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第2章 「王都を去る日の空は青く」
王太子エリアス殿下からの「婚約破棄」の宣言から一夜が明け、わたくし――セレーネ・アルバロスは、生まれ育った侯爵家の自室で、静かに旅支度を整えておりました。
薄い朝靄の差し込む窓辺には、舞踏会の夜の喧騒とはまるで別の世界のような、清らかな空気が流れております。
昨夜の出来事は、すでに王都中を駆け巡っていることでしょう。
「冷血令嬢セレーネ、聖女候補を虐げ、断罪の末に修道院送りに」――そんな見出しが躍る光景さえ、目に浮かぶようでした。
けれど、わたくしの胸の内は驚くほど穏やかです。
むしろ、長い任務の終わりを迎えたような安堵に包まれていました。
「お嬢様、もうすぐお迎えの馬車が参ります」
そう告げたのは、幼い頃から仕えてくださっている老執事のサイラスです。
彼の声には、隠しきれぬ悲しみと、どこか怒りの響きが混じっておりました。
「サイラス、顔をお上げになってください。わたくしは敗北したのではありませんの。むしろ、自由を手に入れたのです」
わたくしは、彼にだけ見せる柔らかな微笑を浮かべました。
「ですが……修道院とは、あまりに無慈悲なご処分です。侯爵様も、大変ご立腹で……」
「父は、わかってくださっていますよ」
そう告げたとたん、扉が静かに開かれました。
現れた父――アルバロス侯爵の表情には、威厳の中に安堵とも寂寞ともとれる影が差しておりました。
「セレーネ」
「お父様」
父は、わたくしの前に立ち、分厚い羊皮紙の束をゆっくりと差し出しました。
「これは、お前の追放命令書と財産没収リストだ。王太子の署名入りだ」
わたくしはそれを受け取り、一瞥しました。冷たい書面――しかし、それは形式にすぎません。
「これを使者に見せ、指示通り馬車に乗るのだ。ただし……よく聞け」
父の声が低く、しかし確固たる響きを持ちました。
「馬車は修道院には向かわない。行く先は、辺境の離宮だ」
その瞬間、わたくしの瞳が小さく揺らぎました。
「あの……母上がこよなく愛された離宮ですか?」
「そうだ。すでに私の私有地として登録し直してある。王宮からの追跡を避けるには最適だ。そして、これを持っていけ」
父は小さな木箱を差し出しました。中には、王都の財務関連資料一式と最新の予算原本が納められています。
「王太子は今頃、国庫の混乱に気づいて必死だろう。お前が“消えた”ことで、ようやく誰に支えられていたのかを知ることになる」
父は皮肉な笑みを浮かべました。
「いいか、セレーネ。お前はもう縛られる必要はない。――あの場所で、自由に生きなさい。誰の命令も受けず、好きなように」
胸の奥が、熱く、痛いほどにふるえました。
父の言葉は、まるで赦しと祝福の光のようでした。
「お父様……感謝いたします」
「礼は要らん。……母上も、空の向こうで笑っているに違いない」
そう言って、父はわたくしを抱きしめてくださいました。
わたくしが何よりも恋しかった、父の温もり――その温かさに、涙がこぼれそうでした。
「さあ、行きなさい。青い空が、お前のために開かれている」
***
やがて、王宮から派遣された使者が侯爵邸に到着しました。
エリアス殿下の側近らしい、几帳面な男です。
「セレーネ嬢。王命である。直ちに馬車に乗られよ」
「仰せのままに」
わたくしは冷ややかにそう答え、父とサイラスの見送りを受けて馬車へと乗り込みました。
