花と十字架の想い

瑠璃✧*̣̩⋆̩☽⋆゜

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旅立ち

花と十字架の想い 16話

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みんなの疲れも少しは休まったところで、残り2階。さっさと駆け上がっていく事にした。

魔族もさっきまでと同じで下級兵レベルのみ。最上階まで行くのに問題は無かった。

シオン「苦戦させられたのは最初だけだったな」

シュロ「ああ、あんなのが何度も出てきたら堪ったものじゃない」


そうこうしているうちに最上階の少し開けた所へ。

辺りを見渡すと、周りには柱。そして何やら光っているものが奥の石の祭壇の上にある。

その祭壇のさらに奥には何かのスイッチ。

フクシア「あ、あった! あれが悪魔の輝石!」

フクシアが駆け寄ってそれを手に取る。

アイリス「あの…フクシアさん。どうして悪魔の輝石が必要なんですか?」

フクシア「フクシアでいいよ。えっと、それはね…」

フクシアが答えようとしたとき、背後に誰かが現れた。

後ろを振り向くと、銀髪に赤い眼。

そして、フクシアとは違う、黒い翼を持った男性が立っていた。

ブローディア「誰!? 貴方も魔族!?」

フクシア「アスター!!」

フクシアが叫んだ。どうやら知り合い…

そして、これは恐らく、フクシアの翼を折った悪魔だろう。

つまり魔族ではない…が

アスター「魔王様の命令で…ルシファー以外始末するように言われた…」

そう言うなり、剣を抜く。これはブレードといわれるタイプの剣だ。

アイリス「魔王…って、まさかあなたも逆刃十架の…!?」

フクシア「嘘…嘘だよね、アスター…だってアスターは折れた翼の痛みも治してくれてっ」

だがアスターは聞く気もなく、セイバーを構えてしまう。

シュロ「なんだか知らないが、今はここでやられたらまずいぞ!?」

シオン「ああ…!」

フクシア以外、全員が武器を構えた瞬間、

アスターの剣から発せられた波動でフクシア以外壁に打ち付けられた。

フクシア「みんな!」

(私にだけ攻撃出来てない…?)

フクシアがアスターの方を向き直る。

フクシア「アスター! 貴方は悪魔だけど…悪い人ではないと思う!

