花と十字架の想い

瑠璃✧*̣̩⋆̩☽⋆゜

文字の大きさ
5 / 80
旅立ち

花と十字架の想い 5話

しおりを挟む
ブローディアとカルビも連れて森を散策した。

ブローディアが道中何度もこけながら最奥までなんとか来た。

ブローディア「何か、手がかりがあるはず…」

シオン「待って、気配がする…」

アイリス「え…?」

風の音だけが響く中、ガサッと物音がして何か飛び出してきた。

シオン「くっ!!」

シオンが素早く気付き攻撃を受け止めた。

ブローディア「ま、魔物…?」

アイリス「それにしては…大きいような…」

シオン(こいつは………)

「こいつは魔獣だ!!」

シオンが声を上げた。

魔獣…魔物よりも知能があり、魔物よりも強い存在。

普通、人は襲わないはずなのだが…

シオン(仕方ないか…)

「アイリス、ブローディア、援護頼む!」

相手はそこまで動きが速いわけでもなかったので、背後に回りこむことは容易だった。

だが…

シオン「…っ、硬い…!」

ブローディア「ファイア!」

ブローディアが炎を放つと、魔獣の目が光った。

ブローディア「シオン! そいつの弱点は目!」

シオン「……アイリス! 弓でこいつの目、射抜いてくれ!」

そう言うなり、アイリスが狙いを定める時間稼ぎに、魔獣の真正面で攻撃を防いだ。

アイリス「…………やっ!!」

アイリスの放った透明の矢は、魔獣の目のど真ん中を貫いた。

シオン「…やった…か…」

魔獣がその場に倒れたのと同時にシオンも膝をついた。

アイリス「あ、シオン…怪我してる…」

側に寄って、手をかざす。

アイリス「ヒール…!」

シオン「アイリス…回復できるんだ…ありがとう」

アイリス「うん…どういたしまして」


そんな二人のやり取りを見ていたブローディアが何かに気付く。

???「魔獣を倒しましたか…頑張りましたね」

そんな声がどこからともなく聴こえ、ハッとする。

すると突然目の前が歪み、そこから黒いマントを着た男性が現れた。転移魔法だ。



???「おや、どうやら見知った顔ばかりのようですね…」

シオン(この声は……)

ブローディア(この人は……)

シオン「2年前のあの時の…!」ブローディア「箱を奪いに来た人…!」

ほぼ同時に言葉を発する。

カイヤ「ふふ、気づきましたか…私はカイヤと申します。

魔王直下の部下…『逆刃十架(ラグナクロス)』の1人です。

ジェイドにクロムも、その一員ですよ」

シオン自身、自分が追っているのは魔族だろうとは思っていたが、

魔王直下の精鋭だとは思っていなかった。

アイリス「逆刃十架……」

シオン「え…?」

アイリスがボソッとつぶやく。

カイヤ「さてと…聞きたいこともあるようですし、答えられる限りは答えましょう」

ブローディア「お兄ちゃんは!?」

間髪入れずに、ブローディアが叫ぶ。

ブローディア「貴方と戦った私のお兄ちゃん…どこに行ったの、何をしたの!?」

カイヤ「ああ……彼ですか…彼なら、今は『』になってますよ」

空気が凍った。

ブローディア「う…嘘言わないでっ、人違い…私のお兄ちゃんの名前は…フロックス…」

カイヤ「ええ知ってますよ。私たち魔族の王、フロックス様…」

シオン「……お前…まさか……

魂しか封印を解けていないからと…身体が見つかるまで、フロックスを媒体に…!!」

カイヤ「その通りです」

隠す気もないのか、サラッと言い切った。

アイリス「ど、どうしてその人を…」

カイヤ「あの人は一人でも魔族と渡り合えるだけの実力があった。

強い精神力もです。あれなら魔王様の魂にも耐えられる…そう思ったのです」

沈黙…それを質問終了と受け取ったのか、カイヤが切りだす。

カイヤ「そろそろ本題に移りますか……シオンさんのペンダントと、

ルシファーさん…あなた方にとってはアイリスですが…こちらに渡してもらいたいのです」

アイリス「……!!」

シオン(アイリスは…こんな奴らに追われていたのか…!!)

