【完結】透明令嬢だったけれど、素敵な愛を知ることができました。

(35)結婚式の準備

アリシアがレオネルとの結婚を決めたのは、思っていた以上に早かった。

彼が言った「一緒にいよう」という言葉が心に深く響いたからだ。

そして、結婚を決めたはいいものの、準備が思った以上に大変だった。

「まず、ドレスよね？」

アリシアは鏡の前で自分を見ながらため息をついた。

「何が似合うのかしら…？」

「アリシア、君なら何でも似合うよ。」

レオネルが横から声をかけると、アリシアは振り向いて、少しからかうように言った。

「あなた、ほんっとに甘い言葉ばっかり言うのよね。」

「いや、でも本当にそう思ってるんだ。」

レオネルはにっこりと笑って、アリシアの手を取った。

「君がどんな服を着ても、僕にとっては世界で一番美しい。」

「それ言っちゃうと、逆にプレッシャーよ！」

アリシアは思わず笑いながら彼を押しのけた。

「そんなこと言うなら、今すぐ素敵なドレスを持ってきて！」

「待ってて、すぐに用意するから。」

レオネルは軽く肩をすくめて、アリシアの額に優しくキスをしてから、部屋を出て行った。

その後、アリシアはドレス選びに頭を悩ませつつ、結婚式の準備を進めていった。

手配するものが多すぎて、最初はどうすればいいのか分からなかったが、レオネルが常に優しくサポートしてくれたおかげで、少しずつ整理がついていった。

「料理のメニューは何にする？」とレオネルが聞いてきた。

アリシアは少し考えた後、あっけらかんと答えた。

「私は何でもいいけど、あなたはどうしたい？」

「何でもって…」

レオネルは少し困った顔をして眉をひそめた。

「せめて、君の好きな料理を選ぼうよ。」

「じゃあ、私の好きなケーキをメインにして、他は何かおしゃれに見える料理を適当にお願い。」

アリシアはそう言うと、肩をすくめて笑った。

「君らしいね、アリシア。」

レオネルはにっこり笑いながら、彼女の肩を叩いた。

「でも、結婚式だから、少しは特別感を出さないとね。」

「特別感？」

アリシアは眉をひそめて考え込み、ちょっと困った顔になった。

「そんなの難しそう。私、そんなに特別じゃないから。」

「そんなことないよ。」

レオネルは真剣な顔をして、少し強く言った。

「君は僕にとって、世界一特別な存在だよ。」

アリシアはその言葉を聞いて、頬が赤くなり、笑いながら目をそらした。

「もう…そうやって甘いこと言うから、こっちが恥ずかしくなっちゃうじゃない。」

レオネルは楽しそうに笑いながら、再び肩を叩いた。

「でも、君を幸せにするために結婚するんだ。僕と一緒にいることが君にとっても幸せだといいな。」

「あなたがそう言ってくれるなら、私は…」

アリシアは少し言葉を詰まらせたが、やがて真剣な顔で言った。

「私も幸せよ、レオネル。」

その言葉を聞いたレオネルは、少しだけ驚いたような表情を浮かべたが、すぐに笑顔を見せて手を伸ばした。

「僕と一緒なら、どんな未来でも怖くないって？」

「うん、だってあなたがいるから。」

アリシアは照れくさそうに言ったが、心の中ではその言葉が本当だと思っていた。

レオネルはその言葉に安心したような顔をして、アリシアを優しく抱き寄せた。

「これからもずっと、君を守り続けるよ。」

アリシアは少しだけ顔を赤くして、その胸に顔を埋めた。

「私もあなたを支えるわ、レオネル。」

そのまましばらく二人は何も言わずに抱き合っていた。

時間がゆっくり流れ、二人の心がひとつになったような気がした。

「でもさ、結婚式って本当に準備が大変ね。」

アリシアはふっと顔を上げ、少しだけ笑った。

「もう少し簡単にできたらいいのに。」

「簡単にできたら、君が一生懸命選ぶ楽しさがなくなっちゃうだろ？」

レオネルはにっこり笑って答えた。

「君が悩んで、選んで、準備するその過程が楽しいんじゃないか。」

アリシアはふふっと笑って、「確かに、それも悪くないわね。」と答えた。

二人はまた手を取り合って、結婚式の準備を進めることにした。

「さあ、次はケーキのデザインを決めようか。」

レオネルは突然、真剣な顔で言った。

「君が食べたいケーキ、僕も一緒に考えるから。」

「うーん、じゃあ、チョコレートケーキをお願い。」

アリシアは目を輝かせて答えた。

「あとは、フルーツがたっぷり載ったケーキもいいかしら？」

「わかった！君の好きなものを全部盛り込んで、最高のケーキにしよう。」

レオネルは指を鳴らしながら、意気込んで答えた。

アリシアはレオネルのその様子を見て、微笑みながら心の中でこう思った。

これからも、ずっとこんな風に、二人で笑いながら歩んでいけたらいいな、と。