきて、今度は私の顔を両手で包み込んだ。

「泣きすぎだろ、お前。そんなに泣かせたら、俺だって泣けてくるだろう。」

「いいもん! だって、あなたが帰ってきたんだから!」

私が言うと、アラクシウスは苦笑しながらも、私の涙をそっと拭ってくれる。

そして、優しく言った。

「君が元気でいてくれたから、俺も帰れたんだよ。だから、もう泣かないでくれ。」

その言葉に、私はもう何も言えなかった。

だって、彼が帰ってきてくれたこと、それが私にとって何よりの幸せだから。

アラクシウスが私を強く抱きしめる。

私はその胸の中で、彼の温かさを感じながら、ようやく心の中で安心した。

「これから、どうなるんだろうね?」

私は少し離れて、彼を見上げた。

アラクシウスも、少し考えるように空を見上げて、ふと笑顔を浮かべた。

「これからも、二人で一緒だろ。」

その言葉に、私はドキッとした。でも、心の中で、それがどんなに心強いことか、分かっていた。

「これからも、一緒にいようね。」

私はその言葉を、少し照れくさく、でもしっかりと伝えた。

アラクシウスはにっこりと笑って、私の手を握り返した。

「もちろんだ。お前が俺の側にいてくれる限り、俺は何だってできる。」

そして、再び彼が私を引き寄せて、今度は唇に優しいキスをくれた。

そのキスは、言葉にできないほどの温かさと安心感を与えてくれた。

「待っててくれたんだな、ずっと。」

「もちろんよ。あなたが戻ってくるのを、どれだけ楽しみにしてたか…。」

彼と私は、もう一度、心を通わせた。その瞬間、すべての不安が消え去り、これからの未来に向けて、二人で歩んでいけることを確信した。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

皆様ありがとう!今日で王妃、やめます!〜十三歳で王妃に、十八歳でこのたび離縁いたしました〜

百門一新
恋愛
セレスティーヌは、たった十三歳という年齢でアルフレッド・デュガウスと結婚し、国王と王妃になった。彼が王になる多には必要な結婚だった――それから五年、ようやく吉報がきた。 「君には苦労をかけた。王妃にする相手が決まった」 ということは……もうつらい仕事はしなくていいのねっ? 夫婦だと偽装する日々からも解放されるのね!? ありがとうアルフレッド様! さすが私のことよく分かってるわ! セレスティーヌは離縁を大喜びで受け入れてバカンスに出かけたのだが、夫、いや元夫の様子が少しおかしいようで……? サクッと読める読み切りの短編となっていります!お楽しみいただけましたら嬉しく思います! ※他サイト様にも掲載

最弱白竜ですが、なぜか学園最強の銀竜に番認定されました

斉藤めめめ
恋愛
竜の血を引く者だけが貴族になれるこの世界で、白竜は最も格の低い竜の証。 白竜の男爵令嬢リーゼロッテは、特待生として国内最高峰の王立竜騎学園に入学する。待っていたのは上位貴族からの蔑みと、学園を支配する四人の御曹司「四竜」。 その筆頭、銀竜公爵家の嫡男ルシアンに初日から啖呵を切ったリーゼは、いじめと嫉妬の嵐に巻き込まれていく。 それでも彼女は媚びない、逃げない、折れない。 やがてルシアンはリーゼから目が離せなくなり―― 白竜の少女が、学園と王国の運命を変える。 身分差×竜×学園ラブファンタジー、開幕。

お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。 嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。 「居なくていいなら、出ていこう」 この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし

夫から『お前を愛することはない』と言われたので、お返しついでに彼のお友達をお招きした結果。

古森真朝
ファンタジー
 「クラリッサ・ベル・グレイヴィア伯爵令嬢、あらかじめ言っておく。  俺がお前を愛することは、この先決してない。期待など一切するな!」  新婚初日、花嫁に真っ向から言い放った新郎アドルフ。それに対して、クラリッサが返したのは―― ※ぬるいですがホラー要素があります。苦手な方はご注意ください。

【完結】ひとつだけ、ご褒美いただけますか?――没落令嬢、氷の王子にお願いしたら溺愛されました。

猫屋敷むぎ
恋愛
没落伯爵家の娘の私、ノエル・カスティーユにとっては少し眩しすぎる学院の舞踏会で―― 私の願いは一瞬にして踏みにじられました。 母が苦労して買ってくれた唯一の白いドレスは赤ワインに染められ、 婚約者ジルベールは私を見下ろしてこう言ったのです。 「君は、僕に恥をかかせたいのかい?」 まさか――あの優しい彼が? そんなはずはない。そう信じていた私に、現実は冷たく突きつけられました。 子爵令嬢カトリーヌの冷笑と取り巻きの嘲笑。 でも、私には、味方など誰もいませんでした。 ただ一人、“氷の王子”カスパル殿下だけが。 白いハンカチを差し出し――その瞬間、止まっていた時間が静かに動き出したのです。 「……ひとつだけ、ご褒美いただけますか?」 やがて、勇気を振り絞って願った、小さな言葉。 それは、水底に沈んでいた私の人生をすくい上げ、 冷たい王子の心をそっと溶かしていく――最初の奇跡でした。 没落令嬢ノエルと、孤独な氷の王子カスパル。 これは、そんなじれじれなふたりが“本当の幸せを掴むまで”のお話です。 ※全10話+番外編・約2.5万字の短編。一気読みもどうぞ ※わんこが繋ぐ恋物語です ※因果応報ざまぁ。最後は甘く、後味スッキリ

初夜に暴言を吐いた夫は後悔し続ける──10年後の償い【完結】

星森 永羽(ほしもりとわ)
恋愛
王命により、辺境伯ロキアのもとへ嫁いだのは、金髪翠眼の美しき公爵令嬢スフィア。 だが、初夜に彼が告げたのは、愛も権限も与えないという冷酷な宣言だった。噂に踊らされ、彼女を「穢れた花嫁」と罵ったロキア。 しかし、わずか一日でスフィアは姿を消し、教会から届いたのは婚姻無効と慰謝料請求の書状──。 王と公爵の怒りを買ったロキアは、爵位も領地も名誉も奪われ、ただの補佐官として生きることに。 そして十年後、運命のいたずらか、彼は被災地で再びスフィアと出会う。 地位も捨て、娘を抱えて生きる彼女の姿に、ロキアの胸に去来するのは、悔恨と赦しを乞う想い──。 ⚠️本作はAIの生成した文章を一部に使用しています。

完結 辺境伯様に嫁いで半年、完全に忘れられているようです   

ヴァンドール
恋愛
実家でも忘れられた存在で 嫁いだ辺境伯様にも離れに追いやられ、それすら 忘れ去られて早、半年が過ぎました。

白い結婚だったので、勝手に離婚しました。何か問題あります?

夢窓(ゆめまど)
恋愛
「――離婚届、受理されました。お疲れさまでした」 教会の事務官がそう言ったとき、私は心の底からこう思った。 ああ、これでようやく三年分の無視に終止符を打てるわ。 王命による“形式結婚”。 夫の顔も知らず、手紙もなし、戦地から帰ってきたという噂すらない。 だから、はい、離婚。勝手に。 白い結婚だったので、勝手に離婚しました。 何か問題あります?

処理中です...