イルミネーションがはじまる日

朝日みらい

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 また北風が、まゆみちゃんのほほをたたきました。おもわず、目をつぶります。

 でも、へっちゃら。つらくなんかありません。胸の中は、じんわりポカポカ温かいのです。その頭を、温かくて大きな手袋がなでました。

「おとうさん!」

 目の前に、コートを着たお父さんが立っていました。

「まゆみ、おくれてごめん。さむかったろう」

 かがんで、まゆみちゃんのせなかをさすります。それから、自分のマフラーを外して、まゆみちゃんにまきました。ポッカポカ。まゆみちゃんはニコッとしました。

 するととつぜん、

「ワァー! キャー! ワッホー!」

と、はくしゅとかんせいがあがりました。

 点灯がはじまったのです。イルミネーションの星形のあかりがかがやきはじめます。まちじゅう、またたくまに金色にそまっていきます。まるで、流れ星がふってくるみたい。

「わあっ、ステキっ!」

 まゆみちゃんは見上げながら、大きく息をすいこみました。そして目をとじて、心のなかのキャンバスに、おおぞらいっぱいの絵をかきはじめました。
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