33 / 42
9話ー③ 圧倒的な蹂躙の結末
しおりを挟む「第17階梯 神術 原初神の雷槍。」
僕は両手を高く掲げ、空中に巨大な魔法陣を描いた。
そこに現れたのは、赤橙色に輝く雷の槍。
槍の長さは5メートルにも及び、その雷はこの世の電撃を一か所に集めたかのようで、驚愕の一言に尽きる。
そして周囲10キロメートルにわたって無数の放電が奔り、その圧倒的な雷撃は木々や大地を瞬時に蒸発させた。
光と影が入り混じる中で、赤橙色の雷が天を裂くように煌めき、全てを焼き尽くす。
その壮絶な光景は、まるでこの世の終わりのようだ。
「なんだ!何なんだこの力は!化け物がぁぁ!!ぐぁあああああああああ」
「滅ぼせ。原初の雷。」
その掛け声と共に、10キロを破壊していた雷撃がすべて中心の槍に集約し、
超高密度となって呪術師に向かって放たれた。
原初神の雷槍は、一瞬で呪術師を消し飛ばし、その結界さえも貫通した。
槍の放たれた軌跡は遥か彼方まで貫き、無限に続くかのように彼方の空に消えていく。
その力強さと美しさに、周囲の風景は完全に変貌した。
圧倒的な威力を周囲に残った破壊の跡が静かに物語っている。
「凄い!!想像以上だ。やはり神術と魔術ではレベルが違うな!」
だがいくつか誤算があった。
発動時間の短さや威力は当然申し分ないのだが……意外と周囲への被害が尋常じゃない。
上方向に打ったのにも関わらず、森林地帯のは直径10kmは草1つ残らず蒸発してしまった。
更に初めてという事もあって制御があまりに難しい。
探知できる範囲の外まで余裕で飛んでいってしまった。
本当は制御をして、途中で空中に放電させる予定だったのだが......
しかし......この威力を持ってしても、十神柱にはかすりもしない。
彼ら相手に最低限戦うには、こちらも切り札を切る必要がある。
それにしても......
「これは......やらかしたな。」
僕が演算で計算しきれていない距離に、文明とかあったら多分滅ぶ!
「……アファルティア様に土下座しよ。」
そう決意を固めて僕はその星を後にした。
僕はまず通信魔術でルシアに連絡を取った。
「ルシア。終わったよ。今から帰る。」
「ルーク?無事?話聞かせてね?」
どうやらルシアはガブリとベレスを守らず、シカトかけた事実に気づいたようだ。怖い。
帰りたくない。絶対怒られる......
とりあえず僕は、エルガブリとベレスが治療を受けている医療機関に向かった。
宇宙の星々は相変わらず美しく輝いている。
医療機関に到着すると、ルシアが2人の容態について説明してくれた。
「2人とも命に別状はないって。治療したからあと30分で全快するみたい。」
「それは良かった。」
あと30分で全快!?魂に破損があったよな?
幾ら2人が脳筋だといっても、その速度での回復は不自然だ。
きっととてつもなく凄腕の治療術士及び治療技術を持った誰かがいる。
是非とも話を伺いに行きたい。今すぐにでも!
「ねぇ。何であの時2人を守らなかったの?ルークは私より早く気づいてたんでしょ?」
「咄嗟に二人の前で実力を出す事を躊躇したんだ......」
僕はは2人だけで、ギリギリ爆発を耐えられると踏んだのだ。
この部分で僕は完全に判断ミスをした。
「あのまま生身で受けてたら即死だった。私が咄嗟に守らなかったら今頃......仲間を何だと思ってるの?」
「言い返す言葉もありません。」
ルシアもかなり強い。自分の身を守って他の人を守れるくらいには……
「あなたなりの意図がある事は知ってる。あなたが実力を隠す為に、非情な行動をするもの分かってる。あの2人も当然感づいてる。」
「......」
実際に僕の本当の実力はエリーやルシア、アファルティア様くらいしか知らない。
僕は2人に実力を偽り続けているのだ。
しかし彼らは実力を隠しているのは察した上で、命を預けてくれているのだ。
「親友は敵じゃないわ。保身と親友の命を天秤にかけないで。反省してよ?」
「……ごめん。後で2人にも謝るよ。」
事実、今回の僕の行動は浅はかだったと反省している。
長年仲良くしてくれた親友夫婦より、好奇心と保身を優先してしまったのだから。
「私はあなた達兄妹がどんな境遇で育って、あなたが何を背負っているかも知ってるわ……でも......これはダメなの。」
「……」
「次からの行動で示して欲しいわ。」
「分かった。いつもありがとう。」
そう言って僕は、回復途中の2人の様子を見る為に傍に駆け寄った。
私の夫、ルークは壊れている。
彼は保身と好奇心のバランスを自分で制御できない時があるのだ。
ルークは命に明確な順位をつけている。優先順位1位の相手を助けるためなら、2位を切り捨てることに一切の躊躇がない。
でも私は知っている。
ルークは本来、そんな人ではなかったことを......片割れだからこそ分かるのだ。
何かが彼の心を壊してしまったのだと。
ルークの精神力は信じられないほど強い。
だからこそ、彼は自分の限界までその負荷に気づけない。
私は、いつか彼の心が壊れて、電源が切れたように動かなくなるのではないか?
