【完結】透明令嬢だったけれど、素敵な愛を知ることができました。

朝日みらい

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(15)夕暮れ時のふたり 

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お昼を終えた後、アリシアとレオネルは手をつないでゆっくり歩きながら、広場の端にある小さな池のほとりに座ることにした。

池の水面は静かで、ほんの少しの風で水草がゆっくりと揺れている。

その水面には、午後の陽射しが反射して、オレンジ色に染まった空と一緒に映し出されていた。

「うーん、なんだかいい感じだね。」

アリシアは腕を組んで、池の向こうに広がる景色を眺めながらぽつりと呟いた。

「夕焼けって、こんなに美しかったっけ?」

「まあ、こんな時間に出かけることなんて、僕たち初めてだもんね。」

レオネルは軽く肩をすくめて、アリシアに向かってニヤリと笑った。

「君と一緒だと、なんでも新鮮に感じるんだよ。」

アリシアはその笑顔に、心の中でちょっとだけ照れくさくなりながらも、軽く顔を赤くして言った。

「うーん、今の言い方、なんだか照れるじゃない。」とぼやくように言うと、レオネルは肩をすくめて「悪かった」と手を振ってみせた。

「でも、本当にそう思うんだよ。」

レオネルは真剣な顔で言った。その目がほんの少しだけ柔らかくなり、アリシアの心に温かいものが広がった。

「ありがとう。」

アリシアは照れながらも、素直にその感謝を口にした。

「でも、もっと正直に言ってくれたほうがいいかな。」

レオネルは少し目を細めて、いたずらっぽく言った。

「正直に言ったら、君の周りには僕以外のイケメンがたくさんいるのに、どうしてわざわざ僕を選んでくれたんだろうな、なんて思っちゃうけど?」

アリシアはその言葉に驚き、目を見開いた。

「い、イケメンなんて言わないでよ、レオネル。恥ずかしい。」

レオネルはその反応を楽しむように、にっこりと笑った。

「まあ、イケメンだろうが、君がそれを認めてくれないなら仕方ないけどね。」

アリシアはあきれたように目を細め、笑いながら肩をすくめた。

「ほんと、そういうところだよね。」

そして、軽くレオネルの肩を押してから、ちょっとだけ照れながら言った。

「でも、ありがとう。気持ちは嬉しい。」

レオネルはその言葉に少し照れくさそうに、でも誇らしげに頷いた。

「君にはもっと自信を持ってほしいな。」

彼の表情が突然真剣になった。

「自分を過小評価しすぎだよ。」

アリシアは少しだけ言葉を詰まらせた。

「うーん、私、そんなに自信を持てるタイプじゃないし…」

少し申し訳なさそうに言うと、レオネルの優しさに胸が温かくなった。

「でも、レオネルがそう言ってくれるのは嬉しいな。」

レオネルはその言葉に、しっかりとアリシアを見つめながら、優しく答えた。

「君には十分な魅力があるって、僕は本気で思ってるよ。」

その言葉が、アリシアの心に染み入るように響いた。

「だから、少しでも自分を大事にしてほしい。」

アリシアは、目を伏せたまま、小さく息を吐いた。

レオネルがどれだけ自分を大切にしてくれているのかが伝わってきて、胸がいっぱいになった。

「ありがとう、レオネル。」

その声はほとんど囁くように、でも確かな感謝の気持ちを込めて。

レオネルはその声を受けて、少し照れたように笑いながら頭をかいた。

「なんだ、そんなに気にしないでよ。」

でも、その表情の裏には、どこか嬉しそうな気持ちがにじみ出ていた。

「ううん、気にしちゃうよ。」

アリシアはうなずきながら、レオネルの目をじっと見つめた。

池の水面に反射する彼の顔をちらりと見た後、少し照れながらも、心から言った。

「でも、レオネルがそう言ってくれると、なんだか…勇気が出る。」

レオネルはその言葉に、少し驚いたように目を見開き、でもすぐに穏やかな笑顔を浮かべた。

「それなら良かった。」

彼は少し照れたように顔をそらし、「君が笑顔でいることが、僕にとって一番大事だからさ。」と、柔らかな声で言った。

その言葉に、アリシアは心がふわりと温かくなるのを感じた。

そして、ゆっくりと彼を見つめ返すと、夕日が二人を包み込むように降り注ぎ、静かな時間が流れていった。

空の色が少しずつ変わり、オレンジ色の光が池を照らして、まるで二人だけの特別な世界が広がっているかのようだった。

「こうして一緒にいる時間が、ずっと続けばいいのにね。」

アリシアはふと口を開いた。

言葉を紡ぎながら、少し寂しさが胸に広がるのを感じた。

レオネルは彼女の言葉を受けて、少し考えるように空を見上げ、そして穏やかな声で言った。

「いつか、君ともっとたくさんの時間を一緒に過ごせるように、僕は頑張るよ。」

その言葉に、アリシアはほんの少しだけ目を見開き、そして微笑みながら答えた。

「私も、ずっと一緒にいたい。」

夕日が沈むにつれて、二人はしばらく言葉少なに、でもお互いの存在を感じながら、静かな時を過ごした。
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