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試験編
第七十三話 第二試験始動
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総督は驚く受験者をしり目に次の試験の説明を進める。
「地球外生物……いわゆる宇宙人というものだ。だが、今回お前たちが戦ってもらうのは、人型ではなく、獣型……というのも、いささか語弊があるか……」
総督はその地球外生物がどういう言葉でなら、皆に理解してもらえるかと頭を悩ませる。
「ええ……っと、怪物?」
(一気におっかなくなった!!)
画面の先の受験生たちの心の声はほぼシンクロしていた。だが、その呼び名を総督は気に入ったらしく、
「うん! 怪物! これだな!」
自身が引き出したワードに相当納得していた。それゆえに、受験生の不安は更に高まる。
「詳しくはまた明日話すが、お前たちには明日、この怪物たちと1対1のガチンコ勝負をしてもらう。と言っても、もちろん現実世界ではなく、電脳世界でだけどな」
その言葉を聞き、一応安堵のため息を漏らす受験者たち。だが、ここにいる受験者たちはもうすでに電脳世界と言っても、その感覚や痛みなどは現実世界とほとんど変わりないことを知っていた。そのため、気は抜かず、すぐさま気持ちを切り替え、総督の言葉に耳を傾ける。
「対戦する怪物は一人ひとり異なり、私とAIがお前たちでも、倒せそうなランクの怪物から選ばせてもらう。それと、武器と装備だが、それは私たちがいつも使っているものを君たちにも使ってもらうつもりだ。それでは、詳しい説明は後日ということで……明日の9時。今日と同様に電脳ギアを装着し、試験会場に向かえ。食堂は6時から8時まで開けておくので、朝食を取りたい者は各自の判断で済ませろ」
ここまで述べると、総督は咳ばらいを1回し、画面上で不敵に笑う。
「それでは、受験者諸君。明日の試験、お楽しみに」
そう告げると、画面は黒くなり、総督は姿を消した。
「……寝るか」
最後まで、総督の話を聞いた焔は、伸びをしながら、そう言った。
「案外、あっさりとしていますね、焔さん」
「ま、今更焦ったところで、何も変わらんだろ」
焔はベッドに寝転がり、布団をかぶる。
「そんじゃ、電気消しといて」
「はい。それでは、お休みなさいませ」
「はい、お休み」
電気は消え、窓も何もない部屋は暗黒に包まれる。静寂に支配された部屋には、焔の鼻息と、布団と衣服が擦れる音だけが時々、その支配から抜け出す。
2時間後。
「焔さん。まだ、起きてますよね」
その声に、布団の中で一瞬、でかい物音がした。それは布団と衣服が擦れる音にしてはいささかでかすぎる音だった。
「本当は総督の説明を聞いて、緊張してますよね?」
「……」
「そうですか」
「……」
「強がりもいいですけど、どうかほどほどに」
「……ああ」
AIの善意に焔は聞こえるか聞こえないかぐらいの声量でポツリと呟いた。しばらくすると、そこには真の静寂が訪れた。
―――「さて、行ってくるか」
「それでは、行ってらっしゃいませ」
約束の時間、9時になったので、焔は言われた通り電脳世界へと飛ぶ。飛んだ先は以前と同じような何もない空間がただ広がっているだけだった。ただ、以前と違った点が2つあった。一つはあたりを見回せど、自分以外の誰もいないことだった。
「おいおい、誰もいねえじゃねえか。ま、どうせまた、1人にされるのはわかってたけど」
初めは、また皆集められて説明を聞くものだと思っていた焔は、この状況に対し苦笑いで独り言を口にする。1人でいるよりも、皆といたほうが不安が和らぐ、そんな気持ちからの愚痴であったが、それ以上にあの少女にもう一度会いたいという思いの方が強かったのだった。
しばらくたっても、誰も来ないことから、大体状況を察した焔は2つ目の違う点に目を向ける。
「AIさん、何か服が変わってるんですけど……これ何?」
そう言いながら、焔は自分の姿に目を移す。先ほどまで、持ってきたトレーニングウェアに身を包んでいた焔だったが、電脳世界に来ると、その服装は変わっていた。
