上 下
3 / 9

第3話

しおりを挟む
 四人は、階段をおりて、一階の早苗のパパの仕事場に行きました。

 仕事場には、たくさんの型紙や生地がおいてあります。パパや三人のスタッフたちが、ミシンでぬったり、生地を切ったりしてしていました。

 青いロングの髪に、真っ赤な上着と、真っ青な服を着たパパが、四人に気づいて、両手をひろげました。

「みんな、サイコーに、にあってるねえ。さあ、さつえい会をやろうか」

 パパは立派なカメラを首に下げて、他のスタッフといっしょに、写真室にはいりました。

 部屋には、カメラの三脚や、スポットライト、採光パネル、それに背景の海辺のスクリーンが映し出されています。

 トップバッターは早苗です。次に、雫、楓、そして亜里砂の順番に写真をとってくれることになりました。

 さすがに早苗は、いつもパパにとってもらっているので、ポーズもさまになっています。

 パパの指示で、表情も笑顔だったり、悲しそうだったり、怒ったりと、へんげん自在なのです。

「グレイト! 次は雫ちゃん、いこう!」

 雫は、はじめての本格的なさつえいで、最初は表情はコチコチでした。

 でも、パパは、まんめんな笑みをうかべて、
「サイコー!」「かわいい!」
などと、ほめてくれます。だから、どんどん、リラックスして、上り調子でさいこうの表情が生まれていきます。

 楓も、同じように、パパの陽気さにのって、自然な笑顔ができています。

「よし。次は、亜里砂ちゃんの出番だね」
しおりを挟む

処理中です...