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46.二人乗り。
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自宅のあるマンションまで父の秘書である宮田が運転する車で戻って来た相澤和真は、抵抗も虚しく年下の三峰汐音に軽々と抱き上げられてしまった。それもお姫様抱っこでだ。自分の部屋まで同じマンションの住人に会わずにすんだ事は救いだったが、そばで宮田が終始ニコニコと自分達を見ていて恥ずかしい事この上ない。
さらに、汐音の事が気に入ったらしい宮田は、『後は、お任せします』と汐音に告げると、さっさと会社へ戻ってしまった。
汐音と二人残された和真はソファに身を沈め、戻って来てからずっとテキパキと動き回っている汐音を目で追う。
いつも自分しかいない空間に他の誰かが動き回っているというのは、なかなか不思議な感じがする。
和真は一人暮らしとはいえ、家の事はすべて宮田が手配した業者が管理していた。
だが、同じく一人暮らしをしている汐音は自分で何でもやっているからなのか、二人分の汚れた服を洗濯機に放り込み、荷物を片付けると、和真にお茶まで出してきた。
先日、一度和真の家に来ただけで、色々覚えていたようだ。
和真はお気に入りの紅茶の香りを楽しみながら汐音に声をかける。
「汐音、バイクはどこに置いているんだ?」
「宮田さんが手配をしてくださったので、こちらのマンションの駐輪場に置かせていただいています」
「バイクって、二人乗りは出来るもんなの?」
「出来ます! 二人乗り可能なバイクですし、すでに和真さんの分のヘルメットも用意しています」
「え?! マジで?」
「マジです。ただ、免許を取ってから一年間は、二人乗りは出来ないんです」
「あ、そうなんだ」
少し残念に思ったのが、そのまま声に出てしまった。
「和真さん」
汐音が和真の前に膝をつく。
「この一年間で必ずあなたを安全に乗せられるように精進いたします」
「ははは。楽しみにしている」
「お任せください」
思いつきて訊ねただけだったのに、あまりに食い付き気味に答えるので返答に困ってしまう。
「和真さん、夕飯は何をつくりましょうか?」
ベランダに洗濯物を干すと、汐音が訊ねてくる。
「今日はおまえも疲れているだろ? 家に帰って来てからずっと働いているし、宅配でも頼むつもりだ」
「雇われている身なので、お気遣いは不要です」
「……言っておくが、冷蔵庫には何も入ってないぞ」
「分かりました。今から買い物に行ってきます」
「そういう意味じゃない。今日ぐらいはおれのそばから離れるな」
「え?」
「あ……」
驚く汐音の顔を見て、言い方を間違った事に気付いたが、もう遅い。
「あ、いや、……退院したばかりだし、そ、そばに誰かいてくれた方が安心かな~と……」
「和真さん」
再び、和真の前まで来ると、和真の右手を両手で包み込む。
「な、何……?」
焦る和真と違い、汐音は上気した顔で見つめてくる。
「ご安心ください。何があってもお側におります」
「あ、いや、そこまでそばに居なくて大丈夫だから、……あ、で、おまえは何が食べたい?」
慌てて汐音の手から自分のものを引き抜き、近くに置いていた携帯を掴んだ。
「和真さんは何を頼まれるのですか?」
汐音は先ほどまで和真の手を包み込んでいた手を見つめながら問うてきた。
「そうだな~。かつ丼にでもしようかな……」
「私も同じものでお願いします」
「了解だ。7時ぐらいでいいか?」
「はい。では、それまで少し眠られてはどうですか?」
「そうだな。……でも、寝る前にシャワーが浴びたい」
「では、私が体を洗ってさしあげます」
「え?」
汐音と見つめ合ったまま和真の思考は停止した。
さらに、汐音の事が気に入ったらしい宮田は、『後は、お任せします』と汐音に告げると、さっさと会社へ戻ってしまった。
汐音と二人残された和真はソファに身を沈め、戻って来てからずっとテキパキと動き回っている汐音を目で追う。
いつも自分しかいない空間に他の誰かが動き回っているというのは、なかなか不思議な感じがする。
和真は一人暮らしとはいえ、家の事はすべて宮田が手配した業者が管理していた。
だが、同じく一人暮らしをしている汐音は自分で何でもやっているからなのか、二人分の汚れた服を洗濯機に放り込み、荷物を片付けると、和真にお茶まで出してきた。
先日、一度和真の家に来ただけで、色々覚えていたようだ。
和真はお気に入りの紅茶の香りを楽しみながら汐音に声をかける。
「汐音、バイクはどこに置いているんだ?」
「宮田さんが手配をしてくださったので、こちらのマンションの駐輪場に置かせていただいています」
「バイクって、二人乗りは出来るもんなの?」
「出来ます! 二人乗り可能なバイクですし、すでに和真さんの分のヘルメットも用意しています」
「え?! マジで?」
「マジです。ただ、免許を取ってから一年間は、二人乗りは出来ないんです」
「あ、そうなんだ」
少し残念に思ったのが、そのまま声に出てしまった。
「和真さん」
汐音が和真の前に膝をつく。
「この一年間で必ずあなたを安全に乗せられるように精進いたします」
「ははは。楽しみにしている」
「お任せください」
思いつきて訊ねただけだったのに、あまりに食い付き気味に答えるので返答に困ってしまう。
「和真さん、夕飯は何をつくりましょうか?」
ベランダに洗濯物を干すと、汐音が訊ねてくる。
「今日はおまえも疲れているだろ? 家に帰って来てからずっと働いているし、宅配でも頼むつもりだ」
「雇われている身なので、お気遣いは不要です」
「……言っておくが、冷蔵庫には何も入ってないぞ」
「分かりました。今から買い物に行ってきます」
「そういう意味じゃない。今日ぐらいはおれのそばから離れるな」
「え?」
「あ……」
驚く汐音の顔を見て、言い方を間違った事に気付いたが、もう遅い。
「あ、いや、……退院したばかりだし、そ、そばに誰かいてくれた方が安心かな~と……」
「和真さん」
再び、和真の前まで来ると、和真の右手を両手で包み込む。
「な、何……?」
焦る和真と違い、汐音は上気した顔で見つめてくる。
「ご安心ください。何があってもお側におります」
「あ、いや、そこまでそばに居なくて大丈夫だから、……あ、で、おまえは何が食べたい?」
慌てて汐音の手から自分のものを引き抜き、近くに置いていた携帯を掴んだ。
「和真さんは何を頼まれるのですか?」
汐音は先ほどまで和真の手を包み込んでいた手を見つめながら問うてきた。
「そうだな~。かつ丼にでもしようかな……」
「私も同じものでお願いします」
「了解だ。7時ぐらいでいいか?」
「はい。では、それまで少し眠られてはどうですか?」
「そうだな。……でも、寝る前にシャワーが浴びたい」
「では、私が体を洗ってさしあげます」
「え?」
汐音と見つめ合ったまま和真の思考は停止した。
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