上半身は黒のピッチリと密着したトレーニングウェア、下はゆったりとしたズボンに少し長めのブーツという風に服装は変わっていた。
「総督が言っていたでしょ。装備もこちらで用意すると」
「ああ、そんなこと言ってたな。でも、これ薄すぎない? もっと何か身を守れるガッチリしたやつだと思ってたわ」
「これは肌着みたいなものですからね。本来ならもう少し着ます。例えば、シンさんがいつも身に着けているコートも隊服です」
「ああ、あれ隊服なんだ。そう言えば、下はこんな感じだったな。夏もこれの半そでバージョンだったっけ」
この服装に納得を示した焔。すると、タイミングを見計らったように、総督の声が空間中に響き渡る。
「それでは、今より第二試験の説明をしていく」
すると、突如として空間上に総督の顔が大きく表示された。
「と、その前に説明は前後するが、次の試験について少し話しておく。次の試験、第三試験で全ての試験は終了となる」
その言葉聞いた受験生たちは、口には出さないが、終わりが見えたことへの安堵からか胸をなでおろし、表情が緩んでいく者たちが多々見られた。焔も一瞬、安堵のため息を漏らすが、すぐに総督の話に耳を傾けた。
「第三試験は対人戦闘だ。この第二試験をクリアした者同士で戦ってもらうつもりだ。だが、別にトーナメント形式にするつもりはない。対戦相手はこちらで決めさせてもらう。そして、対戦回数は2回だ。その2回のうちに力を示せ。その内容次第で、お前たちの命運が決定される。ま、銃を扱う者は違う選定方法を用意するつもりだから、そこはあしからず」
「てことは、勝ち負けで判断するんじゃなくて、その対戦内容で判断するってことか」
焔は口に出すことでより理解を深める。
「そういうことですね」
AIからのお墨付きも貰った焔は、取り敢えずこのことは頭に留めておき、再び総督の話へと戻る。
「だが、これは第二試験でも同じように言える。もちろん、負けたものは問答無用で失格。だが、怪物を倒した者たちは皆等しく合格……というわけにはならん。その討伐内容によって、私とAIがきっちりと評価させてもらう。評価内容は敢えて言わん。言ってしまえば、そのことが頭にチラつき、本来の実力を発揮できないだろうからな。というか、項目が多すぎて、全てを理解して、戦うことなんて不可能だろう。ま、私から言えることは、今自身が持っている力を最大限引き出して戦え、ということぐらいかな。ここまでの話を要約すると、第二試験、そして第三試験の評価を元に最終的な合格者を決めると言うことだ。ここからは、ただ合格すればそれでよし、とはいかなくなるので、皆注意して試験にあたるように」
その説明を聞いた受験者たちはより一層と気を引き締める。これからの試験はしっかりと自分を評価される。見られるということを意識し出したのか、まだ試験は始まっていないのに、背筋を伸ばして、姿勢を整える者も現れ始めた。
「焔さん。まだ、気を緩めていても大丈夫ですよ」
「あ、そうなの」
休むことなく、説明をした総督は一度、短く咳払いをすると、再び説明を始める。
「さて……では、これより第二試験の本格的な説明に入る。皆心して聞くように」
不安がる者、総督が言っていたことを今一度整理していた者も、気持ちを切り替え、食い入るように総督の話に耳を傾ける。
「昨日言ったように、お前たちには1対1で怪物と戦ってもらう。どんな怪物と戦うかは直前に教える。で、ただ単にいきなり戦えと言われても無理があるのはこちらも重々承知している。だから、お前たちには2つのアドバンテージをやる。1つは武器と装備。武器はこの組織で実際に地球外生物と戦うために用いているものを用意した」
そう言うと、突然受験者の後ろの方に多数の武器が出現する。
「後で、好きな武器を1つ選んでもらう。そして装備だが、今来てもらっているウェアだが、それは衝撃吸収や、身体能力の補助、疲労軽減などの性能を備えているのだが、今回は防御面の性能は無効化してある。装備に頼りきりになってしまえば、ちゃんとした評価が出来ないからな。続いて、そのブーツだが、ウェア同様に身体能力の補助をしてくれる。そして、もう1つの機能は靴底から圧縮した空気が放たれることだ。使い方は各々が判断してくれ。いきなり使いこなせと言われても、無理があるだろうから、試験の前に1時間だけ、準備時間を設ける。そこで、各自調整を行え」
