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6 真実
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「なら、ぼくも行くよ。夜道は危ないって、オークに襲われた時に学ばなかったのかよ?」
二人は運河を挟んだ向こう岸の地区までの、三十分ほどの道のりを行く。
ベイリー地区は中流階級の住民が多いが、公爵邸宅のあるシース地区には貧しいスラム街も点在し、治安が良いとは言えない。
「なぜ、そこまで、あんな吸血鬼みたいな化け物に会いたいんだよ」
「ちょっと化け物扱いしないでほしい!」
そう言うなり、運河の橋のたもとで立ち止まり、ローランに右肩をさらした。
「……噛み痕」
ローランは言葉を失った。
白肌には確かに鋭い牙で刺された二つの斑点が赤く浮き上がっている。
「今、わたし、頭の手術の時に、フロイド先生から口移しで輸血を受けたんだと気づいたの。わたしを吸血鬼にすることは容易だったはず。だけど、しなかった。彼はただの吸血鬼なんかじゃない。だから、いても立ってもいられなくて……」
橋を渡り、できるだけ明るい目抜き通りを進むと、小高い丘に立派な白壁のある屋敷があり、つなぎ服やボロ布を纏った乞食たちが炊き出しの行列を作っている。
屋敷の入口前には、大きな寸胴に火が炊かれ、調理や食器を手渡す、十五くらいの一人の少女と共に、お玉でスープをよそっているフロイドのエプロン姿があった。
その横の机には、先ほどの少女と容姿がそっくりな女の子が、献血と称して、注射で血を抜いている。
物陰からじっとみていたシシリーは、くるりと背を向けて、元来た道を戻り始める。
「フロイド先生にあわなくていいのか?」
ローランが訊くと、シシリーは、
「もう、確認できたから。彼らは吸血鬼だけど、悪い人たちじゃないの」と、こたえる。
「でも、あの献血はきっと、自分たちの分じゃないかな?」
ローランはつぶやいたが、あえて、これ以上言うのは控えた。
シシリーにとって、フロイドは特別な存在だということが分かったからだった。
橋のたもとで、ローランが立ち止まり、
「ぼくも、シシリーとルヴァニアへついて行く。オークの血が必要なら、ぼくの剣の力が必要になるだろ?」
シシリーは、一瞬、ローランに戸惑いの表情を向けたが、すぐ笑顔になって、
「来てくれるなら、心強いわ!」
と、彼に握手した。
そんな無垢な笑顔を向けられ、素直に嬉しい反面、フロイドに見せる恋い慕う視線ではないことに寂しさを感じてしまうローランだった。
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そう言うなり、運河の橋のたもとで立ち止まり、ローランに右肩をさらした。
「……噛み痕」
ローランは言葉を失った。
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橋を渡り、できるだけ明るい目抜き通りを進むと、小高い丘に立派な白壁のある屋敷があり、つなぎ服やボロ布を纏った乞食たちが炊き出しの行列を作っている。
屋敷の入口前には、大きな寸胴に火が炊かれ、調理や食器を手渡す、十五くらいの一人の少女と共に、お玉でスープをよそっているフロイドのエプロン姿があった。
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物陰からじっとみていたシシリーは、くるりと背を向けて、元来た道を戻り始める。
「フロイド先生にあわなくていいのか?」
ローランが訊くと、シシリーは、
「もう、確認できたから。彼らは吸血鬼だけど、悪い人たちじゃないの」と、こたえる。
「でも、あの献血はきっと、自分たちの分じゃないかな?」
ローランはつぶやいたが、あえて、これ以上言うのは控えた。
シシリーにとって、フロイドは特別な存在だということが分かったからだった。
橋のたもとで、ローランが立ち止まり、
「ぼくも、シシリーとルヴァニアへついて行く。オークの血が必要なら、ぼくの剣の力が必要になるだろ?」
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「来てくれるなら、心強いわ!」
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