花と十字架の想い

瑠璃✧*̣̩⋆̩☽⋆゜

文字の大きさ
11 / 80
旅立ち

花と十字架の想い 11話

しおりを挟む
魔族はみんな撤退した。シオンはさっきまで殺されかけていた恐怖で

崩れ落ちそうなのを必死にこらえシュロに声をかける。

シオン「シュロ…ワイバーンの様子は…?」

シュロ「くっ…傷が深い…このままだと…」

思っていたより、ジェイドが与えた傷は深かった。致命傷だ。

アイリスがワイバーンに寄り、回復魔法をかけようとするが、

それをワイバーンが制止した。

ワイバーン「もう良い…剣を護る役目も無くなった…我のためにその力を酷使するな…」

アイリス「でも…」

ワイバーン「歴史は繰り返す……遥か昔のと同じ…か…」

なんの事かわからず、シオンたちは疑問顔を浮かべる。

その中でもシオンに向け、ワイバーンが言った。

ワイバーン「シオン…この先アイリスになにがあっても、責めたりはするな…」

シオン「な、なんのことかわからないけど、責めないよ。

アイリスは俺たちの仲間だ。なにがあっても」

それを聞いて安心し、ワイバーンが少し体を起こす。

シュロ「ワイバーン! 動いたら…あっ…!」

ワイバーンの体に光が帯びる。

ブローディア「まさか…待って、きっと消えない方法が!」

ワイバーン「その剣のことは頼む…それとシュロ…妹を殺したエルフは…ここ…れて

…そしてお前たちは…いずれ…己…知る…乗り越え……」

シュロ「ワイバーン!!!」

最後の方は途切れ途切れでよく分からなかった。シュロが声を上げた刹那、

ワイバーンの姿は跡形も無く消え去った。シュロがガクッと膝から崩れ落ちる。

ブローディア「シュロ……」

シュロ「大丈夫だ…ただ、先に戻っていてくれないか?

僕の家に居てくれていい。少し待っていてくれ」

ブローディア「…みんな、行こう」

シュロの胸中を察したのか、ブローディアがシオンたちに声をかける。

全員頷き、谷を去ることに。


全員がその場から居なくなったころ。

シュロ「ワイバーン…今までありがとう……どうか…安らかに…」

1人、そう呟いた。


その頃、ヘルクロス城では…

魔王フロックス「悪魔…か…クロム、アメシス、よく見つけたな」

クロム「たまたま見かけただけよ」

魔王に対しても敬語を使わないあたり…大したものである…

魔王フロックス(クロムのおかげで我々の枷となることはなさそうだな……)

