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第一章
第6話
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店の端の席に座り、杖を壁に立てかけると、クララは自分にはキノコとトマトの煮込みを頼み、少年には1番高い羊の骨付き肉を頼んだ。
「ちょっと、おトイレにいくから、席に座っていなさいね」
クララは立ちあがると、従者がどこにいるのか、店内をうろうろとした。
あるテーブルで、クララは立ち止まった。
四人の冒険者のパーティにまじって、酒のジョッキを掲げて、顔を真っ赤にした従者がいた。
クララに気づかず、背を向けて、饒舌にしゃべり続けている。
「……だからね。戦闘経験がまるきし無い神官じゃ、ぜったい、ヒドラなんて勝てっこないってことよ。経験ないとね。自殺行為ってやつだよ」
「確かにな。それで、ぼくたちにその素人の神官様を護衛しろってわけかい?」
青年剣士が、かた肘をつきながら言った。
「だけど旦那よ。俺たちがこんなド田舎でヒドラ退治にしにきたのは、賞金だけが目当てじゃねえんだ」
髭を蓄えた、がたいの大きなドワーフの中年の男が言った。
「そうそう。要は、名誉ってことよ」
女性の騎士が、傍らの弓に手を触れながら言った。
クララは冷めた眼差しで話を聞いていた。
そして、声を押し殺して従者をにらみつけている。
眼鏡を掛けたエルフ族の少女が、クララに気づいて目をとめた。
「あの、おじさん。お知り合いの神官様がにらんでますよ?」
従者は、一瞬凍りつくと、恐る恐るクララに振り向いた。
「クララ様、またまた、よくここが分かりましたですねえ?」
クララは引き攣った笑みを浮かべた。
「ええ。部下の管理をすることも、わたしの大事な仕事ですもの。本当なら、お風呂に入ってすぐに寝たかったですけど! ほら、早く帰りますよ、セリスさん」
クララは、強引に従者の腕を引っぱった。
「ちょっと待ちなよ、新米の神官さん」
若い剣士が、クララを観察しながら、言った。
「ちょっと、おトイレにいくから、席に座っていなさいね」
クララは立ちあがると、従者がどこにいるのか、店内をうろうろとした。
あるテーブルで、クララは立ち止まった。
四人の冒険者のパーティにまじって、酒のジョッキを掲げて、顔を真っ赤にした従者がいた。
クララに気づかず、背を向けて、饒舌にしゃべり続けている。
「……だからね。戦闘経験がまるきし無い神官じゃ、ぜったい、ヒドラなんて勝てっこないってことよ。経験ないとね。自殺行為ってやつだよ」
「確かにな。それで、ぼくたちにその素人の神官様を護衛しろってわけかい?」
青年剣士が、かた肘をつきながら言った。
「だけど旦那よ。俺たちがこんなド田舎でヒドラ退治にしにきたのは、賞金だけが目当てじゃねえんだ」
髭を蓄えた、がたいの大きなドワーフの中年の男が言った。
「そうそう。要は、名誉ってことよ」
女性の騎士が、傍らの弓に手を触れながら言った。
クララは冷めた眼差しで話を聞いていた。
そして、声を押し殺して従者をにらみつけている。
眼鏡を掛けたエルフ族の少女が、クララに気づいて目をとめた。
「あの、おじさん。お知り合いの神官様がにらんでますよ?」
従者は、一瞬凍りつくと、恐る恐るクララに振り向いた。
「クララ様、またまた、よくここが分かりましたですねえ?」
クララは引き攣った笑みを浮かべた。
「ええ。部下の管理をすることも、わたしの大事な仕事ですもの。本当なら、お風呂に入ってすぐに寝たかったですけど! ほら、早く帰りますよ、セリスさん」
クララは、強引に従者の腕を引っぱった。
「ちょっと待ちなよ、新米の神官さん」
若い剣士が、クララを観察しながら、言った。
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