花と十字架の想い

瑠璃✧*̣̩⋆̩☽⋆゜

文字の大きさ
67 / 80
聖武器

花と十字架の想い 67話

しおりを挟む
ブローディア「シオン! ローズが目を覚ました!!」

シオン「本当!?」

ローズが、ゼルク大陸に着く少し前で目を覚ました。

ローズ「…みんな…私みたいなの、助けて良いの? 魔族だよ?」

シュロ「それを言ったら、種族が違えば妖精でもエルフでも、みんな敵なのか?」

シオン「…シュロ…そうだな。お前は、カイヤに斬られた。戻るところもないだろう?」

力無くうなずくローズ。

ローズ「私ね、カイヤ様に助けられたの。ドジでいじめられててね。

でも、今思えば手駒が欲しかったんだと思う。恩を着せてね。

じゃなきゃ! あんなところになんかいないわ!」

ローズは、魔王軍のやり方には反対だった…?

ローズ「まあ、私の事は後で考えてよ。少なくともみんなに危害は加えない。

というか、加えるだけの戦闘能力はないしね。急いでるんでしょ?」

ああ、知っていたのか。なら、お言葉に甘えさせてもらおう。

でも一人じゃ…

アスター「俺がここに残る。船長じゃもしもの時にどうしようもできない。

シオンたちはアイリスの事を頼む」


魔王城のあるゼルク大陸。

ここは陽が差さない。草木も枯れていて、空には蝙蝠。

村があったと思われる場所は墓だらけ。

船でここまで来たシオンたちは、独りだけ生き残っていた女性と出会う。

シオン「…貴方は…貴方だけ、無事なんですか?」

「…はい。私だけは、ここの墓守がいなくなっては、という理由で、アメシスに生かされています。

私だけは殺されないようにしてくれたのです…」

シュロ「…でも」

「貴方達は、これから魔王城へ?」

ブローディア「うん、そうだよ。私達の仲間が、連れてかれたの」

「…急いでください。助け出す方法はきっとあります。その人を信じてください。」


リナリア「生かしてもらえてる…ならいいのかな…」

シスル「多分逆だな。あの場合、死んだほうがましかもしれない。」

レオノティス「墓守ため、他の大陸に行くことも許されず、

ずっとここで生きていた者にとっては、別の場所に行ったところで知り合いなんていない。」

ブローディア「……」

シスル「…どうするかはあいつ次第だ。それはともかく…あれが魔王城だ」

大きな城。とんでもなく広そう。

シオン「正面突破…は、考えない方がいいか…裏口か何かあるか?」

リナリア「こっちにあるよ。ついてきて」

リナリアに付いて行くと、石碑のようなものが。

シスル「『我、破滅と支配を望むもの』」

シスルがそういうと、石碑がずれて階段が現れた。

シスル「ここから地下を通って、城内部へ上がればいい。」

シオン「わかった…それじゃあ…」

行こうと言いかけたその時、転移魔法が。

セレスタ「行かせはしない」

ブローディア「やっぱり素直にはいかない…!」

死鎌刃魂・セレスタ。

足止め役といったところか。

レオノティス「……俺が引き受ける。」

シュロ「レオ!?」

レオノティス「お前達は先へ行け。時間が無いだろう。

シュロ…カイヤは任せる」

シュロ「……死ぬなよ」

レオノティス「誰に言ってる!」

そのままレオノティスに任せて急いで階段を駆け下りる。

セレスタ「…薄情な奴らだね。アンタもいいの?」

レオノティス「薄情じゃない。自分がやるべきことを優先させたまでだ。

…アイリスは仲間だ。彼女の死は、俺達の死に…リーダーの死に他ならない!」

テイル「テイルも手伝うルイー!」

刹那、両者の銃声が響いた。


この銃声は地下に入ったシオンたちにも聞こえた。

おそらくレオの銃撃でセレスタも接近戦ができないのだろう。

先ほどから銃声しか聞こえない。

シオン「…これからも門番がいると考えた方がいいな」

ブローディア「出てくるとしたら、やっぱり死鎌刃魂かな?」

今回はアメシスに関わる事だ。逆刃十架は玉座だと考えた方がいいだろう。


できるだけ見つからないように移動して、やっと城の内部まで上がってきた。

フクシア「ブローディア…逸れないようにね? 何か、すっごく広いから…」

ブローディアは明らかに不満そう。

シオン「当たり前だ。アイリスの事が心配だとしても、

迷子になられたら探せないからな?」

シスルに緊張感がない、と呆れられるが、こうやってないと

不安で押しつぶされそうなのは確かだった。

探索して、やっと次の階へ行く階段を見つけると、その先が少し広くなっている。

案の定そこに転移魔法。

ツァイ「……」

シオン「やっぱり死鎌刃魂か…足止めか?」

ツァイ「どうして…間に合わない事を…」

ブローディア「間に合わせる!」

話しても無駄とばかりに、チャクラムを構える。

フクシア「ツァイ、私が相手になるわ!」

ブローディア「フクシア!」

フクシア「間に合うって事を…示してあげよう!」

そういって、シオンたちをツァイのすぐ後ろまで転移させる。

シオン「必ず後から来るんだ!」

それだけ言って、階段を駆け上がる。

