【完結】透明令嬢だったけれど、素敵な愛を知ることができました。

朝日みらい

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(34)新たな始まり 

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湖畔から戻った翌日、アリシアとレオネルは、日差しが温かく降り注ぐ中、広場のベンチに座っている。

風は優しく頬を撫で、花々が咲き誇る場所で、二人の周りには穏やかな空気が漂っていた。

「ねえ、レオネル。」

アリシアが少し真剣な表情で口を開いた。

「うん?どうしたの?」

レオネルはすぐに顔を上げ、彼女の顔を見つめる。

いつもは冗談ばかり言っている彼でも、アリシアの真剣な顔を見れば少し警戒する。

「私、考えてみたの。」

アリシアは少し間を取って、恥ずかしそうに言葉を続ける。

「これからもずっと、あなたと一緒にいたいって思ってる。」

その言葉を聞いた瞬間、レオネルの胸がドキッと跳ねた。

思わず言葉が詰まってしまう。

アリシアがこんなふうに言うなんて、予想外だったからだ。

「僕もだよ、アリシア。」

レオネルは思わず強く言った。

「君がいるからこそ、僕はここにいるんだ。これからも、ずっと君を守りたい。」

彼の声には、真剣な思いがこもっている。

アリシアはその言葉を聞いて、胸が温かくなるのを感じた。

無意識に目の奥が少し熱くなり、涙がこぼれそうになるのを必死にこらえる。

「ありがとう、ありがとう、レオネル。」

アリシアは感謝の気持ちを込めて、彼に歩み寄った。

「こんな私でも、あなたの隣にいられることが本当に幸せ。」

レオネルはその言葉を聞いて、アリシアをそっと抱き寄せた。

手を軽く肩に回し、穏やかな笑みを浮かべながら、「君が僕の隣にいることこそが、一番幸せなことだよ。」と低い声で答えた。

二人の距離は自然に縮まり、そのまま唇が軽く触れ合った。

ほんの一瞬の出来事だったが、周りの世界がまるで止まったかのように感じられた。アリシアはその瞬間を心に刻みつけるように、目を閉じて彼の温かさを感じていた。

「これからも、ずっとこうして一緒にいられるんだよね?」

アリシアは恥ずかしそうに、しかし確かめるように言った。

「もちろんだよ。」

レオネルは彼女の手をしっかりと握り返し、目を優しく細めた。

「君がどんなに強くても、弱くても、どんな時でも僕は君を守る。それが僕の約束だ。」

アリシアはその言葉を胸に、心からの微笑みを浮かべた。

「それなら、私、怖くないわ。」

「僕もだよ。」

レオネルはその笑顔を見て、心の中で安心し、深く息をついた。

「君がいれば、何も怖くない。」

二人は手を繋いだまま、並んで歩き始める。

周りの花々が鮮やかな色を放ち、陽だまりの中で二人の足音が響く。

どこか遠くの鳥のさえずりが、優しく二人の時間を包み込むようだ。

「でも、どうしてこんなに私たち、うまくいくんだろうね?」

アリシアがふと疑問を口にした。

レオネルは少し考えてから、にっこりと笑って言った。

「それはね。」と、彼は少し声を低くして、真面目な顔を作った。

「だって、君と僕は最初から運命で繋がれていたからさ。」

「運命か。」

アリシアはその言葉に少し驚きながらも、微笑んだ。

「でも、それだけじゃないと思う。だって、私たち、お互いを大切にしてきたから、こうして一緒にいられるんだと思うよ。」

レオネルは彼女の手をしっかりと握り、真剣な目でアリシアを見つめた。

「その通りだね、アリシア。」

彼の言葉には、深い感謝と愛が込められている。

「だからこそ、これからもずっと一緒に歩んでいこう。」

アリシアはその言葉に頷き、満ち足りた笑顔を浮かべた。

「うん。これからもずっと一緒に。」

二人はそのまま歩きながら、未来への希望を胸に抱きしめていた。

幸せが彼らを待っていると信じて、手を繋いだまま歩み続ける。

道の先には、笑顔と愛に満ちた未来が広がっているのを感じていた。

「あ、レオネル。」

アリシアが突然思いついたように言った。

「ん?どうした?」

レオネルは少し首をかしげて、アリシアを見る。

「そういえば、運命って言ったけど、私たちって、出会ったときからずっと一緒だったわけじゃないよね。」

アリシアは少し笑いながら言った。

「最初はこんなに仲良くなるなんて、思ってなかったけど。」

レオネルは驚いたように目を見開き、「ああ、確かにそうだね。」と笑いながら答えた。

「最初は、君が声をかけた時、僕を嫌ってた気がするんだけど。」

「違うわよ、そんなことない!」

アリシアは顔を赤くして、慌てて言い返す。

「むしろ逆よ。ただ、目立たないわたしに急に声をかけたから、慣れてなくて、びっくりしたただけよ!」

「びっくり?!」

レオネルは大げさに驚いたふりをして、「そんなこと言うと、次のデートで僕が本当にうるさくなるよ?」とからかうように言った。

アリシアは笑いながら、「それでも、私、きっとついて行くわ。」と言った。

二人はまた、笑いながら歩き続けた。
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