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「アチチ。熱いけどおいしい」
それから、にんまりした。
「にんげんになってみたかったの。にんげんっておもしろいね」
「おもしろいかな?」
「うん。だって、工場で、ずっとコンセントにつながれて動けなかったの。にんげんはおもしろいよ。夢がかなった」
「へえー。じゃ、そろそろもどろうか」
ゆり子はユリを連れて自分の部屋にもどった。もう朝の四時になっている。眠くて、頭がクラクラする。
「わるいけど、これからわたしの代わりにいろいろやってほしいの。学校や塾とかに行くのよ」
「いいわ。楽しそう。全部、代わりをやってあげる」
「やった! ありがと」
「お安いごよう、よ」
朝まで、ゆり子はユリに教えこんだ。アルバムや地図、教科書を広げた。そして家族のこと、学校のこと、塾のことをこまかく話した。それをユリは一目で覚え、一言も聞きもらさなかった。
「すごい。それなら試験もできそう」
ゆり子はあっけにとられて言った。ユリは算数の教科書を読みながら、
「後はわたしにまかせて」
とまよわず言った。
「じゃあ。よろしくね」
ベッドに入った途端、ゆり子はすぐにねむってしまった。
目覚めると、昼の三時になっていた。ぐっすり眠ってしまった。まずい。遅刻だ。あわてて飛び起きてすぐ、ハッとして笑い出した。
「そうだ。わたしは何もしなくていいんだ」
お母さんは夕方までスーパーでレジ打ちをしている。店にはお父さんしかいない。
「キャッホッホ」
それから、にんまりした。
「にんげんになってみたかったの。にんげんっておもしろいね」
「おもしろいかな?」
「うん。だって、工場で、ずっとコンセントにつながれて動けなかったの。にんげんはおもしろいよ。夢がかなった」
「へえー。じゃ、そろそろもどろうか」
ゆり子はユリを連れて自分の部屋にもどった。もう朝の四時になっている。眠くて、頭がクラクラする。
「わるいけど、これからわたしの代わりにいろいろやってほしいの。学校や塾とかに行くのよ」
「いいわ。楽しそう。全部、代わりをやってあげる」
「やった! ありがと」
「お安いごよう、よ」
朝まで、ゆり子はユリに教えこんだ。アルバムや地図、教科書を広げた。そして家族のこと、学校のこと、塾のことをこまかく話した。それをユリは一目で覚え、一言も聞きもらさなかった。
「すごい。それなら試験もできそう」
ゆり子はあっけにとられて言った。ユリは算数の教科書を読みながら、
「後はわたしにまかせて」
とまよわず言った。
「じゃあ。よろしくね」
ベッドに入った途端、ゆり子はすぐにねむってしまった。
目覚めると、昼の三時になっていた。ぐっすり眠ってしまった。まずい。遅刻だ。あわてて飛び起きてすぐ、ハッとして笑い出した。
「そうだ。わたしは何もしなくていいんだ」
お母さんは夕方までスーパーでレジ打ちをしている。店にはお父さんしかいない。
「キャッホッホ」
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