視える音、聴こえる世界

Green

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どういたしまして

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「おい、起きろ馬鹿」



「ん...今日土曜だよ、まだ寝る...」



「起きねぇんなら襲っ「おはよう」



「腹立つな...」






不機嫌そうな声

朝嫌いなタイプなのか




「今日は何処かに行く予定なの?」



「何処か行くって...まだ兄貴の件が片付いてねぇのに遊んでられるかよ」





それを聞いて昨日のことを思い出した

太腿にあった痛みはもうなくなっている




「お前傷の治りはえーな」



「昔から怪我してもすぐ治るの。」



「便利だな。朝飯作るからソファーんとこ座っとけ」





.........そういえば






「どうしよう......良子さん心配してるかな」




良子さんに何の連絡もせずに人の家に泊まってしまった

 




しかも付き合ってもいない男の家に  

 






警察沙汰になっていたらどうしよう




「...お前ん家の人にはもう連絡してる」




「え?いつ?!」



「昨日、お前が寝てる間にした。なんかすげぇ驚いてして喜んでたぞ」







喜んでた...?




「あの子にもちゃんと彼氏ができたのねって言ってたぞ、否定はしなかったけどな」





「ちょっ...私まだ認めてないんだけど」



「俺はもう付き合ってるつもりでいるから別にいいけど」






廻って本当に強引すぎ



「飯食ったら星蓮町行くぞ」


「...なんでそんな人気のないところ」



「あそこ好きなんだよ。落ち着くだろ?」


ふと廻の声が柔らかくなったのを感じる
何か思い出深いものがあるのかも...



「着替え持ってきてるか?」


「廻が私のこと運んでくれたんでしょ?荷物なんか持ってた?」



「...ねぇな。はぁー仕方ねぇから俺の貸してやる」



仕方ねぇって...



廻の気配が遠くなって、バタバタとものを探してるような音がする


上から下まで男の服を着て外に出るというのはかなり抵抗があるが、そんなこと言っても仕方ない






「ほら、これ着とけ」



バサッと頭に衣服が投げられた




「どこで着替えたらいい?」


「そこで着ろよ、後ろ向いてればいいだろ?」



「...ちゃんと後ろ向いててね」



こういう事に関しては廻は信用できない




「.........見てるでしょ」



「......余計な事には気づくよなお前」



当たっていたらしい



今度はちゃんと後ろを向いていたらしく、視線を感じなかった


服を着て見ると思っていたよりも廻が大きいことがわかった


丈は長く、袖は肘にかかり、ズボンのウエストはブカブカだ



「着替えたよ...すごく大きいんだけど、はたから見て変に思われない?」


「...大丈夫だろ。お前思ったよりも細いのな」



「ありがとう?」



「どういたしまして。よし、行くぞ」


































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