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5 疑惑
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失意のシシリーが、馬車でベイリー地区の下宿に到着した頃には、空は綺麗なあかね色に染まっていた。
階段を上がろうとした時のことだ。後から宿主で一階に住むスタッド夫人が、
「シシリー、お手紙を預かっているわよ」
と便箋を手渡した。
(フロイド先生からだわ)
送り主を確認して、先ほどまでの重い足取りが嘘のように、シシリーは軽やかに階段を上りきり、自室に入る。
早速、ペーパーナイフで、封を開ける。
『シシリー、ご卒業、おめでとう。
その後のことですが、わたしの住まいであるルヴァニア地方の古城で研究を続けるのはどうでしょう?研究に必要な器具や備品は王都で揃えて送りました。研究室も物置を改装して、造り直してあります。
また、古城の周辺には多くのオークが生息しており、血液には事欠きません。
明日の卒業式が終わりましたら、翌朝の八時に馬車でお迎えにいきます。
それまでに、荷造りを済ませておいてください。
それでは。フロイドより』
シシリーは高鳴る気持ちを抑えるように手紙を胸元に押し当て、ベッドに仰向けになる。
それから、早速、トランクに荷物を詰め込んでいたところで、『夕飯の時間』を知らせる夫人の呼び鈴がなり廊下を出た。
ローランと出会った。
どうも、待っていたらしく、シシリーに歩み寄ると、つかつかと詰め寄り、
「先生から連絡はあった?」
「え? うん。でも、何、その顔?」
「話は後にしようか」
そう言って、いつもはシシリーには笑顔を絶やさないローランなのに、珍しく深刻な表情をしている。
一抹の不安を覚えながらも、いつも通り、スタッド夫人の作った美味しいご飯を三人で囲む。
「これからは、どうするの?」
スタッド夫人が若い二人に穏やかにきくと、
「ぼくは冒険者組合に登録して、怪物を退治する仕事に就こうと思います」
「わたし、ルヴァニアのお城で、研究を続けます。卒業したら、翌日には出発します」
ローランは怪訝な顔で、シシリーを見た。
「後と話そうとは思ったんだけど。ルヴァニア地方は、ヴァンパイアが多く生息しているんだ。魔獣生息の授業で習ったんだ」
シシリーの、匙を持つ手が止まった。
「フロイド公爵について、学園の図書館で調べてみたんだ。彼の顔とそっくりの記録があった。もう三百年は生きていると思う。年だってとってない」
シシリーは突然立ち上がると、食事を半分残したまま、つかつか玄関に向かっていく。
「ちょっと、シシリー?」
あわてて鞘を腰に携えたローランは、道半ばの彼女に追いつき、華奢な肩を掴んだ。
「どこへ行く?」
「サンテス公爵邸にいる先生の所よ。先生に本当のことを訊きたいから」
階段を上がろうとした時のことだ。後から宿主で一階に住むスタッド夫人が、
「シシリー、お手紙を預かっているわよ」
と便箋を手渡した。
(フロイド先生からだわ)
送り主を確認して、先ほどまでの重い足取りが嘘のように、シシリーは軽やかに階段を上りきり、自室に入る。
早速、ペーパーナイフで、封を開ける。
『シシリー、ご卒業、おめでとう。
その後のことですが、わたしの住まいであるルヴァニア地方の古城で研究を続けるのはどうでしょう?研究に必要な器具や備品は王都で揃えて送りました。研究室も物置を改装して、造り直してあります。
また、古城の周辺には多くのオークが生息しており、血液には事欠きません。
明日の卒業式が終わりましたら、翌朝の八時に馬車でお迎えにいきます。
それまでに、荷造りを済ませておいてください。
それでは。フロイドより』
シシリーは高鳴る気持ちを抑えるように手紙を胸元に押し当て、ベッドに仰向けになる。
それから、早速、トランクに荷物を詰め込んでいたところで、『夕飯の時間』を知らせる夫人の呼び鈴がなり廊下を出た。
ローランと出会った。
どうも、待っていたらしく、シシリーに歩み寄ると、つかつかと詰め寄り、
「先生から連絡はあった?」
「え? うん。でも、何、その顔?」
「話は後にしようか」
そう言って、いつもはシシリーには笑顔を絶やさないローランなのに、珍しく深刻な表情をしている。
一抹の不安を覚えながらも、いつも通り、スタッド夫人の作った美味しいご飯を三人で囲む。
「これからは、どうするの?」
スタッド夫人が若い二人に穏やかにきくと、
「ぼくは冒険者組合に登録して、怪物を退治する仕事に就こうと思います」
「わたし、ルヴァニアのお城で、研究を続けます。卒業したら、翌日には出発します」
ローランは怪訝な顔で、シシリーを見た。
「後と話そうとは思ったんだけど。ルヴァニア地方は、ヴァンパイアが多く生息しているんだ。魔獣生息の授業で習ったんだ」
シシリーの、匙を持つ手が止まった。
「フロイド公爵について、学園の図書館で調べてみたんだ。彼の顔とそっくりの記録があった。もう三百年は生きていると思う。年だってとってない」
シシリーは突然立ち上がると、食事を半分残したまま、つかつか玄関に向かっていく。
「ちょっと、シシリー?」
あわてて鞘を腰に携えたローランは、道半ばの彼女に追いつき、華奢な肩を掴んだ。
「どこへ行く?」
「サンテス公爵邸にいる先生の所よ。先生に本当のことを訊きたいから」
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