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第9章:生きてたとか聞いてない!顔見たら秒で泣いたじゃない!
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わたしは、“ライオネル”の手紙を握りしめて、屋敷の裏庭に立っていました。
そこは、かつて塀越しにレオンと話していた場所。
月の光だけが、あの頃と変わらず庭を照らしていて――。
「……いるの? 本当に、いるの?」
答えは、風に紛れてやってきました。
「お前、ほんと騒がしいな」
その声を聞いた瞬間、世界が反転したように感じました。
「……レオンっ!!!」
振り返れば、そこに――確かに、あの人が立っていました。
肩の包帯がまだ痛々しく、旅人のような簡素な服装。
でも、その顔も、目も、声も、全部まちがいなくレオンでした。
わたしは一歩、二歩、そして三歩――気づけば駆け寄って、彼に抱きついていました。
「生きてたの!? 本当に!? もう……もう、死んだと思って……!」
「ごめん。お前に何も言えずに消えて……でも、死にたくて死んだわけじゃない。実はリカルドが部下に手配して手当をしてくれてた。それから、リカルドから騎士団長へ両家の事件を報告したらしい。色々揉めそうだがら、お前を守りたくて、こうするしかなかった」
「ずるいです……っ。生きてるなら、なんでもいいから、連絡してくれれば……!」
腕の中で泣きじゃくるわたしに、レオンはそっと囁いてくれました。
「もう離さないから。絶対に、もう一度、お前を悲しませるようなことはしない」
こんなに泣いたのは、生まれて初めてでした。嬉しくて、苦しくて、切なくて――でも、すべてを乗り越えて今があるなら、それだけでいいと思えたのです。
でも。
再会の余韻も束の間、王宮から突然の使者がやって来ました。
「ヴァレンティ家とアルジェント家の両家で事件があったと騎士団長から報告があった。よって、国王陛下よりお達しがあります」
予感が、背筋を走りました。これは、ただごとではない――。
そして使者は、扉の前で静かに告げました。
「両家は正式に同盟を結び、若いの象徴として跡取り同士を婚約させる運びとなりました」
「……は?」
「つまり、私たち……」
「公式に許されたってこと……なのか?」
レオンとわたしは、顔を見合わせて、思わず口を開きました。
「なんか……今さら“勝手に祝福”みたいにされても、ちょっとムカつくな」
「ほんとそれです。でも――」
気づけば、わたしは笑っていました。
人生でいちばん、幸せな笑顔だったと思います。
だって、好きって言える相手がここにいて。
その気持ちを誰にも否定されないなら、こんなに嬉しいことはないから。
「レオン、これって、まさか……わたしたち、“公式のカップル”になったってことですか?」
「……なんか、ダサくて笑えるけど、そういうことだな」
こうして、敵だったふたりが、家族すら巻き込んで、恋に勝った――そんな日が本当に来るなんて。
でも、わたしたちはただの“祝福されたカップル”では終わりません。
だって――まだまだ騒がしい未来が、これから待っているから。
そこは、かつて塀越しにレオンと話していた場所。
月の光だけが、あの頃と変わらず庭を照らしていて――。
「……いるの? 本当に、いるの?」
答えは、風に紛れてやってきました。
「お前、ほんと騒がしいな」
その声を聞いた瞬間、世界が反転したように感じました。
「……レオンっ!!!」
振り返れば、そこに――確かに、あの人が立っていました。
肩の包帯がまだ痛々しく、旅人のような簡素な服装。
でも、その顔も、目も、声も、全部まちがいなくレオンでした。
わたしは一歩、二歩、そして三歩――気づけば駆け寄って、彼に抱きついていました。
「生きてたの!? 本当に!? もう……もう、死んだと思って……!」
「ごめん。お前に何も言えずに消えて……でも、死にたくて死んだわけじゃない。実はリカルドが部下に手配して手当をしてくれてた。それから、リカルドから騎士団長へ両家の事件を報告したらしい。色々揉めそうだがら、お前を守りたくて、こうするしかなかった」
「ずるいです……っ。生きてるなら、なんでもいいから、連絡してくれれば……!」
腕の中で泣きじゃくるわたしに、レオンはそっと囁いてくれました。
「もう離さないから。絶対に、もう一度、お前を悲しませるようなことはしない」
こんなに泣いたのは、生まれて初めてでした。嬉しくて、苦しくて、切なくて――でも、すべてを乗り越えて今があるなら、それだけでいいと思えたのです。
でも。
再会の余韻も束の間、王宮から突然の使者がやって来ました。
「ヴァレンティ家とアルジェント家の両家で事件があったと騎士団長から報告があった。よって、国王陛下よりお達しがあります」
予感が、背筋を走りました。これは、ただごとではない――。
そして使者は、扉の前で静かに告げました。
「両家は正式に同盟を結び、若いの象徴として跡取り同士を婚約させる運びとなりました」
「……は?」
「つまり、私たち……」
「公式に許されたってこと……なのか?」
レオンとわたしは、顔を見合わせて、思わず口を開きました。
「なんか……今さら“勝手に祝福”みたいにされても、ちょっとムカつくな」
「ほんとそれです。でも――」
気づけば、わたしは笑っていました。
人生でいちばん、幸せな笑顔だったと思います。
だって、好きって言える相手がここにいて。
その気持ちを誰にも否定されないなら、こんなに嬉しいことはないから。
「レオン、これって、まさか……わたしたち、“公式のカップル”になったってことですか?」
「……なんか、ダサくて笑えるけど、そういうことだな」
こうして、敵だったふたりが、家族すら巻き込んで、恋に勝った――そんな日が本当に来るなんて。
でも、わたしたちはただの“祝福されたカップル”では終わりません。
だって――まだまだ騒がしい未来が、これから待っているから。
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