【完結】透明令嬢だったけれど、素敵な愛を知ることができました。

朝日みらい

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(44)ちょっとしたいたずら 

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「今日は何して遊ぼうか?」

アリシアはソファに座り、足をふんわりと組んでレオネルを見上げた。

何気ない日常の中でも、彼と過ごす時間は特別で、どんな小さな遊びでも楽しめる気がしていた。

「何でもいいけど…」

レオネルはにやりと笑いながら、アリシアをじっと見つめた。

「でも君が何か面白いことを提案するのを待ってるよ。」

アリシアは目を輝かせ、口元に少し悪戯っぽい笑みを浮かべた。

「じゃあ、君をちょっと困らせてあげる。」

「それはどういうことだ?」

レオネルは眉を上げ、アリシアの言葉に興味を引かれた。

予想もしていなかった提案に少し驚きながらも、どこか楽しみを感じていた。

しかし、次の瞬間、アリシアが立ち上がり、部屋の隅に向かって歩き出すのを見て、レオネルは一瞬、警戒心を抱いた。

「私、今から君を探しに行くから。」

アリシアは声をひそめて言いながら、レオネルに向かってウインクした。

そのウインクは、まるでゲームの合図のようだった。

レオネルはその言葉に、またしてもドキッとした。

最初は驚き、彼女が何をしているのか全く分からなかったが、すぐにその意味を理解して、ニヤリと笑った。

「待て、アリシア!そんなに簡単に逃がさないぞ!」

そう言って、すぐに彼女を追いかけ始めた。

アリシアは軽やかな足取りで、すっと部屋の角を曲がり、レオネルの目を逃れようとする。

だが、レオネルは足音を立てずに近づき、少しずつ距離を詰めていった。

彼女の後ろ姿が目に入ると、アリシアの髪がふわりと揺れ、どこか楽しげで、レオネルの心をさらに急かせた。

「アリシア、逃げても無駄だぞ。」

レオネルはゆっくりと歩きながら声をかけた。

彼の声には少しだけ挑戦的な響きがあり、アリシアがその声に反応するのを待っているようだった。

アリシアは振り向きもせずに走り出す。

「遅いわよ、レオネル!」

声の中に明らかに遊び心が込められていて、彼女の瞳は楽しさで輝いていた。

まるで子供のように、無邪気に駆け回る彼女を見て、レオネルは思わず笑みをこぼした。

「待って!アリシア!」

レオネルはスピードを上げて追いかける。

「絶対に逃がさないからな!」

「無理よ、無理!」

アリシアはそのまま走り続け、廊下を曲がり、ドアを開けて部屋を飛び出した。

レオネルは必死で追いかけ、彼女の足音が響く方向へと向かう。

アリシアは後ろを気にせず、楽しげに笑いながら階段を駆け上がった。

「おいで、レオネル!こんなに必死になってると、可愛いわよ!」

彼女の声が階段を登りながら響いた。

レオネルはその言葉に一瞬、つい笑いそうになったが、必死になって階段を上がりながら返事をした。

「君、ほんとうに…!」

やっと追いついたレオネルは、アリシアの背後から飛びかかり、軽く彼女を捕まえた。

「逃がさないって言っただろ?」

アリシアは振り向いて笑い、「あら、ついに捕まえたの?」と挑戦的に言った。

「でも、これだけじゃ終わらせないわよ。」

「なんだと?」

レオネルは目を細めて、アリシアの手を軽く引いた。

「君がそんなこと言うなら、次は僕の番だな。」

アリシアは少し驚いた顔をしてから、また笑顔を見せた。

「次は何かもっと面白いことを考えなきゃね。今度は私が君を困らせる番かも。」

レオネルはアリシアを見つめ、しばらくその無邪気な笑顔を楽しんだ後、ふっと真剣な顔になった。

「君と一緒なら、毎日がこんなふうに楽しいんだろうな。」

彼は少し照れくさそうに笑ってから、言った。

アリシアはその言葉に胸が温かくなり、ゆっくりと彼を見つめ返した。

「私も。こんなふうに、ずっと笑っていられるなんて、幸せすぎて怖いくらい。」

レオネルはそのままアリシアを抱きしめ、優しく頬にキスをした。

「これからも、ずっと一緒だよ。君を支えるから、僕も君のように、ずっと笑っていられる。」

「それって、結婚してからも?」

アリシアは少し茶化しながら聞いた。

「もちろん。」

レオネルは答えると、にっこりと笑った。

「君と一緒なら、これからのどんな日もきっと素晴らしいものになるよ。」

アリシアはその言葉を聞いて、心から嬉しそうに微笑んだ。

「私も、そう思うわ。」

結婚後の二人は、愛情と笑顔に包まれた毎日を送りながら、時折少しのいたずらでお互いを楽しませ、甘々な時間を過ごしていた。

どんな小さなことでも、二人にとっては特別で幸せな瞬間だった。

そして、お互いを支え合いながら、愛の絆を深めていくその生活は、まるで夢のように幸せだった。
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