車輪が石畳を叩きながら進むうち、外のざわめきが耳に届きます。
「セレーネ嬢、無用に周囲を気にされぬように。貴女の悪評は、もはや覆せませぬ」
「ええ。けれど――取り返しがつかないのは、どちらの方でしょうね」
わたくしは静かに微笑みました。
その直後、新聞売りの少年の声が通りから響きました。
「号外! 王政停止の危機! 王宮財務が混乱!」
「王太子殿下、重要書類を紛失! 国会炎上!」
使者の顔が一瞬で青ざめます。
「ば、馬鹿な……そんなはずは!」
「はて、そうでしょうか」
わたくしは穏やかに告げました。
「殿下が“修道院へ運ばせた”財務原本――確かにわたくしに託されましたもの。ですから今頃、王宮では探しても見つからないでしょうね」
使者は、呻くように口を開きかけて、何も言えませんでした。
窓の外には、王都の石造りの街並みが遠ざかっていきます。
その景色がゆっくりと霞んでいく中で、わたくしは幼き日の記憶を思い出しました。
母と過ごした小さな温室。陽だまりの中、花と笑いがあふれていたあの時間。
『セレーネ。この花はね、誰かに命令されて咲くのではないのよ。貴女が与える光と水で、自分の力で咲くの』
懐かしい声が胸の奥で響きます。
(そうね……今こそ、この手で咲かせる時)
わたくしの心は、雲ひとつない空のように澄み渡っておりました。
***
長い道のりの果て、馬車は湖畔の離宮へと到着いたしました。
苔むした石壁が時を刻み、湖面が朝日を受けて銀色に輝いています。
放置されて久しい庭は雑草に覆われておりましたが、風は優しく、空はどこまでも青く――まるで新しい人生の門出を祝うかのようでした。
「サイラス、ありがとう。ここからはわたくし一人で大丈夫です」
従僕が王都へ戻る背を見送り、わたくしは館の扉を押し開けました。
広間には埃が積もっていましたが、不思議と嫌な匂いはありません。むしろ懐かしい静けさがありました。
わたくしは、袖をまくり、掃除を始めました。
埃を払い、水を汲み、暖炉に火を入れる――。
冷たい灰が赤く燃え上がる瞬間、胸の中にもようやく温もりが戻ってきた気がしました。
三日目の朝。
わたくしは作業着に着替え、固く締まった土の庭へと向かいました。
「さあ……この大地に、もう一度命を宿しましょう」
スコップを握りしめ、鍬を振るい、汗が頬を伝います。
泥にまみれながら働く自分を見て、わたくしは思いました。
(この土も、かつてのわたくしと同じ。固く閉ざされ、誰の手も受け入れようとしなかった)
日に焼けた手のひら。小さな傷と汗の跡――それは自由の証でした。
***
一週間ほどが経ったある日の午後。
庭仕事を終え、汗を拭いていると、離宮の門が静かに叩かれました。
コン、コン――。
控えめながらも急を要する音。
(誰かしら……? 王都の者ではないはず)
警戒を滲ませながら門を開けると、そこには傷ついた旅の騎士が立っておりました。
肩に血の滲む包帯を巻き、砂塵にまみれた瞳がまっすぐこちらを捉えています。
「すみません……この辺りで、水を分けていただけませんか……」
「どうぞ。お入りくださいませ」
わたくしは無意識のうちに手を差し伸べておりました。
男は「リオ・グレイス」と名乗り、旅の途中で盗賊に襲われたのだと語ります。
その名を聞いた瞬間、記憶の扉が開かれました。
――四年前の夜。王都の裏路地。血を流しながら倒れていた若き衛兵を救い出し、「生きなさい」と告げたあの日。
(まさか……あの青年……!)
