【完結】透明令嬢だったけれど、素敵な愛を知ることができました。

朝日みらい

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(37)初めての衝突 

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アリシアはその言葉をサラリと返し、レオネルの母親を真っ直ぐに見つめた。

内心では少しドキドキしていたものの、彼女の表情はまるで最初から用意していたように、落ち着いていて堂々としていた。

レオネルの母親はその反応に少し驚いたような表情を浮かべたが、すぐににっこりと笑って言った。

「さすが、気が強いわね。」

その言葉には、少し感心したようなニュアンスが込められていた。

アリシアはその言葉を素直に受け入れ、微笑み返す。

そのやり取りを見守っていたアリシアの父親は、少しもどかしい顔をしていた。

彼の顔には、家族として娘を守りたいという強い気持ちと、どうしても気を使ってしまう父親の優しさが表れていた。

しかし、レオネルの父親は、落ち着いた態度で頷きながら、穏やかな表情を浮かべていた。

「アリシア、君は幸せになりそうだね。」

レオネルの父親が優しげに言った。

その言葉は、アリシアの父親に向けられたものだったが、彼の心を少しだけ軽くしたようだった。

「レオネルは、彼女のことを大事にするだろうから、心配無用だよ。」

アリシアの父親は少し驚いたように眉を上げたが、その後すぐに深く頷いた。

「そうか、ならば任せておこう。」

その言葉には、彼が今までの不安を少しずつ解消しているような安心感が漂っていた。

アリシアはその瞬間、少しだけ緊張が解け、レオネルの父親に向けて感謝の気持ちを込めて微笑んだ。

レオネルの父親もまた、優しそうな表情でアリシアを見返した。

その視線が心強く、アリシアは次第に安心していった。

「それにしても、君は本当に素直で素敵な女性だね。」

レオネルの父親が続けて言った。

アリシアは少し照れくさく、でも嬉しそうに笑いながら、軽く頭を下げた。

「ありがとうございます。」

その言葉には、素直に受け入れる感謝の気持ちと、ちょっとした恥じらいが混じっていた。

レオネルの母親も、そのやり取りを見ていて、少しだけ穏やかな表情を見せた。

そして、彼女はアリシアに向けて静かに言った。

「これからが楽しみね。きっと素敵な家庭が築けるわ。」

その言葉に、アリシアはほんの少しだけ目を見開いたが、すぐに柔らかい笑顔を返す。

「はい、私もそう思います。」

家族全員がそれぞれに温かい眼差しを向ける中、アリシアはレオネルと目を合わせ、思わず嬉しそうに微笑んだ。

二人の間には、言葉では言い表せないほどの信頼と絆が生まれつつあった。

そして、これから始まる新たな生活に対して、アリシアは確かな予感を感じていた。
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