輝冠摂理の神生譚~どうやら天才らしいので、嫁と神々の王を目指します~

G.なぎさ

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6話ー① 超自然のエレベーター?

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 ルシアが迷子になるというアクシデントもあったが、僕らは無事、巨大な木の中を堀抜いて作られた湖畔のホテルに到着した。

 そこは、まるで絵本の中の一場面のような場所だった。
巨大な木々がそびえ立ち、その幹に切り込まれた窓からは、柔らかな光が漏れている。

 その光は、木々の枝に括りつけられた無数のランタンと相まって、煌々と輝く星々のように夜空に浮かび上がる。

 ランタンの温かな光が木々の影を映し出し、揺らめく光と影のコントラストが幻想的な風景を作り出している。


「綺麗……癒される。」

「綺麗だよね。少し首都からは離れてるけれど、周りも穏やかでいい所だろ?」

「この視界が開けてる感じが好きだわ。」


 ホテルの周囲には他に大きな建造物や木々はなく、広々とした空間が広がっている。

 遠くにはこの星の首都を支える巨大樹が、暗光ホタルと街の灯によって、金色の光を放ちながら輝いているのが見えた。

 まるでこの世界全体を見守るかのように、夜空に浮かんで見える首都の姿は神秘的で壮大だ。


「満天の星も凄く好き。星はこんなに色とりどりなのね。宝石箱みたい......」

「僕ら神族は視認できる光の波長が多いからね。」


 ルシアが迷子になったこともあり、もう真夜中になっている。

 空には美しい満天の星々が煌めき、その光が湖面に映り込んで静かに揺れている。

 星々の色彩は、まるで宝石を散りばめたかのように鮮やかで、見ているだけで心が癒される。

 ホテルの巨木、通称ホテルツリーは高さ1kmを超え、最上階の部屋はとても庶民が泊まれる値段ではない。

 だが僕は庶民ではない!どちらかと言えば金持ちだ。
迷わず最上階の部屋を予約した。


「こんな高さの木がこの星にはポンポンあるのね。この重力の大きい惑星で、こんな樹高の種が進化するなんて不思議ね……」

「この星は神界の他の惑星に比べても生命エネルギーが強いみたいだよ。おとぎ話では、かつて全盛期だった頃の生命の始祖が、滞在していたらしいよ。」

「もし本当だったらとんでもないわね……ちょっと滞在しただけで惑星の生態系に多大な影響を与えるんだもの……」


 そんな雑談を挟みつつ、僕らはチェックインをしに木のうつろの中に入った。

 大きな木の幹に開かれた入口は、まるで自然のトンネルのようだ。
そしてその奥からは柔らかな光が漏れている。

 チェックインを済ませると、青い液体の入った美しい瓶が鍵として渡された。


「随分と変わった鍵ね……どう使うの?」

「この瓶に入った雫をあっちの壁際の泉に垂らすんだよ。」

「私がやる!」


 ルシアが興奮気味に瓶を受け取り、慎重に泉に近づいた。

そして液体を垂らし泉の水面に触れた瞬間、波紋が広がり、泉の中からまるで生きているかのように木の根がゆっくりと伸びてきた。

根は美しい螺旋を描きながら、壁までの通路を形作り、まるで自然が創り出した彫刻のように見える。

 最後には通路の先にある壁根が静かに開き、直径5mほどの空間が現れた。
壁には幻想的な模様が浮かび上がり、柔らかな光が空間全体を包み込んでいる。

まるで木々の中に隠された秘密の部屋に招かれたかのような、神秘的で独創的な光景が広がっていた。


「この根の上の根を渡ってあそこに入れって事かしら?」

「そうだね。あそこの空間は上に行くためのエレベーターなんだ。あそこに入って雫の入った瓶を指定の場所に収めると、木の根が上に運んでくれるよ。」


 木の根の間に現れた空間に入り、上を見上げると、空間はまるで星空に続く大きな竪穴のように見えた。

 内壁は深い青に染まり、微かに輝く光点が星々を思わせるように散りばめられている。


「もしかして最上階の部屋を予約したの?」

「そうだね。」

「迷子になった事がより悔やまれるわね。」


 次の瞬間、根が凄まじい速さで伸び始め、僕らを優雅に縦穴の上へと運んでいった。

 根の動きはまるで生き物のようにしなやかで、僕たちを包み込むように支えながら、スムーズに上昇していく。

 周囲には幻想的な光が反射し、まるで夢の中にいるような感覚に包まれた。


「オシャレ?なのかしらこれ。普通にエレベーターでもいい気もするわね……」

「この星の文化的に科学文明とは親和性が良くないんだよ。それにここ観光客に人気のホテルだし?自然文明の雰囲気をより強く出してお客さんを楽しませる工夫なんだろうね。」


 観光地では特に自然の美しさを強調するため、建物や景観の設計に細心の注意が払われている。

 地方に行くと文化や様式が混在して統一感が薄れるかもしれないが、このホテルは自然美を最大限に引き出しているのだ。


「安全性は大丈夫かしら?私達なら、誤作動が起きても問題ないけれど……一般人だと怪我するんじゃないかしら?」

「それはそうだろうけど……今まで事故は一度も起こっていないんだ。この星独自の特許魔法か何かで、安全性はしっかりと担保されていると思うよ。」


 特許魔法とは、天上神界法術省に申請することで認められる新魔法の秘匿権利の1つだ。惑星単位ならば長期間認められるが、個人では40年しか認められない。

 また、多くの命を救う可能性が高いものに対しては、惑星単位でも短期間の秘匿しか許されない場合がある。

 ただ、言ってしまえば、国が申請し、生存に対する有用性が低く、さらに国の特産魔法のような扱いになれば、その秘匿はほぼ永遠に認められる。

ちなみに僕はそれを逆手に取って……


「何してるの?着いたわよ?」

「ごめんごめん。考え事してた。このフロア全部が僕らの貸切だよ。」


 僕らは最上階に到着した。


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