わたくしは胸を高鳴らせながら、彼の傷を手当てしました。
「貴女の手……とても荒れていますね。庭師の方でしょうか?」
「そうですね。最近、始めました」
彼は、穏やかに微笑みました。泥だらけのわたくしを、貴族とは思いもせぬのでしょう。
「貴女はどこか、“氷の女王”に似ています」
「氷の女王……ですか?」
「ええ。四年前、私を救ってくれた女性です。容貌は違えど、その瞳の光が同じなのです。
けれど貴女の瞳は、もっと温かい。土と風の色をしている」
その言葉は、まるで陽光のようにわたくしの心を照らしました。
彼は、悪評でも肩書でもなく、“今のわたくし”を見てくれている――。
「ありがとうございます。……あの頃のわたくしは、誰かのために光を放っておりました。
けれど今は、自分のために、この庭に命を吹き込もうとしているのです」
リオは穏やかに頷きました。
「それは、とても素晴らしいことです。今度こそ、貴女自身のために笑ってください。それが、俺の望みです」
その優しい声に、胸の奥が熱くなりました。
涙がこみ上げるのを堪えながら、わたくしは彼の手を両手で包みました。
(この出会いが、わたくしをまた咲かせてくれる……)
春風が庭を通り抜け、蕾たちの影を揺らしていました。
わたくしはその小さな光景に、そっと微笑みました。
薄い朝靄の差し込む窓辺には、舞踏会の夜の喧騒とはまるで別の世界のような、清らかな空気が流れております。
昨夜の出来事は、すでに王都中を駆け巡っていることでしょう。
「冷血令嬢セレーネ、聖女候補を虐げ、断罪の末に修道院送りに」――そんな見出しが躍る光景さえ、目に浮かぶようでした。
けれど、わたくしの胸の内は驚くほど穏やかです。
むしろ、長い任務の終わりを迎えたような安堵に包まれていました。
「お嬢様、もうすぐお迎えの馬車が参ります」
そう告げたのは、幼い頃から仕えてくださっている老執事のサイラスです。
彼の声には、隠しきれぬ悲しみと、どこか怒りの響きが混じっておりました。
「サイラス、顔をお上げになってください。わたくしは敗北したのではありませんの。むしろ、自由を手に入れたのです」
わたくしは、彼にだけ見せる柔らかな微笑を浮かべました。
「ですが……修道院とは、あまりに無慈悲なご処分です。侯爵様も、大変ご立腹で……」
「父は、わかってくださっていますよ」
そう告げたとたん、扉が静かに開かれました。
現れた父――アルバロス侯爵の表情には、威厳の中に安堵とも寂寞ともとれる影が差しておりました。
「セレーネ」
「お父様」
父は、わたくしの前に立ち、分厚い羊皮紙の束をゆっくりと差し出しました。
「これは、お前の追放命令書と財産没収リストだ。王太子の署名入りだ」
わたくしはそれを受け取り、一瞥しました。冷たい書面――しかし、それは形式にすぎません。
「これを使者に見せ、指示通り馬車に乗るのだ。ただし……よく聞け」
父の声が低く、しかし確固たる響きを持ちました。
「馬車は修道院には向かわない。行く先は、辺境の離宮だ」
その瞬間、わたくしの瞳が小さく揺らぎました。
「あの……母上がこよなく愛された離宮ですか?」
「そうだ。すでに私の私有地として登録し直してある。王宮からの追跡を避けるには最適だ。そして、これを持っていけ」
父は小さな木箱を差し出しました。中には、王都の財務関連資料一式と最新の予算原本が納められています。
「王太子は今頃、国庫の混乱に気づいて必死だろう。お前が“消えた”ことで、ようやく誰に支えられていたのかを知ることになる」
父は皮肉な笑みを浮かべました。
「いいか、セレーネ。お前はもう縛られる必要はない。――あの場所で、自由に生きなさい。誰の命令も受けず、好きなように」
胸の奥が、熱く、痛いほどにふるえました。
父の言葉は、まるで赦しと祝福の光のようでした。
「お父様……感謝いたします」
「礼は要らん。……母上も、空の向こうで笑っているに違いない」
そう言って、父はわたくしを抱きしめてくださいました。
わたくしが何よりも恋しかった、父の温もり――その温かさに、涙がこぼれそうでした。
「さあ、行きなさい。青い空が、お前のために開かれている」
***
やがて、王宮から派遣された使者が侯爵邸に到着しました。
エリアス殿下の側近らしい、几帳面な男です。
「セレーネ嬢。王命である。直ちに馬車に乗られよ」
「仰せのままに」
わたくしは冷ややかにそう答え、父とサイラスの見送りを受けて馬車へと乗り込みました。
車輪が石畳を叩きながら進むうち、外のざわめきが耳に届きます。
「セレーネ嬢、無用に周囲を気にされぬように。貴女の悪評は、もはや覆せませぬ」
