花と十字架の想い

瑠璃✧*̣̩⋆̩☽⋆゜

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聖武器

花と十字架の想い 40話

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時刻、23時45分。シオン達の乗った船は、セイクレイ城の側の岸まで来た。

シオン「船、ありがとうございました!」

「気にすんな。急いでるんだろ、早く行ってやれ」

シオンたちは頷いて、王都カイルスまで走って行った。


シオンたちが王都に着いたときには時刻は23時58分。

ギリギリ間に合っ…たというには無理があった。

今、シオン達がいるのは、あくまでも城下町。

そこからセイクレイ城の内部まで2分で行けるとは思えない。

そもそも、魔族が城下町の方を襲わないとも言い切れない。

シオン(何人か、城下に残しておくべきか…? けど、そんな少人数でこんな大きな町は…)

そんなことを考えながら、城の門が見える位置まで来ると…

シオン「…!?」

城の中から爆発音。それに魔法の音や剣がぶつかり合う音まで聞こえてくる。

城下の方は、被害はなかったが、町の人が今の音で外に出てきて混乱している。

フクシア「シオン! 私とアスターは、町の人たちをなんとかする。だから行って!」

シオン「…けど…!」

アスター「俺たちなら大丈夫だ。幸い、こっちに魔族が来る気配はない。

おそらく転移で直接城の中に入って城だけを落とすつもりだろう」

 迷っている時間など無かった。

シオン「…わかった」

アスター「あ、それと…」

城の中に行こうとしたシオンをアスターが引き止めた。

アスター「呪剣・ウロボロス…だったか。俺が預かっておく」

シオン「え?」

アスター「魔族はそれを狙っている。

魔族が大勢いる城の中でそれを守りきれるとも限らない」

アスターの言うことはもっともだった。これを奪われるわけにはいかない。

シオン「頼んだ。けど…絶対に振るうなよ。

眠りについている状態とはいえ、いつ目覚めるかわからない」

アスター「了解だ」
 

アスターに剣を託して、シオンたちは城の中へ入った。

もうそこは戦場…あちらこちらに魔族がいて、セイクレイ城の兵士が戦っている。

アイリス「…酷い…」

シオン「…ローレル将軍たちは、きっと王様のそばにいるはず!」

武器を構えて、玉座のままで走り出した。


その頃、ローレルたちは…

ネメシア「…どうして、こんなことに…」

ローレル「いや、前から予想してたことだけどな。

狙いは黒曜石奪取と俺ら将軍、そしてガイラルディア王の始末か」

(おそらく、ここに来るのは俺たちと同じ将軍…逆刃十架のやつらだろう……)

ローレルが王様の方を振り向いた。

ローレル「ここは俺に任せて、王様はネメシアと逃げてくれ!」

ネメシア「な、なに言ってるの!? 1人でここに残る気!?」

ローレル「王を失うわけにはいかない。とはいえ1人で逃がせるわけねえ。

娘のお前がついて行けよ」

ネメシア「でも!! …!!」

ネメシアが迷っている間にも、兵士のやられる声が聞こえる。

ローレル「いつここまで魔族が来るか分かんねえ! 早く行け!!」

ネメシア「……わかった…ローレル、死なないでね!」

軽くローレルが頷いて、思いっきり笑顔を見せた。

ローレル「頼んだぜ、ネメシア!」

ネメシア「うんっ!!」

ガイラルディア「ローレル…」

ガイラルディアが何かを言おうとしたのを、ローレルが止めた。

ローレル「…行って下さいよ!」

ローレルに後押しされる形で、ネメシアとガイラルディア王は

抜け道を通って城から抜け出した。

そのタイミングで、下級の魔族兵が玉座の間に素謡乗り込んできた。

ローレル「…へっ、こんな奴ら、蹴散らしてやるぜ!」

ローレルが構えた黒い大剣。ブラックダイヤで出来ているかのような綺麗さがあった。

ローレル「ヘルウィング!!」

黒い翼が敵を一掃した。下級兵ごときじゃ、ローレルには敵わない。


ローレル「……ははっ、出てこいよ、いるんだろ? ……ジェイド」

その言葉を合図にしたかのように、逆刃十架が全員その場に転移してきた。

ローレル「うわっと! お前ら全員で来たのかよ、大掛かりだなぁ」

カイヤ「お久しぶりですね、ローレル」

ジェイド「魔族のくせして、なんで人間側につく!」

ジェイドの言葉に、ローレルは即答した。

ローレル「簡単だろ? 俺は人間が好きだからだよ!」

逆刃十架4人を目の前にしても、怯みもせずに声をあげる。

ローレル「お前らも、趣味が悪いのは相変わらずみてぇだな。
アメシスは傍観、クロムは洗脳、カイヤは策略、ジェイドは残虐。シオンたち、迷惑してるぜ?」

んなこと言ったって、ジェイド達が聞く耳を持つわけもない。

アメシス「…ローレル、私たちの元に戻るつもりは…」

ローレル「ねえよ。全くな」

そう答えられてアメシスが少しさみしそうな表情をしたが、

すぐに元に戻り逆刃十架は武器を構えた。

その時ドタバタと足音。

シオン「ローレル将軍!!」

シュロ「ご無事ですか!?」

ローレル「え、あいつらか…!?」

シオン達がこっちに向かってくる。

ジェイド「ちっ、おい、クロム、アメシス、お前らはここから逃げた2人を追え!」

クロム「全く、人使い荒いわね」

アメシス「…わかりました」

そう言って、アメシスたちは転移で城の外へ出た。

シオン「…! ローレル、王様とネメシア将軍は!?」

ローレル「南の方へ向かった」

シスル「…俺がそっちに行く」

シオン「シスル!?」

シスルがそう、言い出した。それに続いて…

ブローディア「私も行く」

アイリス「私も…」

リナリア「うん、王様庇いながらじゃ、ネメシア将軍も戦いづらいだろうし」

アイリスもいるなら、回復に問題はないか。

こっちにシュロとレオノティスさえ残っていれば回復役は何とかなる。

シオン「…わかった。死ぬなよ!」

シオンに言われ、アイリスたちは外へ飛び出した。

ローレル(……シスルか…なんか似てるな。…あの王子に…

けど、生きているわけがない。もしかして…。

ちっ、この戦いが終わったら、あの国のこと、もう一回調べるか…!)


カイヤ「ふふ、久しぶりですね、レオノティスさん、シュロさん」

レオノティス「ああ、ミーミル湖以来か」

シュロ「あの時と同じとは、思わないことだな…!」

その様子をみて、ジェイドが

ジェイド「カイヤ、そいつらはお前に任せる。俺はこいつらを殺る」

カイヤ「お1人で大丈夫ですか?」

ジェイド「心配いらねぇよ」

そう言って、双剣を構えた。

ジェイド「さあ、かかってくるんだな! シオン! そして…魔族の裏切り者!」

シオン「え…?」

(ローレル将軍が…魔族の裏切り者…!?)

急なことに思考が追い付かなかったが、そんなことを考えている暇など無かった。
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