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第一章
第5話
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「それも、外から来た、魔獣退治の荒くれ者の連中ばかりでしょう。つくづく、ご用心ください」
クレイが部屋から出ていくと、クララはさっそく、革鞄から皇国全土地図を取り出し、床の上に広げた。
そして床に跪き、銀の杖を両手に握ると、額を当てながら、目を閉じた。
「わが神、エルメテル様。わたしに付き人の靴のありかを教えてくださいませ」
銀杖が光を放ち、クララの周囲を円形に取り囲んだ。
クララは、おもむろに目を開けた。
円柱の宝玉から、青い光線が、地図の1点を指し示している。
やはり、神庁舎から離れた飲食街に光の点がある。
「ありがとうございます、エルメテル様。お手間おかけしました」
クララが頭を垂れると、光が消えた。
クララは、すくっとたちあがり、怒りを抑えながら、杖を片手に部屋を出た。
神官庁から出てみると、あたりすっかり陽が落ちて、ガス灯の明かりが石畳を照らしていた。
路上には、生ゴミが腐ったような悪臭が立ち込めている。
腹を空かせた乞食の、9つくらいの少年が、クララに泥だらけの手を差し出して物乞いをしてきた。
クララはかがみ込んで、革財布から銅硬貨を一枚手渡した。
「これで、パンでも買いなさいね」
つぎはぎだらけの麻の服を着た少年は、白い歯を見せてクララにお辞儀をした。
「ぼく、わたし、ここに行きたいのだけど、お姉さんに教えでもらえるかな?」
クララが地図の点を指で示すと、少年は頷いて、手招きした。
所狭しと石造りの建物が建っていて、ふたりは迷宮のような路地を歩いていく。
次第に男女のゲラゲラという下品な笑い声が響き始め、うす暗い路地裏で派手なドレス姿の娼婦が、胸を露わにして、客引きをしている。
そして、円形広場の一角で、一際にぎやかな場所で、少年は立ち止まった。
『ガタの眠らない店』と看板が掲げられた店内には、油のランプに照らされて、
肉を頬ばる男女の賑やかな声で溢れている。
少年は、唾を飲み込んで、物欲しげにクララを見あげた。
「お姉さんと、ご飯を食べて帰ろうか?」
クララは優しい眼差しで少年を見ると、彼は頷いた。
クレイが部屋から出ていくと、クララはさっそく、革鞄から皇国全土地図を取り出し、床の上に広げた。
そして床に跪き、銀の杖を両手に握ると、額を当てながら、目を閉じた。
「わが神、エルメテル様。わたしに付き人の靴のありかを教えてくださいませ」
銀杖が光を放ち、クララの周囲を円形に取り囲んだ。
クララは、おもむろに目を開けた。
円柱の宝玉から、青い光線が、地図の1点を指し示している。
やはり、神庁舎から離れた飲食街に光の点がある。
「ありがとうございます、エルメテル様。お手間おかけしました」
クララが頭を垂れると、光が消えた。
クララは、すくっとたちあがり、怒りを抑えながら、杖を片手に部屋を出た。
神官庁から出てみると、あたりすっかり陽が落ちて、ガス灯の明かりが石畳を照らしていた。
路上には、生ゴミが腐ったような悪臭が立ち込めている。
腹を空かせた乞食の、9つくらいの少年が、クララに泥だらけの手を差し出して物乞いをしてきた。
クララはかがみ込んで、革財布から銅硬貨を一枚手渡した。
「これで、パンでも買いなさいね」
つぎはぎだらけの麻の服を着た少年は、白い歯を見せてクララにお辞儀をした。
「ぼく、わたし、ここに行きたいのだけど、お姉さんに教えでもらえるかな?」
クララが地図の点を指で示すと、少年は頷いて、手招きした。
所狭しと石造りの建物が建っていて、ふたりは迷宮のような路地を歩いていく。
次第に男女のゲラゲラという下品な笑い声が響き始め、うす暗い路地裏で派手なドレス姿の娼婦が、胸を露わにして、客引きをしている。
そして、円形広場の一角で、一際にぎやかな場所で、少年は立ち止まった。
『ガタの眠らない店』と看板が掲げられた店内には、油のランプに照らされて、
肉を頬ばる男女の賑やかな声で溢れている。
少年は、唾を飲み込んで、物欲しげにクララを見あげた。
「お姉さんと、ご飯を食べて帰ろうか?」
クララは優しい眼差しで少年を見ると、彼は頷いた。
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