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18 side 香緒 1.
何でこんな事になったんだろう……
無理矢理乗せられた車の後部座席に横たわりながら僕は考えていた。
撮影後、司に見つからないよう帰ろうとしたのに、1階で待ち伏せされていて捕まってしまった。振り解こうにも体格差がありすぎて無理があり、その上さっきまでの撮影で疲労していて抵抗する力もなかった。
武琉……心配してるだろうな……
必死で名を呼びこちらに向かってくる姿を見て昔を思い出してしまう。また辛い思いをさせたんじゃないかと心配になった。せめて連絡位入れられたらいいのだけど、ご丁寧に持っていたバッグは助手席の座席下に置かれてここからは手も届かない。
「香緒~?どっか飯でも食いに行くか?」
運転席から、全く悪びれない司の声が聞こえた。
「……そんな気分じゃない。友達が心配するからさっきの場所に帰して」
出来るだけ司を刺激しないよう、淡々とそう返事をする。
「友達ねぇ……」
その意味深な物言いに、武琉との休憩中に起こった出来事を、司は見ていたのかも知れないと思った。
「大人なんだから勝手に帰るだろ。それより久しぶりに会ったんだから、俺に付き合ってくれてもいいんじゃないか~?」
同じ家に帰るなんて事を言って、余計な詮索はされたくない。ここは一旦大人しく従って早く解放してもらう方が得策かも知れないと思い直した。
「わかった。食事だけ付き合うから」
「よし!じゃ、何処行くかな~」
司は思いの外嬉しそうに声弾ませそう言った。
僕だって、昔の関係を除けば司は尊敬できる人だし話したい事だってある。ただ、撮影中耳打ちされた言葉が気になっていた。
『……いい顔だ。もう一度俺の腕の中で啼かせたくなるな』
僕はあの頃とは違う。もう流される事なんかない。誰よりも大切な人がいてくれるから。
そう思いながら、小さな窓から見える空を見上げた。
雨……とうとう降って来たな
後部座席の窓にもたれかかるように座り直し外を見る。
ゲリラ豪雨と思われる真っ黒な雲は、一瞬にして辺りを雨の飛沫に包み込んだ。
雨は嫌いだ……。嫌な事を思い出す
武琉と別れなくてはいけなくなったあの日も雨だった。
それから雨の日は憂鬱になる。武琉と再会してやっとそれもなくなったのに、今また同じような状況になり、その時の気持ちを思い出してしまう。
けれど、あの時のような絶望感はない。家に戻れば武琉が待ってくれいる。そう思うだけで気持ちは軽くなった。
「そう言えば、お前希海と一緒に暮らしてんだろ?響のやつも。アイツもしばらく見ないうちにいい顔出来るようになったじゃねぇか。前は生意気なガキだったのにな」
「そうでしょ?響だって努力してるからね」
「まあ、希海がいたからあんな顔も出来たんだろうけど。本当、面白かったわアイツら」
そう楽しげに言う司に、2人は前の撮影時、相当引っ掻き回されたんだなと簡単に想像できた。でなければあんなに疲れて帰ってこないだろう。
本当に……司は性格が悪い……と呆れるばかりだ。
甥と叔父である希海と司の見た目は正反対で、イメージ的には希海が黒で司が白。なのに中身は真逆。
希海は口数は少ないものの、とても優しい。ただ悪戯に甘やかしたりせず、間違いをちゃんと正してくれるような優しさだ。
司の方は天使を唆し堕天させるような、そんな魅惑的だが危険なところがある。希海に『カメラの腕以外は問題だらけ』と言われてしまうのも納得出来る。
「で、どこまで行くの?かなり走ってるけど」
窓の向こう側は雨雲から離れ、青空が覗いている。
本当なら、武琉とこの景色を見ていたかも知れないのに……
僕はそこから見えている青い海を恨めしげに見つめ、溜め息を吐いた。
無理矢理乗せられた車の後部座席に横たわりながら僕は考えていた。
撮影後、司に見つからないよう帰ろうとしたのに、1階で待ち伏せされていて捕まってしまった。振り解こうにも体格差がありすぎて無理があり、その上さっきまでの撮影で疲労していて抵抗する力もなかった。
武琉……心配してるだろうな……
必死で名を呼びこちらに向かってくる姿を見て昔を思い出してしまう。また辛い思いをさせたんじゃないかと心配になった。せめて連絡位入れられたらいいのだけど、ご丁寧に持っていたバッグは助手席の座席下に置かれてここからは手も届かない。
「香緒~?どっか飯でも食いに行くか?」
運転席から、全く悪びれない司の声が聞こえた。
「……そんな気分じゃない。友達が心配するからさっきの場所に帰して」
出来るだけ司を刺激しないよう、淡々とそう返事をする。
「友達ねぇ……」
その意味深な物言いに、武琉との休憩中に起こった出来事を、司は見ていたのかも知れないと思った。
「大人なんだから勝手に帰るだろ。それより久しぶりに会ったんだから、俺に付き合ってくれてもいいんじゃないか~?」
同じ家に帰るなんて事を言って、余計な詮索はされたくない。ここは一旦大人しく従って早く解放してもらう方が得策かも知れないと思い直した。
「わかった。食事だけ付き合うから」
「よし!じゃ、何処行くかな~」
司は思いの外嬉しそうに声弾ませそう言った。
僕だって、昔の関係を除けば司は尊敬できる人だし話したい事だってある。ただ、撮影中耳打ちされた言葉が気になっていた。
『……いい顔だ。もう一度俺の腕の中で啼かせたくなるな』
僕はあの頃とは違う。もう流される事なんかない。誰よりも大切な人がいてくれるから。
そう思いながら、小さな窓から見える空を見上げた。
雨……とうとう降って来たな
後部座席の窓にもたれかかるように座り直し外を見る。
ゲリラ豪雨と思われる真っ黒な雲は、一瞬にして辺りを雨の飛沫に包み込んだ。
雨は嫌いだ……。嫌な事を思い出す
武琉と別れなくてはいけなくなったあの日も雨だった。
それから雨の日は憂鬱になる。武琉と再会してやっとそれもなくなったのに、今また同じような状況になり、その時の気持ちを思い出してしまう。
けれど、あの時のような絶望感はない。家に戻れば武琉が待ってくれいる。そう思うだけで気持ちは軽くなった。
「そう言えば、お前希海と一緒に暮らしてんだろ?響のやつも。アイツもしばらく見ないうちにいい顔出来るようになったじゃねぇか。前は生意気なガキだったのにな」
「そうでしょ?響だって努力してるからね」
「まあ、希海がいたからあんな顔も出来たんだろうけど。本当、面白かったわアイツら」
そう楽しげに言う司に、2人は前の撮影時、相当引っ掻き回されたんだなと簡単に想像できた。でなければあんなに疲れて帰ってこないだろう。
本当に……司は性格が悪い……と呆れるばかりだ。
甥と叔父である希海と司の見た目は正反対で、イメージ的には希海が黒で司が白。なのに中身は真逆。
希海は口数は少ないものの、とても優しい。ただ悪戯に甘やかしたりせず、間違いをちゃんと正してくれるような優しさだ。
司の方は天使を唆し堕天させるような、そんな魅惑的だが危険なところがある。希海に『カメラの腕以外は問題だらけ』と言われてしまうのも納得出来る。
「で、どこまで行くの?かなり走ってるけど」
窓の向こう側は雨雲から離れ、青空が覗いている。
本当なら、武琉とこの景色を見ていたかも知れないのに……
僕はそこから見えている青い海を恨めしげに見つめ、溜め息を吐いた。
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