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第18章 セドリックの破滅
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数日後、王都の空気は一変していた。
街の広場でも、噴水のそばでも、貴族の館でも――人々の噂は一つの名前に集中していた。
「聞いた? セドリック様が爵位を剥奪されたって!」
「まぁ! あの傲慢な侯爵家が?」
「それだけじゃないのよ。例の“契約書事件”で、関わってた令嬢たちも……粛清よ、粛清!」
“粛清”の響きがやけに鮮やかに街を駆け回る中、かつてルアナを笑いものにしていた社交界の令嬢たちは、ひっそりと姿を消していた。
「私たちは何も知らなかったのよ……っ」
「全部、セドリック様の指示だったのよ!」
と、誰かが言ったところで、もう手遅れだった。
王命により、セドリックは爵位と土地を剥奪され、宮廷から永久追放。
忠実だった家臣たちも散り散りとなり、あれだけ高飛車だった彼の姿は、まるで風に消える砂のように、王都から消え去った。
その一方で、ルアナとグレイシアは――
「これでひとまず、一件落着……ですね」
ルアナは、王城の中庭でそっと息をついた。
淡い青のドレスが春風に揺れる。
社交界でも噂になっている“辺境の美しき薬師令嬢”とは、まさに彼女のことだった。
「しかし、俺の目にはずっと前からそう見えていたけどな。――誰よりも美しいと」
「ちょっ、グレイシア様!? 今のはどさくさに紛れて口説きましたよね!?」
「いや、紛れてなどいない。むしろ正面からだ。堂々たる告白だ」
「真顔で言われると、なんか……ずるいわ……」
赤面するルアナに、グレイシアはいたずらっぽく微笑んだ。
「お前のことを“地味で冴えない”と笑っていたやつらが、今は誰も口を開けないでいる。痛快じゃないか」
「ええ、でも……不思議ですね。私はただ、真実を語っただけ。なのに、こんなにも――心が軽い」
「それはお前が、誰にも媚びず、信念を通したからだ」
彼女の手を、そっと取るグレイシア。
「だからこそ……誇らしい。俺の、愛する人として」
「……っ!」
ぐい、と手を握り返すと、ルアナは小さく笑った。
「……それ、さっきの“堂々たる告白”の続きですか?」
「いや、これは――堂々たる、求婚の一歩だ」
「こ、こきゅ……っ、こほんっ、そういうのは、ちゃんと正式にお願いしたいところですね!」
「ならば、次の舞踏会にて。貴族全員の前で、お前に誓おう」
「……ずるい、やっぱりずるい……!」
ルアナの頬は春の夕暮れの空のように淡く染まり、彼の手を離そうとはしなかった。
――こうして、かつて追放された令嬢は、真実の光で王都を照らした。
高慢だった男の終焉のあとに残ったのは、誠実と愛情の静かな勝利。
そして――恋の予感が、やさしく未来を包み始めていた。
街の広場でも、噴水のそばでも、貴族の館でも――人々の噂は一つの名前に集中していた。
「聞いた? セドリック様が爵位を剥奪されたって!」
「まぁ! あの傲慢な侯爵家が?」
「それだけじゃないのよ。例の“契約書事件”で、関わってた令嬢たちも……粛清よ、粛清!」
“粛清”の響きがやけに鮮やかに街を駆け回る中、かつてルアナを笑いものにしていた社交界の令嬢たちは、ひっそりと姿を消していた。
「私たちは何も知らなかったのよ……っ」
「全部、セドリック様の指示だったのよ!」
と、誰かが言ったところで、もう手遅れだった。
王命により、セドリックは爵位と土地を剥奪され、宮廷から永久追放。
忠実だった家臣たちも散り散りとなり、あれだけ高飛車だった彼の姿は、まるで風に消える砂のように、王都から消え去った。
その一方で、ルアナとグレイシアは――
「これでひとまず、一件落着……ですね」
ルアナは、王城の中庭でそっと息をついた。
淡い青のドレスが春風に揺れる。
社交界でも噂になっている“辺境の美しき薬師令嬢”とは、まさに彼女のことだった。
「しかし、俺の目にはずっと前からそう見えていたけどな。――誰よりも美しいと」
「ちょっ、グレイシア様!? 今のはどさくさに紛れて口説きましたよね!?」
「いや、紛れてなどいない。むしろ正面からだ。堂々たる告白だ」
「真顔で言われると、なんか……ずるいわ……」
赤面するルアナに、グレイシアはいたずらっぽく微笑んだ。
「お前のことを“地味で冴えない”と笑っていたやつらが、今は誰も口を開けないでいる。痛快じゃないか」
「ええ、でも……不思議ですね。私はただ、真実を語っただけ。なのに、こんなにも――心が軽い」
「それはお前が、誰にも媚びず、信念を通したからだ」
彼女の手を、そっと取るグレイシア。
「だからこそ……誇らしい。俺の、愛する人として」
「……っ!」
ぐい、と手を握り返すと、ルアナは小さく笑った。
「……それ、さっきの“堂々たる告白”の続きですか?」
「いや、これは――堂々たる、求婚の一歩だ」
「こ、こきゅ……っ、こほんっ、そういうのは、ちゃんと正式にお願いしたいところですね!」
「ならば、次の舞踏会にて。貴族全員の前で、お前に誓おう」
「……ずるい、やっぱりずるい……!」
ルアナの頬は春の夕暮れの空のように淡く染まり、彼の手を離そうとはしなかった。
――こうして、かつて追放された令嬢は、真実の光で王都を照らした。
高慢だった男の終焉のあとに残ったのは、誠実と愛情の静かな勝利。
そして――恋の予感が、やさしく未来を包み始めていた。
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