ツァイ「何に、希望を視ているの?」

フクシア「私達のリーダーは不可能を可能に変えるわ。

必ずね…!」


シオン「ここで、二階か?」

ブローディア「何階まであるんだろう…」

リナリア「多分。三階よ」

最低でも後一人番人がいるとして…レサイトだろう。

やる気ないとか言ってすっぽかしている事を願いたいが…

シュロ「戦いながら登っていると疲れるな…今までの番人相手にしていたら、

とっくに過労で潰れているぞ…」

二階はあまり広くない代わりに、あちこち防御壁で通れなくなっていた。

だから割と遠回りさせられ、時間を喰う。

シオン「シスル! 階段そっちにあるか?」

シスル「…ある。そこを右から回り込めば通れる」

手分けして階段を探して通り道も探してやっと来た、二個目の広間。

そこにもやはり…転移魔法が作動する。

レサイト「魔王様が気にしろーって言うから来たけど、またお前ら?

懲りないよね…魔王様に刃向うの」

シオン「魔王討伐なんて二の次だ。今はアイリス奪還だ」

レサイト「もう手遅れだって。分かってる?

命を奪うとかそういう事じゃない。あの子は、アメシスの中に戻ってしまう。

救う方法があるとしたら…シオンがあの子ごとアメシスを斬って魂を解放するか、

肉体を返してほしいんなら、アメシスの意志で返してくれないと無理なんだよ」

その言い方は…もうアメシスの中にアイリスがいるということなのか?

シスル「…迷ってないで、自分で確かめてきたらどうなんだ?」

シオン「シスル?」

シスル「…今までみたいに、奇跡起こして来い。こいつの相手は俺がやる」

リナリア「シスル…私も!」

振り返って、シスルがリナリアに一言。

シスル「友達と因縁があるんだろ。あんたは行けよ。巫女様」

リナリア「!!!」

シオン「くっ…行くぞ!」

最後の階段を駆け上がる、その途中で…

シオン「シスル! 死なずに、倒せよ!」

シスル「……」

返事はなかったが言うだけ言って走り出す。

シスル「行ったか…」

レサイト「お前だけで俺の事止められると思ってんのー?

やる気ないけど、実力はあるつもりだけど」

シスル「シオンがいれば、あいつは帰って来る。だからシオンを生かす、それだけだ」


長い階段が続く。

現時点でここを走るのはシオン、シュロ、ブローディア、リナリアだけだ。

明らかに大きい扉が目の前にある。

シオン「この先、か……?」

ブローディア「アイリス……」

リナリア「必ず助けようね」

シュロ「アイリスを助けてさっさと帰るぞ。レオ達も全員連れて」

ぎぃーっと音を立てて扉が開く。


ジェイド「待ってたぞ。やっぱり来るか」

カイヤ「ああ、シオンさん。

ローレル将軍とネメシア将軍、バジルさんは生き延びたようですよ」

クロム「何をしに来たのかは分かるけど…手遅れだったようね?」

アメシス「……魔王様の体は馴染みました。そして、アイリスは…」

しばらくにらみ合いが続くと…

???「アイリスは今、アメシスの中にいる。だから言っただろう。手遅れだと」

アメシスの横に座っていた知らない奴がゆっくりと立ち上がる。

シュロ「まさか……」

ブローディア「あんたが……」

リナリア「本当に……」

シオン「魔王……」

マーカサイト「私こそ、魔王……マーカサイト」

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

「がっかりです」——その一言で終わる夫婦が、王宮にはある

柴田はつみ
恋愛
妃の席を踏みにじったのは令嬢——けれど妃の心を折ったのは、夫のたった一言だった 王太子妃リディアの唯一の安らぎは、王太子アーヴィンと交わす午後の茶会。だが新しく王宮に出入りする伯爵令嬢ミレーユは、妃の席に先に座り、殿下を私的に呼び、距離感のない振る舞いを重ねる。 リディアは王宮の礼節としてその場で正す——正しいはずだった。けれど夫は「リディア、そこまで言わなくても……」と、妃を止めた。 「わかりました。あなたには、がっかりです」 微笑んで去ったその日から、夫婦の茶会は終わる。沈黙の王宮で、言葉を失った王太子は、初めて“追う”ことを選ぶが——遅すぎた。

【完結】冷酷伯爵ディートリヒは、去った妻を取り戻せない

くろねこ
恋愛
名門伯爵家に政略結婚で嫁いだ、正妻エレノア・リーヴェルト。夫である伯爵ディートリヒ・フォン・アイゼンヴァルトは、 軍務と義務を最優先し、彼女に関心を向けることはなかった。 言葉も、視線も、愛情も与えられない日々。それでも伯爵夫人として尽くし続けたエレノアは、ある一言をきっかけに、静かに伯爵家を去る決意をする。 ――そして初めて、夫は気づく。 自分がどれほど多くのものを、彼女から与えられていたのかを。 一方、エレノアは新たな地でその才覚と人柄を評価され、 「必要とされる存在」として歩き始めていた。 去った妻を想い、今さら後悔する冷酷伯爵。前を向いて生きる正妻令嬢。 これは、失ってから愛に気づいた男と、 二度と戻らないかもしれない夫婦の物語。 ――今さら、遅いのです。

