【完結】透明令嬢だったけれど、素敵な愛を知ることができました。

朝日みらい

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(33)ふたりの時間

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レオネルとアリシアは、森の奥にある小道を歩きながら、あれこれと楽しい会話を続けていた。

真面目な話ではなく、どちらかというと軽い冗談や笑いの絶えないやりとりが繰り広げられている。

「ねえ、レオネル。」

アリシアは、思わず顔をしかめながら問いかけた。

「あなたって、たまにちょっと変わってるところがあるわよね。」

「変わってる?」

レオネルは驚いたような顔をし、すぐに意地悪く笑った。

「アリシア、君にそんなこと言われるなんて、僕も心外だな。だって、君だって十分変わってるじゃないか。」

「え、何が変わってるっていうのよ?」

アリシアは首をかしげながら聞いた。

レオネルは彼女の顔をじっと見つめ、少し真剣な表情で言った。

「君、いつも物静かで控えめだけど、たまに、どうしようもないくらいお茶目なところがあるんだよ。」

アリシアはそれを聞いて思わず笑い出した。

「あら、そんなことないわよ。私はただ、あなたの前でリラックスしてるだけ。」

「本当に?」

レオネルはアリシアに近づきながら、からかうように言った。

「じゃあ、例えば今みたいに一緒に歩きながら、いきなり足元が絡まって転びそうになっても、リラックスしてるってことか?」

アリシアはその言葉に動揺して、足元を確かめるように見たが、レオネルの言う通り、少し足元が怪しかった。

その瞬間、彼女は思わずバランスを崩し、わずかに前のめりになった。

「わっ!」

アリシアは手を振りながら、レオネルに必死に支えられる。

「あ、危ない!」

レオネルはすかさず彼女の腕をしっかりと掴んだ。

「おっと、これでもう転ばないようにしないとね。」と、少しふざけながら言う。

アリシアはそのままレオネルの胸に顔を埋めるような格好になり、少し恥ずかしそうに言った。

「だ、だから言ったじゃない。私、普段はこんなにドジじゃないのよ。」

「本当か?」

レオネルは意地悪そうにアリシアを見ながら笑った。

「なら、次は僕の前で転んだりしないって約束してくれ。」

アリシアは恥ずかしそうに顔を赤くし、少し気まずそうに答えた。

「わ、分かったわ。でも、あなたがいつも変なことを言うから、つい…」

レオネルはその言葉を聞くと、思わずクスクスと笑った。

「君が笑うと、こっちまで楽しくなってしまうから困るな。」

「そう言われても…」

アリシアは少し照れながらも、彼に目を合わせた。

「でも、ありがとう。助かったわ。」

「当たり前だよ。」

レオネルは嬉しそうに言って、彼女の手をぎゅっと握りしめた。

「僕は君を守るためにここにいるんだから。」

アリシアはその言葉を胸に刻み、照れくさそうに笑った。

「あなたって、ほんとに優しいわね。」

レオネルはその笑顔に心を奪われ、少し照れくさそうに頭をかいた。

「まあ、君が僕の前ではいつも素直だから、ついね。」

「素直?」

アリシアは少し不思議そうに聞き返した。

「うん。君、たまに本当に素直すぎて、逆に僕が驚かされるよ。」

レオネルは少し真面目な顔をして言った。

アリシアはそれを聞いて少し考え込み、やがて笑顔を見せた。

「それなら、私もレオネルには素直にいたいと思う。」

レオネルはその言葉に心から嬉しそうに微笑み、アリシアの手をしっかり握り返した。

「じゃあ、これからもずっと素直でいてくれる?」

アリシアは少しだけ顔を赤らめながら答えた。

「もちろんよ、レオネル。あなたがいる限り、素直にいられるわ。」

その言葉に、レオネルはまたもや幸せそうな顔をしながら彼女の手を引き、二人は再び歩き出した。

周りの花がほのかに香り、穏やかな風が二人の髪を揺らす中、何気ない会話が続いた。
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