「渡すわけ…無いだろ!」

シオンが斬りかかる…が、剣を振り下ろしたところには誰も居ない。

シオン「え……」

カイヤ「遅いですよ」

いつの間にか背後に周られており、魔法でシオンは吹っ飛ばされた。

カルビ「ルビーー!!」

カルビが体当たりしに行くが、見事にかわされ木に激突。

ブローディア「シオン、カルビ! はっ…」

カイヤの狙いがアイリスに変わったことに気付き、魔法を放つ。

カイヤ「おっと…」

あっけなくかわされたが

ブローディア「アイリスは連れて行かせない…

どうしてもって言うなら、私を殺してからにしてっ」

アイリス「ブローディア!?」

沈黙…


しばらくしてカイヤが口を開く。

カイヤ「まあ、良いです。

あなた方の今の実力もわかりましたし、今日はこれで帰らせて頂きます」

一太刀ぐらい浴びせたかったが、シオンにもうそんな力はなかった。

シオン「待て……」

声を振り絞って引き止める。

シオン「なんで…クロッカスを……何であの日、俺に「」を渡した……」

アイリスたちにはなんのことかわからなかったが

カイヤ「ふっ……おもしろそうだったから…ですよ」

そう一言だけ言って、転移魔法で消えた。

シオンたちはしばらく、呆然としているしかなかった。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

「がっかりです」——その一言で終わる夫婦が、王宮にはある

柴田はつみ
恋愛
妃の席を踏みにじったのは令嬢——けれど妃の心を折ったのは、夫のたった一言だった 王太子妃リディアの唯一の安らぎは、王太子アーヴィンと交わす午後の茶会。だが新しく王宮に出入りする伯爵令嬢ミレーユは、妃の席に先に座り、殿下を私的に呼び、距離感のない振る舞いを重ねる。 リディアは王宮の礼節としてその場で正す——正しいはずだった。けれど夫は「リディア、そこまで言わなくても……」と、妃を止めた。 「わかりました。あなたには、がっかりです」 微笑んで去ったその日から、夫婦の茶会は終わる。沈黙の王宮で、言葉を失った王太子は、初めて“追う”ことを選ぶが——遅すぎた。

はじめまして、私の知らない婚約者様

有木珠乃@『ヒロ弟』コミカライズ配信中
ファンタジー
ミルドレッド・カーマイン公爵令嬢は突然、学園の食堂で話しかけられる。 見覚えのない男性。傍らには豊満な体型の女性がいる。 けれどその女性から発せられた男性の名前には、聞き覚えがあった。 ミルドレッドの婚約者であるブルーノ王子であることを。 けれどミルドレッドの反応は薄い。なぜなら彼女は……。 この世界を乙女ゲームだと知った人々による、悪役令嬢とヒロイン、魔女の入れ替え話です。 悪役令嬢を救いたかったはずなのに、どうしてこんなことに? ※他サイトにも掲載しています。

公爵令嬢は結婚式当日に死んだ

白雲八鈴
恋愛
 今日はとある公爵令嬢の結婚式だ。幸せいっぱいの公爵令嬢の前に婚約者のレイモンドが現れる。 「今日の結婚式は俺と番であるナタリーの結婚式に変更だ!そのドレスをナタリーに渡せ!」  突然のことに公爵令嬢は何を言われたのか理解できなかった。いや、したくなかった。 婚約者のレイモンドは番という運命に出逢ってしまったという。  そして、真っ白な花嫁衣装を脱がされ、そのドレスは番だという女性に着させられる。周りの者達はめでたいと大喜びだ。  その場所に居ることが出来ず公爵令嬢は外に飛び出し……  生まれ変わった令嬢は復讐を誓ったのだった。  婚約者とその番という女性に 『一発ぐらい思いっきり殴ってもいいですわね?』 そして、つがいという者に囚われた者の存在が現れる。 *タグ注意 *不快であれば閉じてください。