それから、総督は間を置くことなく、続いてのアドバンテージについて話始める。
「2つ目のアドバンテージだが、それは情報だ。戦いには色々な要素が必要だが、情報は極めて重要だ。情報なくして、ただ単に敵陣に突っ込む奴なんていないだろ? だから、お前たちにも怪物に対する情報を与える。情報は試験を始める10分前に開示する。それを聞き、どうやって怪物と戦うのか、よく考えることだ。それでは、5分間時間をやる。その間に使う武器を一つ選べ」
時間を設けられたためか、皆慌てて武器が並べられているところへ走り、どれを使おうか吟味を始める。焔も同様に、並べられた武器を見ながら、どれにしようか考える。
武器かー。いつもは剣と素手だったからな……剣と素手なら……剣だな。
取り敢えず、使う武器を剣と決めると、剣が並べられているところへ移動する。だが、剣にも色々な種類があり、悩む焔だったが、ある剣を見て足を止める。それはいつもシンとの特訓で使っていた刃渡り短めの片刃の剣だった。焔はその剣を手に取り、何度か振ってみると、剣を眺めながら笑った。
「やっぱり、これだな」
5分が経つと、並べられていた武器が消え、総督の顔が再び表示された。
「皆武器は選び終わったようだな。それでは、これより1時間、この空間を好きに使ってもらって構わない。それぞれ武器の性能やら、ブーツの使い方やらをこの時間内にできうる限り試しておくことをお勧めする。ちなみに、武器やブーツの性能については、AIが説明してくれる。それでは、1時間後にまた」
そう言い残すと、総督は消えた。それと同時に、01:00という文字が現れ、次の瞬間、00:59に変った。つまり、1時間のカウントダウンが始まったということだ。
皆、糸が切れたかのようにAIに説明を求める。かくいう、焔も同じようにAIに話しかける。
「それでは、AIさん。よろしく頼むわ」
「はい。では、武器、そしてエアブラストブーツの説明をしていきますね」
「地球外生物……いわゆる宇宙人というものだ。だが、今回お前たちが戦ってもらうのは、人型ではなく、獣型……というのも、いささか語弊があるか……」
総督はその地球外生物がどういう言葉でなら、皆に理解してもらえるかと頭を悩ませる。
「ええ……っと、怪物?」
(一気におっかなくなった!!)
画面の先の受験生たちの心の声はほぼシンクロしていた。だが、その呼び名を総督は気に入ったらしく、
「うん! 怪物! これだな!」
自身が引き出したワードに相当納得していた。それゆえに、受験生の不安は更に高まる。
「詳しくはまた明日話すが、お前たちには明日、この怪物たちと1対1のガチンコ勝負をしてもらう。と言っても、もちろん現実世界ではなく、電脳世界でだけどな」
その言葉を聞き、一応安堵のため息を漏らす受験者たち。だが、ここにいる受験者たちはもうすでに電脳世界と言っても、その感覚や痛みなどは現実世界とほとんど変わりないことを知っていた。そのため、気は抜かず、すぐさま気持ちを切り替え、総督の言葉に耳を傾ける。
「対戦する怪物は一人ひとり異なり、私とAIがお前たちでも、倒せそうなランクの怪物から選ばせてもらう。それと、武器と装備だが、それは私たちがいつも使っているものを君たちにも使ってもらうつもりだ。それでは、詳しい説明は後日ということで……明日の9時。今日と同様に電脳ギアを装着し、試験会場に向かえ。食堂は6時から8時まで開けておくので、朝食を取りたい者は各自の判断で済ませろ」
ここまで述べると、総督は咳ばらいを1回し、画面上で不敵に笑う。
「それでは、受験者諸君。明日の試験、お楽しみに」
そう告げると、画面は黒くなり、総督は姿を消した。
「……寝るか」
最後まで、総督の話を聞いた焔は、伸びをしながら、そう言った。
「案外、あっさりとしていますね、焔さん」
「ま、今更焦ったところで、何も変わらんだろ」
焔はベッドに寝転がり、布団をかぶる。