あんな表情、根っからの悪人が見せられる顔じゃないもん!」

アスター「フクシア……」

そう呟くも、剣は構えたままで。

フクシア「貴方になにがあったのかは知らない。

でも、シオンたちは私の仲間なの! 殺すというなら、貴方と刃を交えてでも、止める!」

そう言って、フクシアも魔法剣を抜いた。

その剣の刃は仲間になった時からそうだったが、半分黒く、半分白という、

不思議な状態だった。シオンたちはあまり気にしていなかったが…

その刃を見た瞬間、アスターの様子がおかしくなった。

アスター「フクシア…それ…堕天使化が…」

アイリス「まさか…堕天使化がもう進んでいるってこと…?」

フクシア「やっぱり…今のアスターは誰かに操られてるんだね…」

フクシアが何か言ったが、小声のためシオンたちには聞こえなかった。

すると、急にアスターが剣を落とし頭を押さえた。

アスター「フクシア…彼らを連れて早く…この塔から…逃げ…っ」

頭痛がするのだろう。苦しそうにそう言った。

フクシア「アスター!?」

フクシアが駆け寄ろうとする…


そのときアスターの背後に誰かの人影が。

???「おかしいですね…まだ洗脳しきれてないのでしょうか…」

その声、そしてその姿は、街でこの塔で天使が捕えられている情報をくれた男性だった。

ブローディア「どうしてあなたがここに…!? ここは魔族も居て危ないのに」

???「黒曜石を使っても洗脳が解けそうになるとは…

どうやら天使の彼女には我々が思っていた以上に想いがあるようで」

アイリス「何…急に声色が変わった…? 綺麗な声…」

みんなが突然の状況に飲み込めていない中、シオンだけは感づいた。

シオン「…………洗脳…か…魔族が考えそうなことだ」

シュロ「ま、魔族!?」

シオン「ああ…それにこの声は…「彼奴」だ」

???「ふふ、気づかれてしまいましたか」

そう言うなり、シオンたちの見覚えのある人に戻る。

間違いなく、その青髪、衣装、声…逆刃十架の1人、カイヤだった。

フクシア「貴方…アスターになにをしたの!?」

カイヤ「貴方が思っていた通りですよ…

それにしても、彼がこの状態では駄目ですね…撤退いたします」

アスターの腕をつかみ、スイッチの目の前に転移される。そして、それを押した。

途端に塔全体が揺れ始める。

シュロ「な、何をしたんだ!?」

カイヤ「時限爆弾ですよ…この塔を破壊するためだけに付けられた…」

アイリス「じ、時限爆弾って…」

カイヤ「それでは、ご機嫌よう…またお会いしましょう。生き延びられたら、ですが」

アスター「待てっ…フクシアたちを外に----!!」

 言い終える前にカイヤがアスターを連れて行ってしまった。

シオン「くっ…まずい…このままだと全員死ぬぞ! 走れ!」

 全員が頷いて駆けだす。

フクシア「アスター……」

走りながらずっとアスターの名を呟いていた。


その頃ヘルクロス城では

クロム「そう…黒曜石の力をもってしても、洗脳が解けそうに…」

カイヤ「ええ…もう少し強めに洗脳しておかないと、あの天使…

フクシアさんに会うたびに解けかけてしまう」

クロムが黒曜石を取り出す。

クロム「じゃあ、あとは任せておいて。すぐ取り掛かるわ。

洗脳が解けて、彼らの味方になられては厄介だものね」

そう言って、その場を後にした。


間一髪で塔から脱出したシオンたち。すぐに塔から離れる。

町の近くまで移動すると、塔の方から大爆発音が…

シオン「あ…危なかったな…」

フクシア「こ、怖かった~…」

みんなが力なくその場に座り込む。


その様子を、天使界の聖堂から見ている大天使がいた。

???「なぜだ…何故フクシアの翼が片翼折れている…まさか…!」


それから少し経ち、悪魔界の聖堂。その大天使が入ってきた。



???「おっ、なんだよ、フリージアじゃねえか。こんな時間にここに来るなんてな。

なんだ夜這いか? 言ってくれればいつだって…」

軽い口調で口角を釣り上げて話す大悪魔。



フリージアと呼ばれた大天使は冷静に即答で返す。

フリージア「寝言は寝て言え。ディアスキア」

大悪魔の方はディアスキア。少々軽いノリの大悪魔である。

ディアスキア「相変わらず固ぇな…で、何の用だよ?」

そう言われれば、フリージアが大剣をディアスキアに突きつけた。

ディアスキアはそれを片手で受け止める。

フリージア「なぜだ…何故フクシアの翼が片翼…!

貴様のせいか? それとも貴様の弟か? 返答次第ではここで貴様を殺す!」

ディアスキア「俺は関係ねえぜ。どちらかっつーと、彼奴だろ」

フリージアは大剣を下げない。

フリージア「なら止めるなりしたらどうだ!? 兄だろう!?

フクシアを堕天使にさせて、天使界から追放する気ではあるまいな!?」

その言葉に、ディアスキアがかなり真面目なトーンで返した。

ディアスキア「フクシアを堕天使にする気はねえよ。

あいつは天使でいる。その方が幸せだろうからな…」

あまりに真面目だったので調子が狂い、剣を下す。

フリージア「お前にしてはまともな返事だな。どうした? お前の弟のことと被ったか?」

ディアスキア「うるせーよ。…フリージア、彼奴を責めんなよ?

あいつ…アスターも被害者だ…魔族に利用された…な」

フリージア「魔族に!?」

フリージアの問いに、これ以上答えなかった。それどころか…調子が戻って…

ディアスキア「それより月が綺麗だぜ~? たまには付き合えよ」

フリージア「そんな事を言っている場合か…

まあ、私達には何もできないがな…ここから降りることなどもってのほか…」

ディアスキア「あいつらだってガキじゃねえ。きっと、解決できる。

いざって時は…彼奴らの記憶を戻せばいい…」

フリージアはため息をつきながらもうなずき、

しばらくディアスキアに付き合うことにした。
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