初夜に暴言を吐いた夫は後悔し続ける──10年後の償い【完結】

星森 永羽(ほしもりとわ)
恋愛
王命により、辺境伯ロキアのもとへ嫁いだのは、金髪翠眼の美しき公爵令嬢スフィア。 だが、初夜に彼が告げたのは、愛も権限も与えないという冷酷な宣言だった。噂に踊らされ、彼女を「穢れた花嫁」と罵ったロキア。 しかし、わずか一日でスフィアは姿を消し、教会から届いたのは婚姻無効と慰謝料請求の書状──。 王と公爵の怒りを買ったロキアは、爵位も領地も名誉も奪われ、ただの補佐官として生きることに。 そして十年後、運命のいたずらか、彼は被災地で再びスフィアと出会う。 地位も捨て、娘を抱えて生きる彼女の姿に、ロキアの胸に去来するのは、悔恨と赦しを乞う想い──。 ⚠️本作はAIの生成した文章を一部に使用しています。

【完結】冷酷伯爵ディートリヒは、去った妻を取り戻せない

くろねこ
恋愛
名門伯爵家に政略結婚で嫁いだ、正妻エレノア・リーヴェルト。夫である伯爵ディートリヒ・フォン・アイゼンヴァルトは、 軍務と義務を最優先し、彼女に関心を向けることはなかった。 言葉も、視線も、愛情も与えられない日々。それでも伯爵夫人として尽くし続けたエレノアは、ある一言をきっかけに、静かに伯爵家を去る決意をする。 ――そして初めて、夫は気づく。 自分がどれほど多くのものを、彼女から与えられていたのかを。 一方、エレノアは新たな地でその才覚と人柄を評価され、 「必要とされる存在」として歩き始めていた。 去った妻を想い、今さら後悔する冷酷伯爵。前を向いて生きる正妻令嬢。 これは、失ってから愛に気づいた男と、 二度と戻らないかもしれない夫婦の物語。 ――今さら、遅いのです。

完結 辺境伯様に嫁いで半年、完全に忘れられているようです   

ヴァンドール
恋愛
実家でも忘れられた存在で 嫁いだ辺境伯様にも離れに追いやられ、それすら 忘れ去られて早、半年が過ぎました。

つまらない妃と呼ばれた日

柴田はつみ
恋愛
公爵令嬢リーシャは政略結婚で王妃に迎えられる。だが国王レオニスの隣には、幼馴染のセレスが“当然”のように立っていた。祝宴の夜、リーシャは国王が「つまらない妃だ」と語る声を聞いてしまい、心を閉ざす。 舞踏会で差し出された手を取らず、王弟アドリアンの助けで踊ったことで、噂は一気に燃え上がる――「王妃は王弟と」「国王の本命は幼馴染」と。 さらに宰相は儀礼と世論を操り、王妃を孤立させる策略を進める。監視の影、届かない贈り物、すり替えられた言葉、そして“白薔薇の香”が事件現場に残る冤罪の罠。 リーシャは微笑を鎧に「今日から、王の隣に立たない」と決めるが、距離を取るほど誤解は確定し、王宮は二人を引き裂いていく。 ――つまらない妃とは、いったい誰が作ったのか。真実が露わになった時、失われた“隣”は戻るのか。

さようなら婚約者

あんど もあ
ファンタジー
アンジュは、五年間虐げられた婚約者から婚約破棄を告げられる。翌日、カバン一つを持って五年住んだ婚約者の家を去るアンジュ。一方、婚約者は…。

処理中です...