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おかしな同級生
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類子は光子に、子どものような、くったくのない笑顔を向けて、言った。
「はい、手を広げて。テスト突破のお礼だよ」
類子は、鞄から黄色くピンキーと書かれた菓子袋を引っ張り出した。イカの形をした紫色の物体が、光子の手のひらに収まる。
類子自身とはいうと、トマトソース味のピンキーを、ポリポリ豪快に放ばっている。
光子も一口かじってみた。
美味いとも不味いとも、何とも言えない風味が口の中で広がる。
「どう? いけるでしょ。イカの塩辛味。大人の味よねえ。ご飯食べたくなっちゃうよねえ?」
「ま、まあね」
渋い顔の光子などお構いなく、類子は持論を展開する。
「みっちゃん、いいこと教えてあげる。ピンキーの原料には、遺伝子組み換えの食品は一切使われていないのよ。要はクローン技術ってやつでさ。牛肉や豚肉にだって活用されているんだって」
はあ。べつにクローン羊のことは知っている。
遺伝子が同じだから、親も子供もまったく同じ個体が産まれる。だから、優秀な親をコピーできれば、欠陥品がないようだ。
近頃は、どんな食品にも活用されている。
ある程度のことは光子も新聞で知っていたのが、類子が自信満々なので、そこは敢えて知らぬふりをして、相づちを打った。
「だけど、安全性に問題があるかもしれないんだってさ。体は平気でも、心はわからないじゃない?」
類子はまさに得意げである。
「はい、手を広げて。テスト突破のお礼だよ」
類子は、鞄から黄色くピンキーと書かれた菓子袋を引っ張り出した。イカの形をした紫色の物体が、光子の手のひらに収まる。
類子自身とはいうと、トマトソース味のピンキーを、ポリポリ豪快に放ばっている。
光子も一口かじってみた。
美味いとも不味いとも、何とも言えない風味が口の中で広がる。
「どう? いけるでしょ。イカの塩辛味。大人の味よねえ。ご飯食べたくなっちゃうよねえ?」
「ま、まあね」
渋い顔の光子などお構いなく、類子は持論を展開する。
「みっちゃん、いいこと教えてあげる。ピンキーの原料には、遺伝子組み換えの食品は一切使われていないのよ。要はクローン技術ってやつでさ。牛肉や豚肉にだって活用されているんだって」
はあ。べつにクローン羊のことは知っている。
遺伝子が同じだから、親も子供もまったく同じ個体が産まれる。だから、優秀な親をコピーできれば、欠陥品がないようだ。
近頃は、どんな食品にも活用されている。
ある程度のことは光子も新聞で知っていたのが、類子が自信満々なので、そこは敢えて知らぬふりをして、相づちを打った。
「だけど、安全性に問題があるかもしれないんだってさ。体は平気でも、心はわからないじゃない?」
類子はまさに得意げである。
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