【完結】透明令嬢だったけれど、素敵な愛を知ることができました。

朝日みらい

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(14)ひとときの幸せ 

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お昼を終えた二人は、森の中でしばらくその場所に留まり、のんびりと過ごしていた。

軽やかな風が木々の間を抜け、草花がゆっくりと揺れている。

その穏やかな光景に、アリシアは身を任せながら、心が次第に軽くなっていくのを感じた。

「ねぇ、レオネル。」

アリシアは少し照れくさそうに声をかけた。

「こうして一緒に過ごしてると、ちょっと…幸せな気分になる。」  

「本当に?」

レオネルはアリシアを見てにっこりと微笑んだ。

「僕もだよ。君といると、どんな時間もあっという間に過ぎていく気がする。」  

その言葉にアリシアは少し驚きながらも、胸の中が温かくなるのを感じた。

「でも、私、あんまりこういう時間、なかったから…」  

「そうなんだ。」

レオネルは少し真剣な顔つきになり、アリシアの目をじっと見つめた。

「でも、これからは僕がずっと君のそばにいるから。」  

その言葉に、アリシアの胸はキュッと締め付けられるような感覚が走った。

彼がそばにいてくれることが、こんなにも嬉しいことだなんて、心の中で再認識している自分がいた。  

「ありがとう、レオネル。」

アリシアは小さな声で言った。  

「何度でも言うよ。」

レオネルは優しく笑い、アリシアの手をそっと取った。

「君がどんな時でも、僕は君の味方だから。」  

その言葉を聞いたアリシアは、じっと彼の顔を見つめる。

彼の瞳は真剣で、どこか温かさを含んでいて、それだけで心が安心するのを感じた。  

「でも、あなたってほんとに優しすぎるんじゃない?」

アリシアは、少しからかうように言ってみた。  

「どうだろうね。」

レオネルは肩をすくめて、面白そうに笑った。

「でも、君にはこうして優しくしてあげたいって思うんだ。」  

「うーん、それはちょっとずるいですね。」

アリシアはふと顔を赤くして、目をそらす。

「そんなに優しくされたら、困っちゃう。」  

「困る?」

レオネルは少し意地悪そうに眉を上げた。

「それは残念だな。じゃあ、もう少し優しくしてみようか?」  

「だめです!もう十分ですから!」

アリシアは慌てて手を振り、笑いながら言った。  

「はいはい、わかったよ。」

レオネルは満足そうに笑い、アリシアの頭を優しく撫でた。

「でも、君が困るなら、やめておくよ。」  

その優しさに、アリシアはまた心が温かくなる。

彼の手のひらが頭を撫でる感触に、ふわりとした安心感が広がっていく。  

「でも、ね。」

レオネルは少し顔を真剣にしながら、静かに続けた。

「君が幸せでいることが、僕にとって一番大切なことだから。」  

その言葉を聞いたアリシアは、思わず胸の奥が熱くなるのを感じた。

彼が真剣にそう言ってくれることが、信じられないほど幸せだと思った。  

「ありがとう、レオネル。」

アリシアは再び小さく囁いた。  

「何度でも言うよ。」

レオネルは彼女に優しい笑顔を向けて言った。

「君が笑っていると、僕も幸せなんだ。」  

「本当に?」

アリシアは少し驚いたように目を丸くした。

「それって、すごく幸せなことね。」  

「そうだろう?」

レオネルは少し照れくさそうに笑った。

「でも、君が笑ってると、なんだか僕まで嬉しくなるんだ。」  

アリシアはその言葉に胸が温かくなり、また少し照れて顔を赤くした。

「ほんとに…あなたって、すぐにそういうこと言うんだから。」  

「すぐに?」

レオネルは首をかしげてにやりと笑った。

「まあ、でも君の笑顔が見たいから、ついつい言っちゃうんだよ。」  

「もう、恥ずかしいからやめてください!」

アリシアは両手で顔を覆い、レオネルから顔を背けたが、その仕草がまた可愛らしくて、レオネルは微笑みながら見守っていた。  

「でも、君が恥ずかしがる顔も可愛いな。」

レオネルは静かに言い、アリシアの横顔を見つめた。  

その時、アリシアはほんの少しだけ目を閉じて、心の中で静かな感謝の気持ちを込めた。

「ありがとう…あなたがいてくれて、本当に嬉しい。」  

その優しい言葉を、レオネルはしっかりと受け止め、アリシアに微笑みかけた。

「僕もだよ。」  

二人はしばらく、ただ静かに森の中でのんびりと過ごし、時間が流れるのを感じていた。

心が通じ合っているのを実感しながら、ふとした瞬間に心が満たされていくのを感じていた。
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