【完結】透明令嬢だったけれど、素敵な愛を知ることができました。

朝日みらい

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(29)予期せぬギフト 

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その夜、アリシアはレオネルに誘われて城の外へ出ることになった。

夜風が心地よく、空には無数の星がきらめいている。

月の光が湖面に反射して、まるで銀色の絨毯のように広がっているのが見える。

静かな湖畔に足を踏み入れると、普段の騒がしい屋敷の生活とは違う、別の世界に足を踏み入れたような気分になった。

「わぁ…こんな場所、見たことがないわ。」

アリシアは目を見開いて、その美しい景色に息を呑んだ。

「君に見せたくて、ここに連れてきたんだ。」

レオネルが優しく微笑んで答えた。

「月明かりで湖を見ると、なんだか特別な気持ちになって…君と一緒に見たかったんだ。」

その言葉を聞いた瞬間、アリシアの胸がほんのりと温かくなった。

こんなにも自分を思ってくれる人がいることが、何だか不思議で、でもとても嬉しかった。

「ありがとう…こんなに素敵な場所に連れてきてもらって、信じられない。」

アリシアはしばらく湖面を見つめてから、再びレオネルの方を見た。

「でも、どうしてこんなにロマンチックなことをしてくれるの?」

「君が笑顔になることが、僕にとって一番大切だからさ。」

レオネルはちょっと照れたように言った。

その顔にアリシアは思わず微笑んでしまう。

「じゃあ、もう少しだけ…一緒にここにいてもいい?」

アリシアは少し恥ずかしそうに尋ねた。

「もちろん。」

レオネルはすぐに頷き、二人は並んで座り、湖の静けさに身を任せた。

その時間が永遠に続くように思えたが、レオネルは突然、何かを思い出したように立ち上がり、ポケットから小さな箱を取り出した。

「これ、君に。」

レオネルはその箱をアリシアの前に差し出した。

「え…?」

アリシアは驚きながらも手を伸ばし、箱を受け取った。

箱を開けると、中からきらきらと輝く金色のペンダントが現れた。

小さな宝石が月明かりを受けて、まるで星のように光を放っている。

「わ、わぁ…これは…?」

アリシアは目を見開いて、その美しいペンダントを見つめた。

「君へのプレゼントだよ。」

レオネルは少し照れたように、でも真剣に言った。

「言葉だけじゃ足りないから、こうして形にしてみたんだ。君がどれほど素晴らしい存在なのかを、君が知ってくれるといいなって思って。」

アリシアはその言葉に、思わず胸がいっぱいになった。

こんな素敵なプレゼントをもらえるなんて、全く予想していなかったから、感動で言葉がうまく出てこない。

「ありがとう、レオネル…こんな素敵なものを…もらっていいの?」

アリシアは心の中で何度もお礼を言いながら、ペンダントを手に取った。

「君に喜んでもらえたら、僕も嬉しいよ。」

レオネルは優しく笑いながら言った。

「でも、これはほんの一歩に過ぎない。君にはもっとたくさんの素敵なことをしてあげたいから、これからもいろんなものをプレゼントするつもりだ。」

「そんな…そんなにたくさん?」

アリシアはちょっと驚きながらも、彼の優しさに感動していた。

「でも、私も…レオネルに何かお返ししないと。」

「それなら、君が笑ってくれるだけで、それ以上何もいらないよ。」

レオネルは照れくさそうに、でも嬉しそうに言った。

「君が笑顔でいてくれることが、僕にとって何よりも大事だから。」

アリシアはその言葉を聞いて、心からの微笑みがこぼれた。

「ありがとう、レオネル。それだけで、私は本当に幸せだよ。」

「それなら、これからもずっと一緒に笑っていてほしい。」

レオネルは手を差し伸べ、アリシアの手をそっと握った。

「君と過ごす時間が、僕にとって一番大切だから。」

アリシアはその手をしっかりと握り返し、もう一度彼を見上げた。

「私も、レオネルと一緒にいたい。」

二人はそのまま静かな湖畔に座り、月明かりの下でお互いの存在を感じながら、言葉を交わし続けた。

あたりの静けさと、二人の間に流れる穏やかな時間が、これからの未来を感じさせるような、そんな気がした。
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