花と十字架の想い

瑠璃✧*̣̩⋆̩☽⋆゜

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聖武器

花と十字架の想い 35話

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宿の外に倒れていたリナリアという女の子とシスルという男の子。

先に意識を取り戻したリナリアに、事の経緯を聞くことに…

リナリア「…私たちは、事情があって魔王を追っていたんです。

私は、魔王の側にいる大切な人を助けるため…シスルは、魔王に復讐するために…。

でも、魔王のいる大陸と城の場所を確定できた次の日、

シスルは置手紙だけ残していなくなりました…」


シオンたちと逢う前…魔王の居場所を見つけた次の日の朝のこと…

リナリア「シスル…? いないの…? ……置手紙…?」

リナリアが手に取った置手紙の内容は…

シスル『魔王のところには俺だけで行く。絶対に付いてくるな。あいつは俺が倒す。

お前みたいな生半可な気持ちじゃない。足手まといになられても困るから、絶対に来るな』

リナリア「……嘘!? そんな…魔王と本当に戦ったら…

1人で戦ったら…死んでしまうかもしれないのに…!」

リナリアは大慌てで宿を飛び出した。すると外の人たちの様子が騒がしい。

「1人で魔王の城へ…? 無謀すぎる…」

「魔王城がある一年中日の差さない魔の大陸…ゼルク大陸…そんなところに一体何を…」

リナリア「……あのっ! それって、黒い服を着た男の子ですか…!?」

居てもたってもいられずリナリアは声をかけた。

「あ、ああ。そうだよ。君の知り合いか…」

リナリア「船長さん、ですよね。私も、そこへ連れていって下さい!」

「な、何を言い出すんだ」

街の人たちもびっくりしている。それもそうだろう。

リナリア「お願いしますっ、私の大事な仲間なんです…!」

「……わかった。行こう。ただし、無理は絶対にしないでくれ」

渋々、受け入れてくれた。リナリアの目が、本気だったから。


幸いなのかどうなのかわからないが、このクレイドル大陸はゼルク大陸に近かった。

だから、そう時間もかからずに辿り着くことができた。

リナリア「……ここに、魔王城が……」

「…来る前にも行ったけど、無理はするなよ。魔王になんて、勝てるわけないんだからな」

リナリアは一礼してその場を去っていった。

さすがは魔族のいる大陸とだけあって、敵も強い。そして暗い。

でも、最初に船をつけた場所は村になっていて…そこに住んでいたのは、人間だった。

酷く、心を閉ざし、暗い人たちばかりだったが。


そんなことを思いながら、魔王城が見える場所まで来た。

元々は巫女で戦いはとこまで経験がなかったリナリアは

シスルと違い、楽勝、なんていうわけにもいかず、既にあちこち怪我。

リナリア「……あれは……門番…かしら…」

魔王城の前に立っている…人ではない何か…魔族の魔物の姿だった。

リナリア「……シスル…今行くから!」

相手は2人。どう考えてもリナリアには分が悪い。

門番「侵入者か! 取り押さえろ!」

リナリア「邪魔しないで……っ!!」

足に鋭い痛みが走った。本当に一瞬だった。魔族の魔法…詠唱が速すぎる。

ここに来るまでで怪我してしまっていたリナリアはその場に崩れ落ちてしまい、

そのまま魔王の元まで連れられることに。


玉座の間と思われる扉の前まで来たとき…声が聞こえた…。

シスル「うっ……ぐっ…!!」

リナリア「……し、シスル…!?」

扉が開けられた。

門番「フロックス様、侵入者をお連れしました」

魔王フロックス「まだ私に歯向かう者がいたとはな」

リナリアの目に入ったのは、まず奥の椅子の側に立っているのが魔王だろう。

その周りにいるのが魔族の精鋭…。そして何より…

リナリア「シスル…!!」

シスルの体を赤い光が包んでいた。

シスル「いっ…意地でも渡す…かっ! 俺と戦え…マーカ…うあっ!!」

どうやら無理矢理取り出そうとしているらしい…彼の体の中に封じられた…

魔王フロックス「さっさと渡せば楽になる…その肉体、返してもらおう…」

シスル「…っ、断る! 復讐相手に…誰が渡すか…!」

 渡そうとしていないから、相当な苦痛が伴っているのだろう。

それ以外にもこれまでの戦いでシスルの体は傷だらけだった。出血がひどい。

リナリア「シスル…! いいから渡して! このままじゃ、シスルが…!」

門番の手を振りほどいてシスルのほうへ駆け寄ろうとした。そのとき…

リナリア「…っ!?」

首元に鎌が突き付けられた。

クロム「動かないほうがいいわよ? その怪我だと、戦えないだろうし、ね」

リナリア「………あなた……は…まさか…」

一瞬で把握した。この人は自分が探していた人…でも…そんな、まさか…

リナリア「クロム…なの?」

クロム「あら、知ってるのね。初対面なはずだけど」

記憶がない…どうして…。魔王の精鋭…どうして…。下ろされることのない鎌。

突き付けられたままそんなことを考えている間も、シスルの苦しそうな声が聞こえていた。

リナリア「……お…おねが……もうやめて…!!!!」

リナリアが声をあげた途端、シスルとリナリアのことを光が包んだ。


リナリア「…その後、目を覚ましたらここにいた…というわけです」

シオン「魔王の肉体が、シスルの中に封じられて…」

リナリア「はい…でも、シスルは魔王の意識が表に出たことはありません。

よっぽどの強い意志…それが魔王の意識を抑え込んでいるんだと思います…」

今もまだ目を覚まさないシスルのことを心配そうにしながら、話している。

アイリス「リナリアさんが探しているのは、クロム…なんですか?」

リナリア「名前はクロムです。

話し方も、合っている…なのに、まるで別人みたいで…本当に彼女なのか…どうなのか…」

シオンは少し悩んでから、全員と目を合わせて頷いた。

シオン「シスルが起きてから、最終的な決定してくれればいいけど…

俺たちと、一緒に行かないか?」

リナリア「えっ…!?」

ブローディア「私たちも魔族と戦ってるし、魔王を討つってことは私たちも同じだし、

2人だけだと危ないよ?」

嬉しそうにしながらも、少し動揺している。でも、落ち着くとリナリアも口を開いた。

リナリア「あ、ありがとうございます…実を言うと、私も2人だと心配で…

でも…迷惑じゃないですか?」

シュロ「迷惑じゃない。むしろ大歓迎だ」

リナリア「…シスルも、目的が同じなら、文句は言わないと思います…」

(……多分。…正直シスルと2人って気まずい時多いんだよね…)

差し出されたシオンの手を取って握手。

シオン「じゃあ、これからは敬語じゃなくっていいから。お互いにね」

リナリア「はっ、はい! …じゃなくって、うん…!」

後はシスルが目を覚ますのを待つことになった。


そのころ、ディレオン大陸のウラノスの崖では…

レクイエム「…あっち側はピースがそろったかな…あとは武器だけだね…。

魔族側は…もういいのかな? まあいっか。
私はあの人に言われた通りに、これからは……。あははっ♪面白イナァ…♪」

感情の無い声…。レクイエムが1人、笑っていた。
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