【完結】孤高の皇帝は冷酷なはずなのに、王妃には甘過ぎです。

朝日みらい

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(39)「二人だけの星空」

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舞踏会の喧騒から抜け出し、星空の庭園を歩く二人。

夜空には満天の星が瞬き、淡い月光が石畳を照らしている。

アリシアは、カイゼルの隣で少しだけ緊張しながらも、楽しかった一夜の余韻を感じていた。

「カイゼル様、今日は本当に楽しかったです。」  

アリシアは控えめに言ったが、笑顔が自然とこぼれる。

その声には、ほんのりとした甘さが混じっている。  

カイゼルは視線を星空に向けたまま、少し照れたように口を開く。

「…俺もだ。こんなに楽しんだ舞踏会は久しぶりだな。」  

「そうですか?」

アリシアは彼の言葉に嬉しくなり、そっと横顔を見上げた。

「私もです。カイゼル様と踊ると…なんだか時間があっという間に過ぎてしまうような気がして。」  

その言葉に、カイゼルは小さく肩を揺らして笑う。

「それはお前のせいだろ。俺をあんなに見つめるから、気が散って踊りに集中できない。」  

「えっ、そんなことありません!」

アリシアは慌てて首を振り、けれど頬がほんのり赤くなっている。

「カイゼル様こそ、私を見つめすぎなんですよ。」  

「俺が見つめているのは当然だろ。今日はお前、特別綺麗だったからな。」
  
カイゼルはさらりと言ったが、その耳たぶがほんのり赤いのをアリシアは見逃さなかった。  

「…カイゼル様って、意外と素直なんですね。」

アリシアはくすっと笑い、その瞳が月明かりに輝いている。

「そういうところ、可愛いと思います。」  

「なっ…!」

カイゼルは思わず立ち止まり、顔を赤くしながらアリシアを見下ろす。

「お前、俺をからかってるのか?」  

「からかってなんていません。」

アリシアは首を振りつつも、その瞳にはいたずらっぽい光が浮かんでいる。

「でも、カイゼル様が照れる姿は…ちょっと楽しいかも。」  

「ほんとに、お前は油断ならないな。」

カイゼルは額に手を当て、大きく息をついた。

「俺のこんな姿、他の奴には絶対に見せないからな。」  

「光栄です。」

アリシアは素直に答えたが、その笑顔はますます柔らかくなる。  

二人の間には、静かな夜の空気が流れる。

庭園の花々から漂う香りと、遠くで響く舞踏会の余韻の音楽が、二人だけの空間をさらに特別なものにしていた。  

「アリシア。」

カイゼルが不意に真剣な声で呼ぶ。  

「はい?」

アリシアは立ち止まり、彼の方を向く。

その目は、どこか期待と不安が入り混じっている。  

カイゼルはそっと手を伸ばし、アリシアの手をしっかりと握った。

「お前が笑っていると、俺も嬉しい。…これからも、そうでいてくれるか?」  

「カイゼル様…」

アリシアの目に驚きと嬉しさが広がる。

けれど、その緊張感の中でも、彼の真剣な表情が彼女の心をさらに揺さぶった。  

カイゼルはさらに一歩近づき、彼女の目をじっと見つめた。

「覚悟しておけよ、アリシア。お前をもっとドキドキさせるからな。」  

「な、何ですかそれ!」

アリシアは顔を赤くしながら抗議したが、その声はどこか嬉しそうだ。  

「…こういうことだ。」  

カイゼルはおもむろにアリシアを引き寄せ、彼女の髪にそっと口づけた。  

その瞬間、アリシアの心臓は跳ね上がり、彼女の頬はさらに赤く染まる。  

「これ以上、俺をからかうとどうなるか…覚えておけよ。」

カイゼルは低い声で囁き、その瞳にいたずらっぽい光を浮かべた。  

「カイゼル様…ほんとに意地悪なんだから。」

アリシアはふくれっ面をしながらも、その目には幸せそうな輝きが宿っていた。  

二人の間に広がる静けさは、まるで星空そのものが二人を祝福しているかのようだった。
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