ブラックホールをふき飛ばせ

朝日みらい

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 事務所の向かいに、広い長細いホールがあった。そこに二十人ほどの子供たちが、席についてガヤガヤわいわいさわいでいる。みんな動物の帽子をかぶっているので、なんかどこかの動物園に来たみたい。エプロン姿のお手伝いのおばさんたちが、ジュースとお菓子をテーブルに並べている。

「あ、こんちは!」 

 すり抜けようとしたあたしの手を、そばかすだらけの女の子がつかんだ。パロパロちゃんだ。

「ねえ、あたしの隣に座りなよ。いっしょに食べよ。ガックン、他の席にしてくれない?」
「ダメだな、そこはぼくのリザーブ席だぜ。ぜったい座らせないよ」

 坊主あたまの、太った男の子が口をとがらせた。

「そうですか、そうですか」

 ミノワさんが、何度もうなづきながら、ふたりの間に入った。

「だけどね、ガックン。パロパロおじょうさまがおねがいしてるんだから、今日は紳士として席をゆずってあげてよ。ねっ、おねがいします」

「ぜったいイヤ。ミノワおばちん」

 いつもにこやかなミノワさんの顔が、くもった。

「なぬっ、お、おばちんですって。私、まだ二十八よ。それ、ひどい。ひどすぎます」
「ベーだ。ぼくはまだ十一だよ。だからおばちんなんだ。おばちん、おばちん、おばちーん!」

 ミノワさんは、しだいに不適な笑みを浮かべた。

「ふっ。ガックン、一発レッドカード! 即この席から退場です。独身女を怒らせた罰として、今日は、あたしと拷問デートだあ」

 ミノワさんが、ガックンの脇の下をこちょこちょくすぐった。たまらず立ち上がったガックンの手をむりやり引いて、ミノワさんは、テーブルの中央に並んでこしかけた。
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