【完結】透明令嬢だったけれど、素敵な愛を知ることができました。

朝日みらい

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(30)朝の訪れ 

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宿泊した湖畔近くのコテージの窓から朝日が差し込んできた。

アリシアは目を開けると、隣にいるレオネルの顔がすぐそこにあった。

彼の寝顔はなんだかとても愛らしくて、思わず笑ってしまう。

「ふふっ、寝顔も可愛いじゃない。」

アリシアは小さな声でつぶやいたが、すぐに自分の頬が赤くなるのを感じた。

レオネルは目をぱっちりと開け、アリシアを見つめた。

「何か言ったか?」

「い、いや、何でもないわ。」

アリシアは慌てて顔をそむける。

けれど、レオネルはにっこりと笑いながら、軽くアリシアの髪を撫でた。

「おはよう、アリシア。」

彼は穏やかな声でそう言った。

普段は少し無愛想な彼が、こんなにも優しく接してくることが、アリシアには新鮮で、心がキュンとする。

「お、おはよう…」

アリシアは照れくさそうに答えた。

普段なら、こんなふうにドキドキしないはずなのに、レオネルの笑顔や声にはどうしても胸が高鳴ってしまう。

「ねえ、今日は一緒に昼まで寝ていようか?」

レオネルはいたずらっぽい笑みを浮かべ、アリシアの顔を見ながら言った。

「えぇ!?」

アリシアは驚きすぎてベッドから飛び起きた。

「だ、だめよ!今日は私、家に戻って仕事があるし!」

「仕事?それなら、僕が君の仕事を代わりにやるよ。」

レオネルは冗談めかして言ったが、その顔が本気に見えて、アリシアは困惑してしまう。

「いや、それは無理よ。レオネルが代わりにやるなんて…」

アリシアは頭を振りながら、慌てて立ち上がる。

「仕事はちゃんと自分でやらないと!」

レオネルはアリシアを追いかけるようにして立ち上がり、そっとその背中に手を回した。

「でも、アリシア…君が働きすぎるのも心配なんだ。」

その手のひらが背中に触れた瞬間、アリシアの心臓が早鐘のように打ち始めた。

彼の手が温かくて、優しくて、思わず身体が反応してしまう。

「レ、レオネル…」

アリシアは顔を赤くしながら振り向く。

「こんな朝から、そんな…」

「どうして、こんなにも君を抱きしめたくなるんだろう?」

レオネルの目は、真剣そのものだった。

アリシアはその眼差しにドキッとしながらも、つい息を呑んだ。

「私も…わからないわ。」

アリシアはその言葉に、少し顔を赤くして答える。

彼女は自分でも驚くほど、レオネルに引き寄せられていく自分を感じていた。

「でもね、アリシア。」

レオネルはゆっくりと彼女の顔を覗き込む。

「君が僕の前で照れる顔を見るのが、たまらなく好きなんだ。」

その言葉にアリシアは一瞬言葉を失った。

こんなに素直に感情を言葉にしてくれる彼に、また心を奪われるような気がした。

「そ、そんなこと言わないでよ…」

アリシアは顔をそむけるが、レオネルはアリシアの顔を優しく引き寄せて、低い声で囁いた。

「でも、君の気持ち、僕はちゃんとわかってるよ。」

レオネルはそのまま、ほんの少しだけ唇をアリシアの額に触れさせる。

「君も、僕に惹かれてるんだよね?」

アリシアはその温かさに、一瞬思考が停止する。

「…はい。」

彼女は小さな声で答えた。

その言葉を聞いて、レオネルの表情が満足そうに緩む。

「君がそう言ってくれるだけで、僕は幸せだよ。」

レオネルはそのまま、アリシアをしっかりと抱きしめた。

彼女の心臓の音が、彼に聞こえているかのように、ふたりの間に静かな時間が流れる。

「でも、これからどうするの?」

アリシアは少し困ったように尋ねる。

「どうするって?」

レオネルは首をかしげた。

「どうして私にこんなに優しくしてくれるの?」

アリシアは真剣に問いかけた。

「何か狙ってるんじゃないかって、疑っちゃうくらい。」

レオネルは驚いたように目を見開くと、すぐに笑顔になった。

「狙ってるって、君が何を言うかと思った。でも、君に優しくするのは、君が僕にとって大切だからさ。」

アリシアはその言葉に、また胸がドキドキと高鳴った。

こんなに素直に気持ちを伝えられるなんて、想像もしていなかった。

「じゃあ、これからもっと君に優しくしてもいいかな?」

レオネルは少し照れくさそうに言った。

「うん…お願い、優しくして。」

アリシアはその言葉に、少し笑顔を見せながら答えた。

二人の関係は、こうして少しずつ深まっていく。

どんなに照れくさい瞬間でも、互いの気持ちは確実に通じ合っていることを感じていた。
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