「よし…お前は今日から逆刃十架の一員になってもらう。他の者も異存はないな」

逆刃十架全員、頭を下げる。

魔王フロックス「お前…名前は」

アスター「アスター…です…」

赤い目をした銀髪の青年が答える。



魔王フロックス「アスターか…お前のことはクロムから聞いたが、

アスターの想う天使はどうなった?」

アメシス「すでに、確保してあります…」

魔王フロックス「地上に降りたのか…その天使も…

アスター、やることがあるのだろう。行って良い」

無言でアスターがその場を後にする。

その姿をジェイドは背後から睨みつけていた。


シュロの家。傷の手当てや休息を取りながらシュロの帰りを待っていた。

アイリス「シュロさん…大丈夫かな?」

シオン「大丈夫だ…今は信じよう」

そう言いながら次の目的地を決めようと地図を開く。

ふとベッドでゴロゴロしているブローディアの方を見る。

シオン「ブローディア…次の場所占えないか?」

ブローディア「疲れた~…」

カルビ「ルビ~…」

カルビまで…これは駄目だ…疲労が勝っている。

そう思っていると、シュロが帰ってきた。

シュロ「みんな、待たせて済まない」

シオン「もういいのか?」

シュロ「ああ、もう平気だ。ところで、僕も君たちの旅に正式に加えてもらえないか?」

シオンたちの方に目を向けながらシュロが問う。

シオン「全然かまわない。むしろ大歓迎だ」

ブローディア「うんっ! 仲間は多い方がいいしっ!」

急に元気になった…

アイリス「よろしくお願いします。シュロさん」

シュロ「んー…」

シュロが少し考え込む。

アイリス「シュロさん?」

シュロ「それだ。僕のことは呼び捨てで構わない。敬語も無しでいい」

アイリス「あ、う、うん」

 笑い声が上がる。するとブローディアがさっきまでの疲れは吹っ飛んだのか、杖を掲げる。

ブローディア「じゃあ次の目的地占うね。少し待ってて~」

全員が杖の先のオーブに目をやった。


ミネルヴァ村から結構離れた場所にある、とある塔…その地下牢にある人が捕まっていた。

???「ん…ここ…は…?」

金髪の長い髪の少女。背には純白の翼…。



誰も居ない静かな牢。そこに響く足音とうっすら見える翼をもった人影。

???「貴方は…誰……天使…?悪魔…?」

アスター「ごめん……ごめん…っ」

???「……!!」

刹那…白い羽が舞う。アスターの手の平には自らの涙と白い羽が落ちた。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

「がっかりです」——その一言で終わる夫婦が、王宮にはある

柴田はつみ
恋愛
妃の席を踏みにじったのは令嬢——けれど妃の心を折ったのは、夫のたった一言だった 王太子妃リディアの唯一の安らぎは、王太子アーヴィンと交わす午後の茶会。だが新しく王宮に出入りする伯爵令嬢ミレーユは、妃の席に先に座り、殿下を私的に呼び、距離感のない振る舞いを重ねる。 リディアは王宮の礼節としてその場で正す——正しいはずだった。けれど夫は「リディア、そこまで言わなくても……」と、妃を止めた。 「わかりました。あなたには、がっかりです」 微笑んで去ったその日から、夫婦の茶会は終わる。沈黙の王宮で、言葉を失った王太子は、初めて“追う”ことを選ぶが——遅すぎた。

【完結】冷酷伯爵ディートリヒは、去った妻を取り戻せない

くろねこ
恋愛
名門伯爵家に政略結婚で嫁いだ、正妻エレノア・リーヴェルト。夫である伯爵ディートリヒ・フォン・アイゼンヴァルトは、 軍務と義務を最優先し、彼女に関心を向けることはなかった。 言葉も、視線も、愛情も与えられない日々。それでも伯爵夫人として尽くし続けたエレノアは、ある一言をきっかけに、静かに伯爵家を去る決意をする。 ――そして初めて、夫は気づく。 自分がどれほど多くのものを、彼女から与えられていたのかを。 一方、エレノアは新たな地でその才覚と人柄を評価され、 「必要とされる存在」として歩き始めていた。 去った妻を想い、今さら後悔する冷酷伯爵。前を向いて生きる正妻令嬢。 これは、失ってから愛に気づいた男と、 二度と戻らないかもしれない夫婦の物語。 ――今さら、遅いのです。

はじめまして、私の知らない婚約者様

有木珠乃@『ヒロ弟』コミカライズ配信中
ファンタジー
ミルドレッド・カーマイン公爵令嬢は突然、学園の食堂で話しかけられる。 見覚えのない男性。傍らには豊満な体型の女性がいる。 けれどその女性から発せられた男性の名前には、聞き覚えがあった。 ミルドレッドの婚約者であるブルーノ王子であることを。 けれどミルドレッドの反応は薄い。なぜなら彼女は……。 この世界を乙女ゲームだと知った人々による、悪役令嬢とヒロイン、魔女の入れ替え話です。 悪役令嬢を救いたかったはずなのに、どうしてこんなことに? ※他サイトにも掲載しています。

