【完結】婚約破棄され下級メイドになり、獣人王子(猫)の世話係に抜擢されました。

朝日みらい

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(9)メイド仲間との交流と秘密の噂

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王宮のメイドたちの間で、アメリアが満月の夜に王子の部屋へ向かっているという噂が、ささやかれるようになりました。

普段から穏やかで真面目なアメリアの人柄を知っている者たちは、彼女がそんな大胆な行動に出るとは思っていなかったものの、満月の夜に王子の寝室に向かう姿を目撃したという話は、あっという間に広まりました。

「アメリアさんって、そんなに大胆な人だったのかしら…?」と、ひそひそ声で噂を始めた者もいれば、

「いや、彼女がそんなことをするなんて、ちょっと信じられないわよ。でも、満月の夜になると、決まって王子の部屋に行っているって聞いたわ」と、驚きと好奇心を隠せない者もいました。

その噂に反して、アメリア自身はまったく気にしていない様子で、毎月の満月の夜に王子の部屋を訪れる時間を楽しみにしていました。

王子との秘密のひとときは、彼女にとって何物にも代えがたい癒しの時間だったからです。

王子が猫の姿で待っているのを想像するだけで、心が弾みました。


そして、月日は流れ、満月の夜が続くうちに、王子の変化も徐々に現れました。

最初は、アメリアが膝を貸してくれることに少し戸惑っていた王子ですが、次第にその時間を楽しみにするようになり、毎回リラックスした様子でアメリアの膝に身を寄せるようになりました。

猫の姿で甘える王子に、アメリアも次第に慣れ、その姿が愛おしく感じるようになっていました。

ある夜、いつものようにアメリアの膝に収まってゴロゴロと喉を鳴らしていた王子は、突然、ふっとため息をつきました。

「…私は、ただの王家の一員ではなく、誰かにとって“普通の人”でありたかった。君の前では、私がただの猫であるように。」

王子は、少し寂しげにそう言いました。

その言葉には、普段の冷徹な王子とは違う、どこか孤独な心情が滲み出ていました。

アメリアは優しく王子の背を撫でながら、柔らかく微笑みました。

「王子殿下、猫であっても人であっても、あなたがあなたであることには変わりません。それが、私にとって何よりも尊いことですから。」

彼女の言葉は、優しさと温もりに満ちていて、王子の心に深く響いたようでした。

その瞬間、王子は一瞬目を丸くして、驚いたようにアメリアを見つめました。

まるで自分が今まで感じたことのないような感動を覚えたかのように、彼の目には優しい光が宿っていました。

「…アメリア、君は変わっているな。だが、その変わり者の君と出会えたことに、私は少し感謝している。」

王子の声には、以前の冷徹さはまるでなく、柔らかな温もりが感じられました。

アメリアは、そんな王子の言葉に思わずにっこりと微笑みました。

「いえ、私はただ、王子殿下が安心して過ごせる場所を作りたかっただけです。」

その言葉とともに、彼女は優しく王子の背中を撫で続けました。

その優しさに包まれるように、王子は安らかに目を閉じて、深い眠りに落ちていきました。


その夜も、王子の喉から響くゴロゴロの音が心地よく響き、アメリアはその音に包まれて、幸せそうに微笑んでいました。

二人の間に流れる時間は、まるで魔法のように穏やかで温かなものでした。


その後も毎月の満月の夜、アメリアは王子のもとを訪れ、王子は満足げに膝に乗り、ゴロゴロと喉を鳴らし続けました。

アメリアが膝を差し出すたび、王子は嬉しそうに甘え、彼女の手を撫でられるのを楽しみにしていました。

ある日、アメリアがふと王子の髪を撫でると、「もっと撫でてくれ」と甘えるように顔を上げました。

その仕草があまりにも可愛らしくて、アメリアは思わず頬を赤らめて笑いました。

「猫殿下、そんなに甘えて、可愛すぎます。」

彼女は微笑みながら王子を撫で続け、王子はふわふわとした毛をさらに心地よく感じてゴロゴロと喉を鳴らしました。

その夜も、二人の間には優しさと甘さがあふれ、王子の不安や孤独は、アメリアの存在で少しずつ癒されていったのでした。
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