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バムの前世(バムの独白 1)
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俺は大人にもなって親からお年玉をもらうような情けない無職のニートだった。
Fラン大を2年で中退し、その後は日雇い派遣やバイトを繰り返し定職につけなかった。
弁当工場でバイトしていた27歳のころだったと思う。
その日もまたパートのババアにネチネチ嫌味を言われていた。
「昨日も言ったじゃないの。ここには卵焼きを置くって」
内藤とかいう梅干しみたいな顔した偉そうなババアだった。
「は、はあ」
「もー、何回言ったら分かってくれるのかね?」今度は柴漬けみたいな別のババアが口出してきた。
青いコンテナの白米をぶちまけてキレてやろうかと思ったが、後で工場長に怒られてめんどくさいことになるのも嫌だったので、ババアたちの小言を我慢して聞いていた。
次の日から、バイトに行くのをやめた。コンビニ弁当なんて作ってられるかよ。
弁当工場でパートのババアたちからいびられて、働くのが嫌になって引きこもった。
引きこもってからはネトゲにはまり、一時期はネトゲ廃人一歩手前だった。
昼間は寝て、夜に活動する。まるでハムスターのような昼夜逆転した生活をしていた。
夜の11時に万年床から這い出し冷蔵庫のものを漁り、それからゲームばかりしていた。
親父や母親は「定職に就け」だの「自立しろ」だの毎日のように言ってきたが無視した。
引きこもって3年目に、親もあきらめたのか小言を言わなくなった。
お盆で親が地方に2、3日出かけていた。
冷蔵庫には食材はほとんどなく、台所のテーブルの上に5000円札と「これで何か買って食べて」と書置きがあった。
近くのファミマまで食べ物を買いに行くことにした。
ファミマに入り、カゴを腕にかけてオニギリやスイーツをポイポイとカゴに放り込む。
ひさびさの外出は妙な感じだった。
ゲームの曲を鼻歌うたいながら我が家を目指した。
夜空を見上げると、街灯に蛾だの羽虫が集まっているのが見えた。
家に戻り玄関の明かりをつける。
横の姿見にうつっていたのは、だらしなくブヨブヨに太った白豚だった。
一瞬誰か分からなかった。
誰だよ、このオッサン。
落ち武者みたいな髪型でギトギトに脂ぎって。
ふと自分の頭をかくと、鏡の中のオッサンも頭をかいた。
「おおおおーっ、俺かよーーーーーっ」
自分だって分かり、ショックで頭を抱えて三和土に座り込んでしまった。
普通の奴なら改心して普通の生活に戻ろうと努力するだろう。
でも俺はクズで根っからの怠け者だった。
就職氷河期のご時世、俺みたいなFラン中退で引きこもりなんて、どこの会社が雇ってくれるというのだろうか。
書類選考さえも通らないだろう。
俺は現実に向き合いたくなくて、ますますネトゲにハマった。
ゲームの世界が俺の世界だった。
ネトゲの友が本当の友達だった。
そんなもの幻想だと気が付くのに10年かかった。10年もの貴重な時間をゲームに費やしてしまった。
ファンタジーなんて所詮ファンタジーで、幻想のなにものでもなかったのだ。
Fラン大を2年で中退し、その後は日雇い派遣やバイトを繰り返し定職につけなかった。
弁当工場でバイトしていた27歳のころだったと思う。
その日もまたパートのババアにネチネチ嫌味を言われていた。
「昨日も言ったじゃないの。ここには卵焼きを置くって」
内藤とかいう梅干しみたいな顔した偉そうなババアだった。
「は、はあ」
「もー、何回言ったら分かってくれるのかね?」今度は柴漬けみたいな別のババアが口出してきた。
青いコンテナの白米をぶちまけてキレてやろうかと思ったが、後で工場長に怒られてめんどくさいことになるのも嫌だったので、ババアたちの小言を我慢して聞いていた。
次の日から、バイトに行くのをやめた。コンビニ弁当なんて作ってられるかよ。
弁当工場でパートのババアたちからいびられて、働くのが嫌になって引きこもった。
引きこもってからはネトゲにはまり、一時期はネトゲ廃人一歩手前だった。
昼間は寝て、夜に活動する。まるでハムスターのような昼夜逆転した生活をしていた。
夜の11時に万年床から這い出し冷蔵庫のものを漁り、それからゲームばかりしていた。
親父や母親は「定職に就け」だの「自立しろ」だの毎日のように言ってきたが無視した。
引きこもって3年目に、親もあきらめたのか小言を言わなくなった。
お盆で親が地方に2、3日出かけていた。
冷蔵庫には食材はほとんどなく、台所のテーブルの上に5000円札と「これで何か買って食べて」と書置きがあった。
近くのファミマまで食べ物を買いに行くことにした。
ファミマに入り、カゴを腕にかけてオニギリやスイーツをポイポイとカゴに放り込む。
ひさびさの外出は妙な感じだった。
ゲームの曲を鼻歌うたいながら我が家を目指した。
夜空を見上げると、街灯に蛾だの羽虫が集まっているのが見えた。
家に戻り玄関の明かりをつける。
横の姿見にうつっていたのは、だらしなくブヨブヨに太った白豚だった。
一瞬誰か分からなかった。
誰だよ、このオッサン。
落ち武者みたいな髪型でギトギトに脂ぎって。
ふと自分の頭をかくと、鏡の中のオッサンも頭をかいた。
「おおおおーっ、俺かよーーーーーっ」
自分だって分かり、ショックで頭を抱えて三和土に座り込んでしまった。
普通の奴なら改心して普通の生活に戻ろうと努力するだろう。
でも俺はクズで根っからの怠け者だった。
就職氷河期のご時世、俺みたいなFラン中退で引きこもりなんて、どこの会社が雇ってくれるというのだろうか。
書類選考さえも通らないだろう。
俺は現実に向き合いたくなくて、ますますネトゲにハマった。
ゲームの世界が俺の世界だった。
ネトゲの友が本当の友達だった。
そんなもの幻想だと気が付くのに10年かかった。10年もの貴重な時間をゲームに費やしてしまった。
ファンタジーなんて所詮ファンタジーで、幻想のなにものでもなかったのだ。
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