公爵令嬢は結婚式当日に死んだ

白雲八鈴
恋愛
 今日はとある公爵令嬢の結婚式だ。幸せいっぱいの公爵令嬢の前に婚約者のレイモンドが現れる。 「今日の結婚式は俺と番であるナタリーの結婚式に変更だ!そのドレスをナタリーに渡せ!」  突然のことに公爵令嬢は何を言われたのか理解できなかった。いや、したくなかった。 婚約者のレイモンドは番という運命に出逢ってしまったという。  そして、真っ白な花嫁衣装を脱がされ、そのドレスは番だという女性に着させられる。周りの者達はめでたいと大喜びだ。  その場所に居ることが出来ず公爵令嬢は外に飛び出し……  生まれ変わった令嬢は復讐を誓ったのだった。  婚約者とその番という女性に 『一発ぐらい思いっきり殴ってもいいですわね?』 そして、つがいという者に囚われた者の存在が現れる。 *タグ注意 *不快であれば閉じてください。

初夜に暴言を吐いた夫は後悔し続ける──10年後の償い【完結】

星森 永羽(ほしもりとわ)
恋愛
王命により、辺境伯ロキアのもとへ嫁いだのは、金髪翠眼の美しき公爵令嬢スフィア。 だが、初夜に彼が告げたのは、愛も権限も与えないという冷酷な宣言だった。噂に踊らされ、彼女を「穢れた花嫁」と罵ったロキア。 しかし、わずか一日でスフィアは姿を消し、教会から届いたのは婚姻無効と慰謝料請求の書状──。 王と公爵の怒りを買ったロキアは、爵位も領地も名誉も奪われ、ただの補佐官として生きることに。 そして十年後、運命のいたずらか、彼は被災地で再びスフィアと出会う。 地位も捨て、娘を抱えて生きる彼女の姿に、ロキアの胸に去来するのは、悔恨と赦しを乞う想い──。 ⚠️本作はAIの生成した文章を一部に使用しています。

つまらない妃と呼ばれた日

柴田はつみ
恋愛
公爵令嬢リーシャは政略結婚で王妃に迎えられる。だが国王レオニスの隣には、幼馴染のセレスが“当然”のように立っていた。祝宴の夜、リーシャは国王が「つまらない妃だ」と語る声を聞いてしまい、心を閉ざす。 舞踏会で差し出された手を取らず、王弟アドリアンの助けで踊ったことで、噂は一気に燃え上がる――「王妃は王弟と」「国王の本命は幼馴染」と。 さらに宰相は儀礼と世論を操り、王妃を孤立させる策略を進める。監視の影、届かない贈り物、すり替えられた言葉、そして“白薔薇の香”が事件現場に残る冤罪の罠。 リーシャは微笑を鎧に「今日から、王の隣に立たない」と決めるが、距離を取るほど誤解は確定し、王宮は二人を引き裂いていく。 ――つまらない妃とは、いったい誰が作ったのか。真実が露わになった時、失われた“隣”は戻るのか。

さようなら婚約者

あんど もあ
ファンタジー
アンジュは、五年間虐げられた婚約者から婚約破棄を告げられる。翌日、カバン一つを持って五年住んだ婚約者の家を去るアンジュ。一方、婚約者は…。

夫と息子に邪険にされたので王太子妃の座を譲ります~死に戻ってから溺愛されても今更遅い

青の雀
恋愛
夫婦喧嘩の末に置き去りにされた妻は、旦那が若い愛人とイチャついている間に盗賊に襲われ、命を落とした。 神様の温情により、10日間だけこの世に戻った妻と護衛の騎士は、その10日間の間に心残りを処分する。それは、娘の行く末と……もし、来世があるならば、今度は政略といえども夫以外の人の妻になるということ。 もう二度と夫と出会いたくない彼女は、彼女を蔑ろにしてきた息子とも縁を切ることを決意する。 生まれかわった妻は、新しい人生を強く生きることを決意。 過去世と同じ轍を踏みたくない……

処理中です...