【完結】透明令嬢だったけれど、素敵な愛を知ることができました。

朝日みらい

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(43)朝の小さな幸せ 

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朝、アリシアが目を覚ますと、まだ薄明かりの部屋にレオネルの温かな気配が感じられた。

彼は彼女の隣に座り、そっと髪を撫でていた。

その手のひらの温もりが、眠りから目覚めたばかりのアリシアにはとても心地よく、しばらくそのまま目を閉じていた。  

「おはよう、アリシア。」

レオネルの声が柔らかく、まるで朝の陽射しのように暖かかった。

「よく眠れたか?」  

アリシアはまだ少し眠たそうに目を擦りながら、にっこりと笑った。

「おはよう、レオネル。」

そして、目を開けて彼を見つめると、嬉しそうに続けた。

「うん、すごくよく眠れた。でも、君の隣だから、安心して眠れたのよ。」  

レオネルは満足そうに微笑んで、少し顔を寄せてアリシアの額に軽くキスをした。

「それなら良かった。」

その後、彼は少し引き気味に、でも自然に彼女を起こさないように身体を起こした。

「じゃあ、朝食の準備をしようか?」  

アリシアは寝ぼけた目をこすりながら、すぐに彼を引き留めた。「ううん、今日は君が作る番でしょ?」  

レオネルは驚いた表情を浮かべて、アリシアの方を振り返る。

少し恥ずかしそうに顔を赤くしながら、「え、でも、君が言う通り、今日は僕の番だね。」と、軽く苦笑した。  

「だって、私は君の料理が食べたいの。」

アリシアはそう言いながら、愛おしそうにレオネルの背中に軽く手を添えた。

「ほら、君の作る朝ごはん、最高だから。」  

レオネルはその一言に心を打たれ、ほんの少し照れながらも、にっこりと微笑んだ。「じゃあ、君のために頑張るよ。」  

アリシアはその言葉を聞いて、目をキラキラと輝かせた。

「本当に?楽しみにしてるね。」

彼女は嬉しそうにレオネルを見つめながら、ベッドの中でまだ半分眠っている状態のまま、ちょっと体を伸ばしてみせた。

その動作に、レオネルは一瞬、あまりにも可愛らしいアリシアに見惚れた。  

「ちょっと、そんなに見つめないで。」

アリシアが恥ずかしそうに顔を赤くしながら、手で顔を隠すようにした。その様子に、レオネルは吹き出すのを堪えきれず、クスクスと笑った。  

「だって、本当に可愛すぎるんだもん。」

レオネルは照れくさそうに肩をすくめながら言った。  

「もぉ、恥ずかしい。」

アリシアは顔を真っ赤にして、ふわっと布団を引き寄せるようにしてレオネルから目を逸らしたが、そのままレオネルの手が彼女の手に触れると、途端に顔がさらに赤くなる。  

「君は本当に、恥ずかしがり屋だな。」

レオネルはその手を握り返し、やさしく引き寄せた。  

アリシアはその温かな手のひらを感じながら、ちょっとだけ身を寄せて、また彼を見つめた。

「君のせいで、余計に恥ずかしくなっちゃうんだから。」  

「それも含めて、君が可愛くてたまらないんだ。」

レオネルは真面目な顔で言ったが、目は明らかにからかっている。  

「ほんとうに、わかってるんだから。」

アリシアは彼の目をじっと見つめながら、照れ隠しにふっと笑った。

その笑顔に、レオネルはまた胸が温かくなるのを感じた。  

「さあ、じゃあ行くよ。」

レオネルはふと姿勢を正し、少し引き気味に立ち上がった。

「じゃあ、君のために最高の朝食を作ってみせる。」  

「うん、頑張ってね!」

アリシアは両手を合わせるようにして、まるで応援するように微笑んだ。

「私、君の料理の腕、信じてるから。」  

レオネルはその言葉を胸に、キッチンに向かって歩き出した。

アリシアはまだベッドの上で少しゴロゴロと転がりながら、その後ろ姿を見送った。  

しばらくして、キッチンからレオネルの声が聞こえてきた。

「あれ、卵が足りないな…アリシア、卵はどこだ?」  

「食料庫に入ってるわよ。」

アリシアは軽く寝転がりながら、優雅に答えた。

「お願いね、早く出来たてを持ってきて。」  

「もちろん。」

レオネルは声ににっこりした様子が浮かんでいるのを感じ、キッチンで慌ただしく動きながらも、アリシアに良い朝食を作るために全力を尽くしていた。  

アリシアはその姿を想像しながら、少し嬉しそうに微笑んだ。

「これが私の幸せ…。」
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