花と十字架の想い

瑠璃✧*̣̩⋆̩☽⋆゜

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聖武器

花と十字架の想い 49話

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兄の事でシスルと衝突してひとりで森の中に迷い込んでしまったブローディアを探して、

シスルは友達のカラス…ゼロの後を追っていた。

このカラスも精霊なのだが、今は怪しまれぬよう、喋らない。

ゼロの向かった方角に走っていっている頃、ブローディアは…
 

ブローディア「………ぅ…」

ブローディアの目の前には魔獣。最奥に行くために通る道ではなかったので、

ツァイとセレスタも倒していなかったのだろう。

ブローディア(…こんな事なら、飛び出してこなければ良かった…!

迷ってる場合じゃないってことはわかってたのに…怒ったりして…)

「…! きゃあ!?」

間一髪かわしたが、長くもたない。

さっきのツァイとセレスタの時に魔力をほぼ使い果たしてしまったせいで

攻撃魔法も転移魔法も使えない状態だった。

ブローディア「…ごめん、みんなっ…私の分までお兄ちゃんを救ってあげて…!」

木に追いつめられて覚悟を決めて目をつぶった。が、魔獣の攻撃は来なかった。

ブローディア「…? なん…??」

うっすら目を開けると、黒衣を着た人…シスルが魔獣の攻撃を短刀で受け止めていた。

ブローディア「シスル!?」

シスル「…なに人任せにして諦めてんだよ。お前の兄だろ。お前が救え」

救うことを前提にして話してくれるシスルに対して

ブローディア「…救おうとして…いいの?」

シスル「お前が死んで戦力が削がれるのも困るからだ。

だからお前の期待に乗る。それに……

…何もできず救えなかった時の無力感は…大きいからな」

ブローディア「え?」

最後の方は何を言っていたのか聞き取れなかった。

シスル「良いからお前は下がってろ! どうせ魔力が無いんだろ」

そう言って魔獣を一回突き刺し、自分の方へ注意を向けさせた。
 

それを上空から見つけたアスターとフクシアは…

フクシア「早く、シオン達をここに!」

アスター「ああ、転移魔法でここまで連れてこよう。

歩いたり、一人ずつ運んでいる時間はない」

急いでシオンたちの元まで飛んでいく。

アスター「…でもシスル、結構仲間想いだよな」

フクシア「うん…素直になれないだけなのかも」


シオン「ブローディア、見つかったかな?」

アイリス「大丈夫だよ、きっと…」

連絡待ちのシオンたちの方は不安でしかたなかった。と、そこへ…

リナリア「あっ、アスターとフクシア!」

アスター「みんな! ブローディアとシスルを見つけた。魔獣に襲われている!」

シオン「え!? 二人とも、いっしょに!?」

フクシア「多分、シスルはブローディアを探しに行っていたんだと思う…

転移で連れて行くから、みんな集まって!」

レオノティスはどうするか。

ここに置いていくわけにもいかないが、行く先は魔獣の所。

レオノティス「…俺も行く。アイリスとこの馬鹿の回復のおかげで

完治とまではいかないが、動けるようにはなったからな」

シュロ「…無理するんじゃないぞ? って、馬鹿は余計だ!」

とかなんとか言いながらもレオノティスに肩を貸してあげている辺り、良い友人。

そしてライバルなんだろうなと思う。

フクシア「じゃあ、始めるね」

なにぶん、数が多いのでフクシアとアスターの二人がかりで転移魔法を唱える。

魔力の消耗はかなり大きいはずだ。
 

そのころ、一人で魔獣に立ち向かっていたシスルも限界が来ていた。

本当の意味で一人ならまだしも、

今は戦えないブローディアを守りながらになってしまうため、思うように動けなかった。

もともと防御よりは回避特化しているが、今は攻撃を受け止めないと

ブローディアに攻撃が当たってしまう可能性があったからきつかった。

シスル「ちっ…」

舌打ちしたシスルの方へ魔獣が近づいてくる。

その時…目の前に転移で来たシオン達が現れた。

シスル「お前等…!?」

シオン「ありがとう、シスル!

ブローディアのこと守ってくれてて。二人とも無事で良かった!」

自分に向かってお礼を言うシオンに「違う」といいたかったが、

なぜか言葉が出てこなかった。

アスター「はあっ!」

アスターが魔獣の前足を斬りつける。そのおかげで体勢が崩れた。

アイリスとレオノティスはブローディアの方へ向かう。

アイリス「ブローディア、怪我はない?」

ブローディア「アイリス…レオ…うん、私は大丈夫」

レオノティス「アホが…仲間の一人も連れずに森を駆けまわる奴があるか」

呆れるように言いながらも、その顔はどこか安堵していた。

アスター「シオン! シスル! こいつの両翼を斬れ!

こいつの弱点はそこだ。そこを斬れば動けなくなる!」

シオン「シスル、頼む!」

シスル「…わかってる」

そう言って、シオンは右翼、シスルは左翼に向かって攻撃した。

シオン「地龍閃!」

シスル「影斬舞!」

二人の攻撃を食らった魔獣は大声を上げてその場に倒れ、動かなくなった…はずだった。

死んだと思って、ブローディアの方を振り返る二人の背後で…

魔獣が最期の力を振り絞って立ち上がった。

シオン「なっ!?」

完全に不意をつかれたシオン達は避けられない。

シュロ「シオン、シスル!」

攻撃を喰らってしまう。そう誰もが思った時、魔獣の背を誰かが切り裂いた。

シオン「…え…?」

セミロングぐらいの黒髪の男性が剣を収めてシオンたちの方へ振り返る。



???「大丈夫か。詰めが甘い。もう少し気をつけろ」

その人が剣を収める。

どこかの鎧だろうか。セイクレイ城の? でも、将軍のとは何か違った。

そして、その人に対してシオンが声をかけた。

シオン「……バジルさん」

アイリス「シオン…知り合い?」

シオン「ああ、セイクレイ城の次期将軍候補の人だよ」

(そして…クロッカスの兄…)

バジル「シオン…ああ、お前か。久しぶりだな」

そう言ってバジルは一瞬微笑んだが、その後ふと顔を伏せた。

その口元から笑みが消えていて、

右手が鞘に収めた剣の柄に触れたのを、誰も気づかなかった。
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