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終章 ひとりぼっちじゃない

第27話(最終話)

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 君は俺に何ももとめず
 そっと、俺のそばにいてくれた
 俺に、とてもやさしくて
 そっと見守ってくれた
 それが本当のやさしさだって
 君は俺に教えてくれた
 君のやさしい心に恋して
 俺はやさしくなれたんだ
 俺は生まれ変わったんだ
 もう、君を離したくない
 そう、思ったんだ

 君と同じ空を見て
 君と同じ季節を過ごして
 君と同じご飯を食べて
 君と同じテレビを見て
 君と同じ映画を見たい
 つらい時はいっしょに泣いて
 楽しい時は笑いあって
 たまには喧嘩もあるけれど
 それは絆を深めるスパイスだ

 君が好きだ。
 大好きだ
 君は俺の宝物だから



 読み終えた後、未知子の瞼から温かいものがあふれ出していた。

「どうだい? 気に入ってくれたかな」

「一生の宝物だよ。生きていてよかった」

 照れくさそうな木立の胸に、未知子はそっと身を寄せた。

(了)
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