はじめまして、私の知らない婚約者様

有木珠乃@『ヒロ弟』コミカライズ配信中
ファンタジー
ミルドレッド・カーマイン公爵令嬢は突然、学園の食堂で話しかけられる。 見覚えのない男性。傍らには豊満な体型の女性がいる。 けれどその女性から発せられた男性の名前には、聞き覚えがあった。 ミルドレッドの婚約者であるブルーノ王子であることを。 けれどミルドレッドの反応は薄い。なぜなら彼女は……。 この世界を乙女ゲームだと知った人々による、悪役令嬢とヒロイン、魔女の入れ替え話です。 悪役令嬢を救いたかったはずなのに、どうしてこんなことに? ※他サイトにも掲載しています。

公爵令嬢は結婚式当日に死んだ

白雲八鈴
恋愛
 今日はとある公爵令嬢の結婚式だ。幸せいっぱいの公爵令嬢の前に婚約者のレイモンドが現れる。 「今日の結婚式は俺と番であるナタリーの結婚式に変更だ!そのドレスをナタリーに渡せ!」  突然のことに公爵令嬢は何を言われたのか理解できなかった。いや、したくなかった。 婚約者のレイモンドは番という運命に出逢ってしまったという。  そして、真っ白な花嫁衣装を脱がされ、そのドレスは番だという女性に着させられる。周りの者達はめでたいと大喜びだ。  その場所に居ることが出来ず公爵令嬢は外に飛び出し……  生まれ変わった令嬢は復讐を誓ったのだった。  婚約者とその番という女性に 『一発ぐらい思いっきり殴ってもいいですわね?』 そして、つがいという者に囚われた者の存在が現れる。 *タグ注意 *不快であれば閉じてください。

初夜に暴言を吐いた夫は後悔し続ける──10年後の償い【完結】

星森 永羽(ほしもりとわ)
恋愛
王命により、辺境伯ロキアのもとへ嫁いだのは、金髪翠眼の美しき公爵令嬢スフィア。 だが、初夜に彼が告げたのは、愛も権限も与えないという冷酷な宣言だった。噂に踊らされ、彼女を「穢れた花嫁」と罵ったロキア。 しかし、わずか一日でスフィアは姿を消し、教会から届いたのは婚姻無効と慰謝料請求の書状──。 王と公爵の怒りを買ったロキアは、爵位も領地も名誉も奪われ、ただの補佐官として生きることに。 そして十年後、運命のいたずらか、彼は被災地で再びスフィアと出会う。 地位も捨て、娘を抱えて生きる彼女の姿に、ロキアの胸に去来するのは、悔恨と赦しを乞う想い──。 ⚠️本作はAIの生成した文章を一部に使用しています。

つまらない妃と呼ばれた日

柴田はつみ
恋愛
公爵令嬢リーシャは政略結婚で王妃に迎えられる。だが国王レオニスの隣には、幼馴染のセレスが“当然”のように立っていた。祝宴の夜、リーシャは国王が「つまらない妃だ」と語る声を聞いてしまい、心を閉ざす。 舞踏会で差し出された手を取らず、王弟アドリアンの助けで踊ったことで、噂は一気に燃え上がる――「王妃は王弟と」「国王の本命は幼馴染」と。 さらに宰相は儀礼と世論を操り、王妃を孤立させる策略を進める。監視の影、届かない贈り物、すり替えられた言葉、そして“白薔薇の香”が事件現場に残る冤罪の罠。 リーシャは微笑を鎧に「今日から、王の隣に立たない」と決めるが、距離を取るほど誤解は確定し、王宮は二人を引き裂いていく。 ――つまらない妃とは、いったい誰が作ったのか。真実が露わになった時、失われた“隣”は戻るのか。

さようなら婚約者

あんど もあ
ファンタジー
アンジュは、五年間虐げられた婚約者から婚約破棄を告げられる。翌日、カバン一つを持って五年住んだ婚約者の家を去るアンジュ。一方、婚約者は…。

夫と息子に邪険にされたので王太子妃の座を譲ります~死に戻ってから溺愛されても今更遅い

青の雀
恋愛
夫婦喧嘩の末に置き去りにされた妻は、旦那が若い愛人とイチャついている間に盗賊に襲われ、命を落とした。 神様の温情により、10日間だけこの世に戻った妻と護衛の騎士は、その10日間の間に心残りを処分する。それは、娘の行く末と……もし、来世があるならば、今度は政略といえども夫以外の人の妻になるということ。 もう二度と夫と出会いたくない彼女は、彼女を蔑ろにしてきた息子とも縁を切ることを決意する。 生まれかわった妻は、新しい人生を強く生きることを決意。 過去世と同じ轍を踏みたくない……

処理中です...