「そんじゃ、電気消しといて」
「はい。それでは、お休みなさいませ」
「はい、お休み」
電気は消え、窓も何もない部屋は暗黒に包まれる。静寂に支配された部屋には、焔の鼻息と、布団と衣服が擦れる音だけが時々、その支配から抜け出す。
2時間後。
「焔さん。まだ、起きてますよね」
その声に、布団の中で一瞬、でかい物音がした。それは布団と衣服が擦れる音にしてはいささかでかすぎる音だった。
「本当は総督の説明を聞いて、緊張してますよね?」
「……」
「そうですか」
「……」
「強がりもいいですけど、どうかほどほどに」
「……ああ」
AIの善意に焔は聞こえるか聞こえないかぐらいの声量でポツリと呟いた。しばらくすると、そこには真の静寂が訪れた。
―――「さて、行ってくるか」
「それでは、行ってらっしゃいませ」
約束の時間、9時になったので、焔は言われた通り電脳世界へと飛ぶ。飛んだ先は以前と同じような何もない空間がただ広がっているだけだった。ただ、以前と違った点が2つあった。一つはあたりを見回せど、自分以外の誰もいないことだった。
「おいおい、誰もいねえじゃねえか。ま、どうせまた、1人にされるのはわかってたけど」
初めは、また皆集められて説明を聞くものだと思っていた焔は、この状況に対し苦笑いで独り言を口にする。1人でいるよりも、皆といたほうが不安が和らぐ、そんな気持ちからの愚痴であったが、それ以上にあの少女にもう一度会いたいという思いの方が強かったのだった。
しばらくたっても、誰も来ないことから、大体状況を察した焔は2つ目の違う点に目を向ける。
「AIさん、何か服が変わってるんですけど……これ何?」
そう言いながら、焔は自分の姿に目を移す。先ほどまで、持ってきたトレーニングウェアに身を包んでいた焔だったが、電脳世界に来ると、その服装は変わっていた。
上半身は黒のピッチリと密着したトレーニングウェア、下はゆったりとしたズボンに少し長めのブーツという風に服装は変わっていた。
「総督が言っていたでしょ。装備もこちらで用意すると」
「ああ、そんなこと言ってたな。でも、これ薄すぎない? もっと何か身を守れるガッチリしたやつだと思ってたわ」
「これは肌着みたいなものですからね。本来ならもう少し着ます。例えば、シンさんがいつも身に着けているコートも隊服です」
「ああ、あれ隊服なんだ。そう言えば、下はこんな感じだったな。夏もこれの半そでバージョンだったっけ」
この服装に納得を示した焔。すると、タイミングを見計らったように、総督の声が空間中に響き渡る。
「それでは、今より第二試験の説明をしていく」
すると、突如として空間上に総督の顔が大きく表示された。
「と、その前に説明は前後するが、次の試験について少し話しておく。次の試験、第三試験で全ての試験は終了となる」
その言葉聞いた受験生たちは、口には出さないが、終わりが見えたことへの安堵からか胸をなでおろし、表情が緩んでいく者たちが多々見られた。焔も一瞬、安堵のため息を漏らすが、すぐに総督の話に耳を傾けた。
「第三試験は対人戦闘だ。この第二試験をクリアした者同士で戦ってもらうつもりだ。だが、別にトーナメント形式にするつもりはない。対戦相手はこちらで決めさせてもらう。そして、対戦回数は2回だ。その2回のうちに力を示せ。その内容次第で、お前たちの命運が決定される。ま、銃を扱う者は違う選定方法を用意するつもりだから、そこはあしからず」
「てことは、勝ち負けで判断するんじゃなくて、その対戦内容で判断するってことか」
焔は口に出すことでより理解を深める。
「そういうことですね」
AIからのお墨付きも貰った焔は、取り敢えずこのことは頭に留めておき、再び総督の話へと戻る。
「だが、これは第二試験でも同じように言える。もちろん、負けたものは問答無用で失格。だが、怪物を倒した者たちは皆等しく合格……というわけにはならん。その討伐内容によって、私とAIがきっちりと評価させてもらう。評価内容は敢えて言わん。言ってしまえば、そのことが頭にチラつき、本来の実力を発揮できないだろうからな。というか、項目が多すぎて、全てを理解して、戦うことなんて不可能だろう。ま、私から言えることは、今自身が持っている力を最大限引き出して戦え、ということぐらいかな。ここまでの話を要約すると、第二試験、そして第三試験の評価を元に最終的な合格者を決めると言うことだ。ここからは、ただ合格すればそれでよし、とはいかなくなるので、皆注意して試験にあたるように」
