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第3章:魔法アピールの惨劇
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『初恋成就計画ノート』第二弾は、「魔法アピール作戦」と銘打ちました。
私は王都の魔導学院に通っていましたから、魔法だって使えるんです。
その中でも特に得意だったのは、怪我を治す治癒魔法。
カイルは騎士団長として、日々の鍛錬で怪我をすることも多いでしょう。
「怪我をしたカイルに、さっと治癒魔法をかけてあげる。そうすれば、私が彼の役に立てる特別な存在だって、きっと気づいてくれるはず!」
完璧な計画です!
胸の中でひそかにガッツポーズを決め、私は早速、カイルたちの訓練場へと足を運びました。
今日も広場では、騎士団員たちが剣を振るい、汗を流しています。
空には太陽が輝き、彼らの熱気をさらに高めているようでした。
カイルは、その中心で一人ひとりに熱心に指導していました。
真剣な眼差しは、昔の面影を残しつつも、頼もしい大人のそれ。
その姿を見るだけで、私の胸は甘く締め付けられます。
「よし、次は休憩だ!」
カイルの声に、団員たちがホッと息をつきます。
今しかない、とばかりに彼の元へと駆け寄りました。
「カイル、お疲れ様。少し休憩しない?」
そう言って、こっそりカイルの腕を掴もうとしましたが、彼はすぐに私の手から離れてしまいました。
柔らかな感触は、あっという間に消えてしまいます。
「大丈夫だ、リリア。まだ少ししかやってない」
そして、私に背を向け、別の団員の指導に戻ろうとします。
焦ってしまいました。
せっかくのチャンスが、このままでは!
「あ、あの! 待って!」
私は慌てて、彼の肩に手を伸ばしました。
すると、ちょうどその時、カイルは剣の訓練で軽く擦り傷を作ったようでした。
その腕には、赤く血が滲んでいます。
チャンスです!
私の瞳はキラリと輝きました。
「私、もう治癒魔法も完璧なんだから!」
そう言って、私は意気揚々と魔力を練り始めました。
王都を離れてから、少しご無沙汰していたけれど、これくらいなら大丈夫なはず。
指先に魔力が集まっていく感覚を確かめます。
きっと、優しく温かい光がカイルを包み込み、私の想いも伝わるはず……!
でも、私の予想は甘かったのです。
久しぶりに扱う魔力は、私の思うように制御できませんでした。
指先から溢れ出た魔力の光は、私が思い描いていた優しい光ではなく、まるで太陽の光が凝縮されたかのように、まばゆく輝き始めました。その眩しさに、私は思わず目を細めます。
「え……?」
私が戸惑っている間に、その光はさらに大きくなり、そして───
ドーンッ!
という、鈍い爆発音と共に、カイルが派手に吹っ飛んでしまいました。
地面に叩きつけられ、砂煙が舞い上がります。
「きゃあぁぁぁ!」
私は思わず悲鳴を上げて、その場に立ち尽くしました。
何が起こったのか、頭が真っ白です。
騎士団員たちは、突然の出来事に驚いたあと、すぐに大爆笑が起こりました。
「はははは! 団長、砂まみれになってる!」
「さすがリリアちゃん、魔法の使い方が豪快だね!」
私は、顔から火が出るほど恥ずかしくて、穴があったら入りたい、まさにそんな気持ちでした。
砂まみれになって立ち上がったカイルは、私のほうをまっすぐ見て、言いました。
「……魔法の練習、頑張れよ」
その言葉は、労いと励まし、しかしそこに恋の匂いは皆無でした。
私の心の中で、ガラガラと音を立てて積み木が崩れ落ちていくようでした。
「これは……第三弾までに、信頼を回復せねば……!」
『初恋成就計画ノート』に、またひとつ、大きな×印が刻まれるのでした。
私の初恋成就までの道のりは、まだまだ険しそうです……。
私は王都の魔導学院に通っていましたから、魔法だって使えるんです。
その中でも特に得意だったのは、怪我を治す治癒魔法。
カイルは騎士団長として、日々の鍛錬で怪我をすることも多いでしょう。
「怪我をしたカイルに、さっと治癒魔法をかけてあげる。そうすれば、私が彼の役に立てる特別な存在だって、きっと気づいてくれるはず!」
完璧な計画です!
胸の中でひそかにガッツポーズを決め、私は早速、カイルたちの訓練場へと足を運びました。
今日も広場では、騎士団員たちが剣を振るい、汗を流しています。
空には太陽が輝き、彼らの熱気をさらに高めているようでした。
カイルは、その中心で一人ひとりに熱心に指導していました。
真剣な眼差しは、昔の面影を残しつつも、頼もしい大人のそれ。
その姿を見るだけで、私の胸は甘く締め付けられます。
「よし、次は休憩だ!」
カイルの声に、団員たちがホッと息をつきます。
今しかない、とばかりに彼の元へと駆け寄りました。
「カイル、お疲れ様。少し休憩しない?」
そう言って、こっそりカイルの腕を掴もうとしましたが、彼はすぐに私の手から離れてしまいました。
柔らかな感触は、あっという間に消えてしまいます。
「大丈夫だ、リリア。まだ少ししかやってない」
そして、私に背を向け、別の団員の指導に戻ろうとします。
焦ってしまいました。
せっかくのチャンスが、このままでは!
「あ、あの! 待って!」
私は慌てて、彼の肩に手を伸ばしました。
すると、ちょうどその時、カイルは剣の訓練で軽く擦り傷を作ったようでした。
その腕には、赤く血が滲んでいます。
チャンスです!
私の瞳はキラリと輝きました。
「私、もう治癒魔法も完璧なんだから!」
そう言って、私は意気揚々と魔力を練り始めました。
王都を離れてから、少しご無沙汰していたけれど、これくらいなら大丈夫なはず。
指先に魔力が集まっていく感覚を確かめます。
きっと、優しく温かい光がカイルを包み込み、私の想いも伝わるはず……!
でも、私の予想は甘かったのです。
久しぶりに扱う魔力は、私の思うように制御できませんでした。
指先から溢れ出た魔力の光は、私が思い描いていた優しい光ではなく、まるで太陽の光が凝縮されたかのように、まばゆく輝き始めました。その眩しさに、私は思わず目を細めます。
「え……?」
私が戸惑っている間に、その光はさらに大きくなり、そして───
ドーンッ!
という、鈍い爆発音と共に、カイルが派手に吹っ飛んでしまいました。
地面に叩きつけられ、砂煙が舞い上がります。
「きゃあぁぁぁ!」
私は思わず悲鳴を上げて、その場に立ち尽くしました。
何が起こったのか、頭が真っ白です。
騎士団員たちは、突然の出来事に驚いたあと、すぐに大爆笑が起こりました。
「はははは! 団長、砂まみれになってる!」
「さすがリリアちゃん、魔法の使い方が豪快だね!」
私は、顔から火が出るほど恥ずかしくて、穴があったら入りたい、まさにそんな気持ちでした。
砂まみれになって立ち上がったカイルは、私のほうをまっすぐ見て、言いました。
「……魔法の練習、頑張れよ」
その言葉は、労いと励まし、しかしそこに恋の匂いは皆無でした。
私の心の中で、ガラガラと音を立てて積み木が崩れ落ちていくようでした。
「これは……第三弾までに、信頼を回復せねば……!」
『初恋成就計画ノート』に、またひとつ、大きな×印が刻まれるのでした。
私の初恋成就までの道のりは、まだまだ険しそうです……。
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