【完結】透明令嬢だったけれど、素敵な愛を知ることができました。

(27)予想外の一歩

アリシアとレオネルの関係は、日に日に少しずつ、しかし確実に進展していた。

お互いのことをもっと深く知るために、急ぐことなく、時間をかけてゆっくりと心を通わせていった。

その過程の中で、アリシアはレオネルの優しさや強さ、そして時折見せる照れた表情に、ますます心を惹かれていった。

ある日、二人は晴れ渡った空の下、のんびりと散歩に出かけることになった。

陽光が柔らかく降り注ぎ、風が穏やかに吹き抜ける中、アリシアはレオネルと並んで歩くことが嬉しくて、何度も顔を見合わせては笑顔を浮かべた。

「ねぇ、レオネル。」

アリシアがふと声をかけると、レオネルは歩みを止めて彼女を見つめた。

「ん？」

レオネルは興味深そうに顔を向ける。

その眼差しが優しく、アリシアは少し照れくさくなりながら続けた。

「もし、私が…あ、もっと君のことを頼りにしてもいいのかな？」

アリシアの声は少し震えていた。

普段は頼られることが多かった彼女だが、こうして心の中で思っていることを口にするのは少し恥ずかしかった。

レオネルはすぐに真剣な顔をして答えた。

「もちろんだよ。」

その言葉には、アリシアの心に響く力強さがあった。

「君が僕を頼りにすること、僕が嬉しいと思ってる。」 

その言葉に、アリシアの胸の中でホッとした感覚が広がる。

どこかで、まだ少し心配していた自分がいたのだ。

でも、レオネルの真剣な眼差しを見て、その不安はすぐに消えた。

「じゃあ、もっと頼っていいんだね？」

アリシアは目を伏せながら、もう一度確認した。

レオネルがどれほど自分を支えてくれるのか、少しずつ分かってきたけれど、まだ確信を持てない部分があった。

「もちろん。」

レオネルはその場で立ち止まり、アリシアを見つめながら歩み寄った。

そして、軽く手を伸ばして、彼女の手をそっと握った。

「君が何を望んでも、僕は全力で答える。」

その言葉に、アリシアは再び胸がドキドキと鳴り響くのを感じた。

レオネルの言葉には、ただの優しさだけではなく、確かな力が感じられた。

自分のことをどこまでも大切に思ってくれているというその気持ちが、アリシアの心を震わせた。

「ありがとう。」

アリシアはそのまま、少しだけ顔を赤くして、軽く頭を下げた。

「そんなふうに言ってもらえるなんて、嬉しい。」

「どういたしまして。」

レオネルはニコっと笑って、再びアリシアに歩み寄り、今度は軽く肩を引き寄せる。

「でも、もっとちゃんと頼ってくれた方が嬉しいんだけど。」

「そんなこと言わないで！」

アリシアはすぐに顔を赤くしながら、レオネルを軽く押した。

「照れるじゃない。」

「照れてる顔も可愛いね。」

レオネルはアリシアの手をもう一度しっかりと握り、彼女の目をじっと見つめた。

「でも、頼ってくれたら、もっと君のことを守れるって思うんだ。」

アリシアはその言葉に、心がぽっと温かくなるのを感じた。

レオネルは、ただの言葉ではなく、心から自分を守りたいと思ってくれている。

そう思うだけで、胸がいっぱいになる。

「わかった。」

アリシアは少しだけ間を置いてから、恥ずかしそうに答えた。

「じゃあ、これからはもっと頼るね。」

「それでこそ、僕のアリシアだ。」

レオネルは満足そうに微笑みながら、再びアリシアの手を握った。

ふたりは並んで歩き続け、静かな時間が流れていった。

その後も二人は、互いに言葉を交わしながら歩みを進めていった。

アリシアは、レオネルの言葉の一つ一つが自分の心に染み込んでいくのを感じ、少しずつその距離が縮まっていくのを実感した。

「でも、ほんとに頼っていいのかな？」

アリシアはちょっと照れながら、足を止めてレオネルを見上げた。

「もちろん。」

レオネルはその顔に微笑みを浮かべながら言った。

「何でも、言ってごらん。君が望むことは、僕が何でも叶えてあげる。」

「じゃあ、今日の夕食は君にお願いしようかな。」

アリシアは少しだけ意地悪く笑った。

「だって、君がいれば、どんな料理でも美味しくなる気がするから。」

「それは君のために、全力で頑張るよ。」

レオネルはにっこりと笑い、アリシアの手を軽く引っ張った。

「さあ、今日は一緒に楽しい時間を過ごそう。」

二人は手を繋いで、再び歩き出した。

空はますます青く、心地よい風が吹いていた。

アリシアは、これからもレオネルと過ごす時間が、どんどん楽しくなっていく予感を感じながら、彼の隣を歩き続けた。