【完結】婚約解消だったので、嫌われ者の侯爵に嫁ぐことにしました。

第13章: 真実の発見

もう…なんでこんなことに…？

あれからずっとアレクシスとはまともに話してない。

あの一言が全てを台無しにしたんだよな。

「レオナルドに対してまだ気持ちがあるんだろう？」って、あの冷たい一言が胸に突き刺さる。

私がそんなわけないって、なんでわかってくれないの？

本当にどうしてこんな風に誤解されちゃうんだろう。

でも、もう放っておけない。

こんなままで終わるわけにはいかない。

私は、どうしてもアレクシスに伝えたい。

彼が誤解していることを、きちんと伝えなければ。

その日は、どうしてもアレクシスと話す必要があった。

私、彼に何かを伝えるために、思い切って庭に出た。

庭にはアレクシスの姿が見当たらないけれど、少し気になって周りを探してみる。

あっ、見つけた。

アレクシスがベンチに座って、まるで何かを考えているようにじっとしている。

顔をしかめているけれど、なんだか見ているだけで切なくなる。

彼がこんな風に落ち込んでいるなんて、見たくない。

「アレクシス！」

思わず名前を呼んでしまったけれど、彼は私の声を聞いたようで、顔を上げた。

その瞬間、彼の目が少し驚いたように大きく見開かれた。

「セシリア…？」

アレクシスの声も、なんだかぎこちない。

どうしてこんなに私たちの間に壁ができちゃったんだろう。

「ちょっと、話がしたいの。」

私はそのまま、彼のところに歩み寄る。

あれからずっと胸が苦しくて、どうしてもこの誤解を解きたかった。

アレクシスは一瞬、立ち上がろうか迷ったように見えたけど、結局その場に座ったまま、私を見つめている。

なんでこんなに緊張するんだろう。

私だって、伝えたいことがあるのに。

「アレクシス、さっき言ったこと…本当に違うの！」

私はその一言で、ずっと胸に抱えていた気持ちを吐き出した。

彼が誤解していることを、きちんと伝えなきゃ。

アレクシスは黙って私を見つめているけれど、その目に少し驚きが混じっている。

「誤解？」

彼が少しだけ声を上げる。

「うん。レオナルドとのこと、私、今は何も気持ちがあるわけじゃない。昔の話をしてただけで…」

私はその言葉を何度も言おうとしたけれど、やっぱりうまく伝えられなくて、何度も言い直してしまう。

「本当に、レオナルドとは何の感情もない。あの人、もうただの過去の一部みたいなものよ。」

私は必死に伝えた。

アレクシスが見ているその目に、なんだか少しずつ温かさが戻ってきたような気がした。

「でも…」

アレクシスは少しだけ眉をひそめて、私の目を見つめる。

「どうしても、君がまだレオナルドを気にしているんじゃないかって思ったんだ。」

「だから、誤解よ！」

私は彼の手を掴んで、ぐっと引き寄せる。

「私が気にしているのは、アレクシスのことだけ。レオナルドなんか…もう何も関係ないわ！」

アレクシスは一瞬固まった後、顔が少し赤くなった。

「セシリア…」

ああ、もう！こんなに簡単なことなのに、どうしてこんなにしっかりと伝わらないんだろう…。

でも、ようやく伝わった気がして、ホッと胸をなでおろす。

その時、アレクシスが少しだけ私の手を握り返してくれた。

その優しさが、また私の心を打つ。

「…わかってる、セシリア。」

彼がやっと、優しい声で言ってくれる。

「でも、君がそんなに僕に気持ちを言ってくれるとは思わなかったから…驚いてたんだ。」

私はちょっと笑って、彼を見つめた。

「でも、今は伝わったでしょ？」

アレクシスが少し照れくさそうに顔を赤らめる。

ああ、なんでこんなに可愛いんだろう。

思わず笑いがこみ上げてきて、私はそのまま彼の肩に手を置いた。

「でも、これでよかったんだね。」

アレクシスがふっと笑った瞬間、私の心がまた跳ね上がった。

「セシリア、君のこと、やっぱり大事に思ってる。」

その言葉を聞いて、私の顔が熱くなった。でも、どうしても言わなきゃいけないことがあった。

「私も…アレクシスのこと、すごく大事に思ってるよ。」

その一言を言って、二人の間にあったすれ違いがようやくなくなった気がして、肩の力が抜けた。

「じゃあ、もう誤解しないでよね。」

私は冗談っぽく言うと、アレクシスが嬉しそうに笑う。

「うん、誤解しないようにする。」

彼が私の手を握り返す。

その温かさが心に染みる。

ほんの少し前までこんな風に手を繋ぐなんて思いもしなかったけれど、今はとても自然に感じる。

「ありがとう、アレクシス。」

私は心からそう言った。

誤解を解いて、やっと前に進むことができた気がする。