【完結】辺境騎士団長は恋に鈍感! 元王都魔導士見習いの私、初恋成就作戦が今日も空回りしてます!

朝日みらい

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第10章:最後の共闘

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 祭りの鐘が警鐘へと変わった時、私はカイルのすぐ後ろにいました。

楽しいはずだった村の夜は、一瞬にして不穏な空気に包まれてしまいました。

村に戻ると、すでに騎士団員たちが武装を整え、臨戦態勢に入っていました。

そこに、エリオットさんが不安そうな顔で駆け寄ってきます。

「カイル殿、村の外れで再び幻獣の目撃情報が。しかも、前回よりも凶暴化しているようです」

エリオットさんの言葉に、私の心臓がギュッと締め付けられました。

カイルは、一瞬だけ私の方を振り返ると、厳しい表情で言いました。

「わかった。リリア、お前は村の中にいろ。絶対に、外に出てくるな」

カイルは、そう言い残すと、私に背を向け、騎士団員たちを率いて村の外れへと向かっていきました。

その背中は、頼もしくもあり、同時に、遠い存在であるようにも感じられました。

私は、またしても村の中に一人取り残されてしまいました。

「ダメだ。今度こそ、私も行かなくちゃ……」

幻獣が凶暴化していると聞いて、私の胸は、不安でいっぱいになりました。

カイル一人に、危険な目に遭わせるわけにはいきません。

カイルが「来るな」と言った言葉を無視して、私は、またしても、彼の後を追いました。

今度こそ、彼の隣で、彼の背中を守りたい。

村の外れでは、カイルと騎士団員たちが、二頭のフェルンと死闘を繰り広げていました。

銀色の体毛が、夜の闇に不気味に光ります。

「くっ……!」

カイルは、一頭のフェルンの攻撃を捌き、もう一頭のフェルンに、騎士団員たちが手こずっています。

騎士団員たちの悲鳴が聞こえ、私は恐怖を覚えました。

「やっぱり、カイル一人に任せるわけにはいかない……!」

私は、恐怖を押し殺して、戦場へと足を踏み入れました。

今度こそ、失敗しない。

そう心に誓い、私は魔力を練り上げました。

指先に集まる魔力の光は、以前のような暴走はしません。

王都で学んだ知識と、カイルを守りたいという強い想いが、私の魔法を制御してくれました。

放ったのは、治癒と防御を組み合わせた複合魔法。

魔力の光が、私とカイルの間に、薄い膜のように広がります。

「これは……?」

カイルは、私の魔法に驚いた顔をしましたが、すぐにその意味を理解したようでした。

「リリア、やるな!」

カイルは、私の作った防御壁を盾に、フェルンに剣を突き立てます。

私は、カイルの背中を守るように、魔法を放ち続けました。

私たちは、まるで昔からそうしてきたかのように、息を合わせ、フェルンを追い詰めていきました。

そして、ついに、カイルが放った渾身の一撃が、フェルンの心臓を貫きました。

「やった……!」

私たちは、二人で、村を守り抜いたのです。

戦いの最中、カイルの目が、確かに私を「戦友」として見ていた。私にとって、そのことが、何よりも喜びでした。

もう、私は、ただの幼馴染なんかじゃない。

カイルと一緒に戦える、大切な存在になれたのだと、そう思いました。

カイルの隣に立ち、彼の背中を守る。それが、私の新しい『初恋成就計画』なのかもしれないと、私は思いました。
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