[完結]ソレだけはできないヤマイチさん

朝日みらい

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第4章 作戦はうまくいきますか?

第21話

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 ヤマイチさんは、リビングに入ると、さっそく、パパとテーブルをはさんで、向かい合って座りました。

 キヨミは、二階の自分の部屋に行きました。

 ヤマイチさんは、肩掛けの袋から、布に包まれた黒色の水晶玉を取り出して、布の上に置きました。

「では、まず、何を占いましょうか?」

「私の悩みと、これからを占ってください」

 ヤマイチさんは目を閉じました。水晶玉に手をかざして、呪文を唱えると、玉の表面から白い光が浮き出てきました。

 その光は、渦を巻きながら玉の表面を流れていくと、表面から宙を舞ってから、シャボン玉がはじけるように消えました。

 ヤマイチさんは目を開けました。

「キヨミちゃんのお父さん、あなたは立派に父親の役目を果たせるかどうか、悩んでいますね? 事故で足を悪くして、プライドを持って働くことができないからですよね」

「はい、その通りです。わたしは、自信がないんです。妻がいない中で、わたし一人で、キヨミを育てられるかどうか……」

「なるほど」
 ヤマイチさんは頷くと、リビングのすみにある箒とちり取りを手に取りました。

「この家は、そのままだと、さらなる不幸が訪れるでしょう。この家にひそむ邪念を、この武器で払ってください」

「武器って、箒とちり取りですか……」

 ヤマイチさんは、肩をすくめるパパにほほえみました。

「ええ。きっと、ふたりで力を合わせれば、うまくいくでしょう」

 ヤマイチさんは立ちあがると、玄関先へ向かいました。

 パパがあわてて、お代を払おうと追いかけましたが、すでに、ヤマイチさんはいませんでした。
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