【完結】傷物令嬢は近衛騎士団長に同情されて……溺愛されすぎです。

朝日みらい

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 セーリーヌは礼服に身を包んだアルドレッド殿下と豪華なドレスに身を包んだエリザベータに視線を向けた。

 殿下はエリザベータを片手で抱き寄せ、優しい眼差しを向けている。エリザベータは緊張と興奮からか、頬を紅潮させ、目をキラキラとさせていた。

 幸せを絵に描いたような光景。

 それを眺めながら、さも微笑ましいものを見ているかのように口の端を持ち上げる。

 ──大丈夫よ、わたくしはうまくやれているわよ。

 心の中で、自分にそう言い聞かせた。

 殿下がエリザベータ様の手をとり、その手を重ねたまま高く上にあげた。

「聞け。俺は我が未来の妃にエリザベータ嬢を選んだ!」

 その声に応えるかのように、王宮の広間のあちらこちらからお祝いの声と拍手が湧き起こる。

「殿下、エリザベータ様。おめでとうございます」

「エルドラン、万歳!」

「殿下。お喜び申し上げます」

 次第に大きくなる歓声と拍手の音は大きなうねりとなってあたりを覆い尽くす。反響しながらまるで逃れることなど許さないと言いたげに、歓声がセーリーンを包み込んだ。

 今日、エルドラン王国の未来の国王が正式にその伴侶を選んだ。

 将来の国母となる、唯一無二の尊い女性を。多くの美しく咲く花々の中で、選ばれるのはたった一輪だけ。

 どんなにその座に近づこうが、選ばれなければ皆同じ。その他大勢は主役の大輪を引き立てる添え花でしかない。

 そして、その座を見事に射止めたのはエリザベータ子爵令嬢だった。


 艶やかな薄茶色の髪とクリッとしたこげ茶色の瞳に、透けるような白い肌。未来の王妃にふさわしい、とても可愛らしく、聡明な女性だ。

 セーリーヌも笑顔を浮かべ、二人に惜しみない祝福の拍手を送った。

 ──でもね、おかしいの。

 セーリーヌはぼんやりと目の前の光景を眺めた。

 目の前で笑い合う人達が、まるで演劇のように現実感なく見えてくる。

 これが夢だったらいいのにと思ってしまう。永く続く、壮大な夢物語──。
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