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ビリビリと体に電気が走り、ゴロにゃんは耳とシッポをピンと立てたまま動けなくなりました。電気ウナギではなく電気猫までいるのかと、ゴロにゃんは思いました。
「おはよう」
白い猫はゴロにゃんに気づいて、にこりとほほえみました。ゴロにゃんも「おはよう」と言いたかったのですが、口がしびれてうまく動きませんでした。ただぎこちなく首を下げて、「ぐふん」とだけ言いました。
「良いお天気ですわね」
白い猫は、明るく透きとおった声でききました。
「ぐっふん」
「お散歩かしら?」
「ぐぐっふん」
「この町にくらしていらっしゃる?」
「ぐぐぐっふん」
「なら、この辺を案内してくれませんかしら?」
「ぐぐぐっふふーん」
「あの、ぐふん、ぐふんって、まさか花粉症になってます?」
「ちがうニャオよ」
ヒゲがピンとなったゴロにゃんのまがおを見て、白い猫が「ふふふっ」と笑いました。そして、するすると屋根づたいに庭におりて、ゴロにゃんの前に立ちました。
「わたし、みーぷ、っていいます。ビルのたくさんある大きな町から、ご主人と来たの。あなたは?」
「オレ、ゴロにゃん。そう呼ばれてるけど、名前はないんだニャ」
「名前はないなら、なるほど、いわゆる野良さんかしら?」
みーぷは、じっとゴロにゃんのふくよかな体を見てから、
「でも、野良さんなのにけっこう、おデブなのね」と、くすっと笑いました。
「オレにはご主人はいないけど、いっしょに暮らす人間がいるんだニャ」
「そうか、エクササイズしないで、ゴロゴロしてるから、そうよばれるのかしら」
「ちがうにゃお。勝手に決めないでにゃおよ」
ゴロにゃんのヒゲがまたビヨーンとのびたので、みーぷはまたクスッと笑いました。そして、ゴロにゃんのほうにむきなおり、
「それはしつれいしました」と、ぺこりとおじきしました。
「おはよう」
白い猫はゴロにゃんに気づいて、にこりとほほえみました。ゴロにゃんも「おはよう」と言いたかったのですが、口がしびれてうまく動きませんでした。ただぎこちなく首を下げて、「ぐふん」とだけ言いました。
「良いお天気ですわね」
白い猫は、明るく透きとおった声でききました。
「ぐっふん」
「お散歩かしら?」
「ぐぐっふん」
「この町にくらしていらっしゃる?」
「ぐぐぐっふん」
「なら、この辺を案内してくれませんかしら?」
「ぐぐぐっふふーん」
「あの、ぐふん、ぐふんって、まさか花粉症になってます?」
「ちがうニャオよ」
ヒゲがピンとなったゴロにゃんのまがおを見て、白い猫が「ふふふっ」と笑いました。そして、するすると屋根づたいに庭におりて、ゴロにゃんの前に立ちました。
「わたし、みーぷ、っていいます。ビルのたくさんある大きな町から、ご主人と来たの。あなたは?」
「オレ、ゴロにゃん。そう呼ばれてるけど、名前はないんだニャ」
「名前はないなら、なるほど、いわゆる野良さんかしら?」
みーぷは、じっとゴロにゃんのふくよかな体を見てから、
「でも、野良さんなのにけっこう、おデブなのね」と、くすっと笑いました。
「オレにはご主人はいないけど、いっしょに暮らす人間がいるんだニャ」
「そうか、エクササイズしないで、ゴロゴロしてるから、そうよばれるのかしら」
「ちがうにゃお。勝手に決めないでにゃおよ」
ゴロにゃんのヒゲがまたビヨーンとのびたので、みーぷはまたクスッと笑いました。そして、ゴロにゃんのほうにむきなおり、
「それはしつれいしました」と、ぺこりとおじきしました。
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