そんな気がしてならないのだ......
あの日誓った。ルークの心は私が守ると。
......固く心に誓ったのだ......
にも関わらず不安で押しつぶされそうな私がここにいる......
0
あなたにおすすめの小説
タイム連打ってなんだよ(困惑)
こすもすさんど(元:ムメイザクラ)
ファンタジー
「リオ、お前をパーティから追放する。お前のようなハズレスキルのザコは足手まといなんだよ」
王都の冒険者ギルドにて、若手冒険者のリオは、リーダーの身勝手な都合によってパーティから追い出されてしまい、同時に後宮では、聖女の降臨や第一王子の婚約破棄などが話題になっていた。
パーティを追放されたリオは、ある日商隊の護衛依頼を受けた際、野盗に襲われる可憐な少女を助けることになるのだが、彼女は第一王子から婚約破棄された上に濡れ衣を着せられて迫害された元公爵令嬢こと、アイリスだった。
アイリスとの出会いから始まる冒険の旅、行く先々で様々な思惑によって爪弾きにされてしまった者達を受け入れていく内に、彼はある決意をする。
「作ろう。誰もが幸せに過ごせる、そんな居場所を」
目指すべき理想、突き動かされる世界、そしてハズレスキル【タイム連打】に隠されたリオの本当の力とは?
※安心安全安定安泰の四安揃った、ハピエン確定のハズレスキル無双です。
『エ○ーマンが倒せない』は関係ありません。
五年後、元夫の後悔が遅すぎる。~娘が「パパ」と呼びそうで困ってます~
放浪人
恋愛
「君との婚姻は無効だ。実家へ帰るがいい」
大聖堂の冷たい石畳の上で、辺境伯ロルフから突然「婚姻は最初から無かった」と宣告された子爵家次女のエリシア。実家にも見放され、身重の体で王都の旧市街へ追放された彼女は、絶望のどん底で愛娘クララを出産する。
生き抜くために針と糸を握ったエリシアは、持ち前の技術で不思議な力を持つ「祝布(しゅくふ)」を織り上げる職人として立ち上がる。施しではなく「仕事」として正当な対価を払い、決して土足で踏み込んでこない救恤院の監督官リュシアンの温かい優しさに触れエリシアは少しずつ人間らしい心と笑顔を取り戻していった。
しかし五年後。辺境を襲った疫病を救うための緊急要請を通じ、エリシアは冷酷だった元夫ロルフと再会してしまう。しかも隣にいる娘の青い瞳は彼と瓜二つだった。
「すまない。私は父としての責任を果たす」
かつての合理主義の塊だった元夫は、自らの過ちを深く悔い、家の権益を捨ててでも母子を守る「強固な盾」になろうとする。娘のクララもまた、危機から救ってくれた彼を「パパ」と呼び始めてしまい……。
だが、どんなに後悔されても、どんなに身を挺して守られても、一度完全に壊された関係が元に戻ることは絶対にない。エリシアが真の伴侶として選ぶのは、凍えた心を溶かし、温かい日常を共に歩んでくれたリュシアンただ一人だった。
これは、全てを奪われた一人の女性が母として力強く成長し誰にも脅かされることのない「本物の家族」と「静かで確かな幸福」を自分の手で選び取るまでの物語。
R・P・G ~転生して不死にされた俺は、最強の英雄たちと滅ぼすはずだった異世界を統治する~
イット
ファンタジー
オカルト雑誌の編集者として働いていた瀬川凛人(40)は、怪現象の取材中、異世界の大地の女神と接触する。
半ば強制的に異世界へと転生させられた彼は、惑星そのものと同化し、“星骸の主”として不死の存在へと変貌した。
だが女神から与えられた使命は、この世界の生命を滅ぼし、星を「リセット」すること。凛人はその命令を、拒否する。
彼は、大地の女神により創造された星骸と呼ばれる伝説の六英雄の一人を従者とし、世界を知るため、そして残りの星骸を探すため旅に出る。
しかし一つ選択を誤れば世界が滅びる危うい存在……
女神の使命を「絶対拒否」する不死者と、裏ボス級の従者たち。