その説明を聞いた受験者たちはより一層と気を引き締める。これからの試験はしっかりと自分を評価される。見られるということを意識し出したのか、まだ試験は始まっていないのに、背筋を伸ばして、姿勢を整える者も現れ始めた。
「焔さん。まだ、気を緩めていても大丈夫ですよ」
「あ、そうなの」
休むことなく、説明をした総督は一度、短く咳払いをすると、再び説明を始める。
「さて……では、これより第二試験の本格的な説明に入る。皆心して聞くように」
不安がる者、総督が言っていたことを今一度整理していた者も、気持ちを切り替え、食い入るように総督の話に耳を傾ける。
「昨日言ったように、お前たちには1対1で怪物と戦ってもらう。どんな怪物と戦うかは直前に教える。で、ただ単にいきなり戦えと言われても無理があるのはこちらも重々承知している。だから、お前たちには2つのアドバンテージをやる。1つは武器と装備。武器はこの組織で実際に地球外生物と戦うために用いているものを用意した」
そう言うと、突然受験者の後ろの方に多数の武器が出現する。
「後で、好きな武器を1つ選んでもらう。そして装備だが、今来てもらっているウェアだが、それは衝撃吸収や、身体能力の補助、疲労軽減などの性能を備えているのだが、今回は防御面の性能は無効化してある。装備に頼りきりになってしまえば、ちゃんとした評価が出来ないからな。続いて、そのブーツだが、ウェア同様に身体能力の補助をしてくれる。そして、もう1つの機能は靴底から圧縮した空気が放たれることだ。使い方は各々が判断してくれ。いきなり使いこなせと言われても、無理があるだろうから、試験の前に1時間だけ、準備時間を設ける。そこで、各自調整を行え」
それから、総督は間を置くことなく、続いてのアドバンテージについて話始める。
「2つ目のアドバンテージだが、それは情報だ。戦いには色々な要素が必要だが、情報は極めて重要だ。情報なくして、ただ単に敵陣に突っ込む奴なんていないだろ? だから、お前たちにも怪物に対する情報を与える。情報は試験を始める10分前に開示する。それを聞き、どうやって怪物と戦うのか、よく考えることだ。それでは、5分間時間をやる。その間に使う武器を一つ選べ」
時間を設けられたためか、皆慌てて武器が並べられているところへ走り、どれを使おうか吟味を始める。焔も同様に、並べられた武器を見ながら、どれにしようか考える。
武器かー。いつもは剣と素手だったからな……剣と素手なら……剣だな。
取り敢えず、使う武器を剣と決めると、剣が並べられているところへ移動する。だが、剣にも色々な種類があり、悩む焔だったが、ある剣を見て足を止める。それはいつもシンとの特訓で使っていた刃渡り短めの片刃の剣だった。焔はその剣を手に取り、何度か振ってみると、剣を眺めながら笑った。
「やっぱり、これだな」
5分が経つと、並べられていた武器が消え、総督の顔が再び表示された。
「皆武器は選び終わったようだな。それでは、これより1時間、この空間を好きに使ってもらって構わない。それぞれ武器の性能やら、ブーツの使い方やらをこの時間内にできうる限り試しておくことをお勧めする。ちなみに、武器やブーツの性能については、AIが説明してくれる。それでは、1時間後にまた」
そう言い残すと、総督は消えた。それと同時に、01:00という文字が現れ、次の瞬間、00:59に変った。つまり、1時間のカウントダウンが始まったということだ。
皆、糸が切れたかのようにAIに説明を求める。かくいう、焔も同じようにAIに話しかける。
「それでは、AIさん。よろしく頼むわ」
「はい。では、武器、そしてエアブラストブーツの説明をしていきますね」
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