「ええ。けれど――取り返しがつかないのは、どちらの方でしょうね」
わたくしは静かに微笑みました。
その直後、新聞売りの少年の声が通りから響きました。
「号外! 王政停止の危機! 王宮財務が混乱!」
「王太子殿下、重要書類を紛失! 国会炎上!」
使者の顔が一瞬で青ざめます。
「ば、馬鹿な……そんなはずは!」
「はて、そうでしょうか」
わたくしは穏やかに告げました。
「殿下が“修道院へ運ばせた”財務原本――確かにわたくしに託されましたもの。ですから今頃、王宮では探しても見つからないでしょうね」
使者は、呻くように口を開きかけて、何も言えませんでした。
窓の外には、王都の石造りの街並みが遠ざかっていきます。
その景色がゆっくりと霞んでいく中で、わたくしは幼き日の記憶を思い出しました。
母と過ごした小さな温室。陽だまりの中、花と笑いがあふれていたあの時間。
『セレーネ。この花はね、誰かに命令されて咲くのではないのよ。貴女が与える光と水で、自分の力で咲くの』
懐かしい声が胸の奥で響きます。
(そうね……今こそ、この手で咲かせる時)
わたくしの心は、雲ひとつない空のように澄み渡っておりました。
***
長い道のりの果て、馬車は湖畔の離宮へと到着いたしました。
苔むした石壁が時を刻み、湖面が朝日を受けて銀色に輝いています。
放置されて久しい庭は雑草に覆われておりましたが、風は優しく、空はどこまでも青く――まるで新しい人生の門出を祝うかのようでした。
「サイラス、ありがとう。ここからはわたくし一人で大丈夫です」
従僕が王都へ戻る背を見送り、わたくしは館の扉を押し開けました。
広間には埃が積もっていましたが、不思議と嫌な匂いはありません。むしろ懐かしい静けさがありました。
わたくしは、袖をまくり、掃除を始めました。
埃を払い、水を汲み、暖炉に火を入れる――。
冷たい灰が赤く燃え上がる瞬間、胸の中にもようやく温もりが戻ってきた気がしました。
三日目の朝。
わたくしは作業着に着替え、固く締まった土の庭へと向かいました。
「さあ……この大地に、もう一度命を宿しましょう」
スコップを握りしめ、鍬を振るい、汗が頬を伝います。
泥にまみれながら働く自分を見て、わたくしは思いました。
(この土も、かつてのわたくしと同じ。固く閉ざされ、誰の手も受け入れようとしなかった)
日に焼けた手のひら。小さな傷と汗の跡――それは自由の証でした。
***
一週間ほどが経ったある日の午後。
庭仕事を終え、汗を拭いていると、離宮の門が静かに叩かれました。
コン、コン――。
控えめながらも急を要する音。
(誰かしら……? 王都の者ではないはず)
警戒を滲ませながら門を開けると、そこには傷ついた旅の騎士が立っておりました。
肩に血の滲む包帯を巻き、砂塵にまみれた瞳がまっすぐこちらを捉えています。
「すみません……この辺りで、水を分けていただけませんか……」
「どうぞ。お入りくださいませ」
わたくしは無意識のうちに手を差し伸べておりました。
男は「リオ・グレイス」と名乗り、旅の途中で盗賊に襲われたのだと語ります。
その名を聞いた瞬間、記憶の扉が開かれました。
――四年前の夜。王都の裏路地。血を流しながら倒れていた若き衛兵を救い出し、「生きなさい」と告げたあの日。
(まさか……あの青年……!)
わたくしは胸を高鳴らせながら、彼の傷を手当てしました。
「貴女の手……とても荒れていますね。庭師の方でしょうか?」
「そうですね。最近、始めました」
彼は、穏やかに微笑みました。泥だらけのわたくしを、貴族とは思いもせぬのでしょう。
「貴女はどこか、“氷の女王”に似ています」
「氷の女王……ですか?」
「ええ。四年前、私を救ってくれた女性です。容貌は違えど、その瞳の光が同じなのです。
けれど貴女の瞳は、もっと温かい。土と風の色をしている」
その言葉は、まるで陽光のようにわたくしの心を照らしました。
彼は、悪評でも肩書でもなく、“今のわたくし”を見てくれている――。
「ありがとうございます。……あの頃のわたくしは、誰かのために光を放っておりました。
けれど今は、自分のために、この庭に命を吹き込もうとしているのです」
リオは穏やかに頷きました。
「それは、とても素晴らしいことです。今度こそ、貴女自身のために笑ってください。それが、俺の望みです」
その優しい声に、胸の奥が熱くなりました。
涙がこみ上げるのを堪えながら、わたくしは彼の手を両手で包みました。
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