これは、世界を滅ぼさず、統治することを選んだ男の英雄譚である。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
【状態異常無効】の俺、呪われた秘境に捨てられたけど、毒沼はただの温泉だし、呪いの果実は極上の美味でした
夏見ナイ
ファンタジー
支援術師ルインは【状態異常無効】という地味なスキルしか持たないことから、パーティを追放され、生きては帰れない『魔瘴の森』に捨てられてしまう。
しかし、彼にとってそこは楽園だった!致死性の毒沼は極上の温泉に、呪いの果実は栄養満点の美味に。唯一無二のスキルで死の土地を快適な拠点に変え、自由気ままなスローライフを満喫する。
やがて呪いで石化したエルフの少女を救い、もふもふの神獣を仲間に加え、彼の楽園はさらに賑やかになっていく。
一方、ルインを捨てた元パーティは崩壊寸前で……。
これは、追放された青年が、意図せず世界を救う拠点を作り上げてしまう、勘違い無自覚スローライフ・ファンタジー!
攻撃魔法を使えないヒーラーの俺が、回復魔法で最強でした。 -俺は何度でも救うとそう決めた-【[完]】
水無月いい人(minazuki)
ファンタジー
【HOTランキング一位獲得作品】
【一次選考通過作品】
---
とある剣と魔法の世界で、
ある男女の間に赤ん坊が生まれた。
名をアスフィ・シーネット。
才能が無ければ魔法が使えない、そんな世界で彼は運良く魔法の才能を持って産まれた。
だが、使用できるのは攻撃魔法ではなく回復魔法のみだった。
攻撃魔法を一切使えない彼は、冒険者達からも距離を置かれていた。
彼は誓う、俺は回復魔法で最強になると。
---------
もし気に入っていただけたら、ブクマや評価、感想をいただけると大変励みになります!
#ヒラ俺
この度ついに完結しました。
1年以上書き続けた作品です。
途中迷走してました……。
今までありがとうございました!
---
追記:2025/09/20
再編、あるいは続編を書くか迷ってます。
もし気になる方は、
コメント頂けるとするかもしれないです。
最難関ダンジョンをクリアした成功報酬は勇者パーティーの裏切りでした
新緑あらた
ファンタジー
最難関であるS級ダンジョン最深部の隠し部屋。金銀財宝を前に告げられた言葉は労いでも喜びでもなく、解雇通告だった。
「もうオマエはいらん」
勇者アレクサンダー、癒し手エリーゼ、赤魔道士フェルノに、自身の黒髪黒目を忌避しないことから期待していた俺は大きなショックを受ける。
ヤツらは俺の外見を受け入れていたわけじゃない。ただ仲間と思っていなかっただけ、眼中になかっただけなのだ。
転生者は曾祖父だけどチートは隔世遺伝した「俺」にも受け継がれています。
勇者達は大富豪スタートで貧民窟の住人がゴールです(笑)
出来損ない貴族の三男は、謎スキル【サブスク】で世界最強へと成り上がる〜今日も僕は、無能を演じながら能力を徴収する〜
シマセイ
ファンタジー
実力至上主義の貴族家に転生したものの、何の才能も持たない三男のルキウスは、「出来損ない」として優秀な兄たちから虐げられる日々を送っていた。
起死回生を願った五歳の「スキルの儀」で彼が授かったのは、【サブスクリプション】という誰も聞いたことのない謎のスキル。
その結果、彼の立場はさらに悪化。完全な「クズ」の烙印を押され、家族から存在しない者として扱われるようになってしまう。
絶望の淵で彼に寄り添うのは、心優しき専属メイドただ一人。
役立たずと蔑まれたこの謎のスキルが、やがて少年の運命を、そして世界を静かに揺るがしていくことを、まだ誰も知らない。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる