花と十字架の想い

瑠璃✧*̣̩⋆̩☽⋆゜

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決戦

花と十字架の想い 73話

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アスターとフクシアが戦っていた頃、

まっすぐ進んでいたシオン達は…

シオン「…扉…;;;」

アイリス「押しても引いても開かないし、鍵穴もない…」

開かない扉の前に立ち尽くし。

ブローディア「装置待ってなくても魔法で壊せば!! 天の雷、落ちろ!」

シュロ「ちょっ! 無理にそんなことしたら!!」

ブローディアが撃ったサンダースピアは、幸いにも爆発や跳ね返るなどはなかったが、

扉が吸収した感じでビクともしない。

レオノティス「…無理だな」

シオン「やっぱり装置が…少し近辺探してみよう」


一方、シスルは…

シスル「魔族の量…笑えないな。けど…」

アサシンに加え、単独行動だったため、できるだけ回避はできていた。

やむを得ない戦闘は闇家で仲間に気付かれる前に仕留めた。

シスル「っ! 何だこれ…扉?」

走り抜けた先、時計の絵が描かれた扉が現れた。

レサイト「くぐっておいでよ。何で一人で来たのか知らないけどー」

シスル「…ここにいるのか…」

少し重かったが、開かない事はない。意を決して扉を開く。


シスル「っ! …眩しっ…!」

途端に酷く眩しい光が包む。目を開けると、これは、一番嫌な記憶…

シスル「…なん、で…」

広がるのは火と血の海で、燃えているのは城で…

レサイト「ここはね。入った奴の一番忘れられない。

それでいて、一番負の感情が強くなった時の光景が舞台になるんだよ。」

その中央で立っていたのは声の主。レサイト。

シスル「……レサイト」

レサイト「俺はよく知らないんだけどさ。これ…

ディペアード国が滅んだ時、だよね?」

その通りだ。ここで両親は死に、この後、自分に魔王の肉体が移った。

もともと支配国家だったディペアード国の滅亡は、周りには喜ばれ…

シスル「……悪趣味だな…」

黙って槍を構える。

レサイト「で、お前は構えないの? 死ぬ気なら、殺してあげるけど♪」

無論、死ぬ気なんてない。シスルもその声で短刀を構える。

シスル「……!」

レサイト「うん…!」

同時に踏み込んで武器同士の火花が散る。

シスル「お前! 面倒臭がりだろう! …大人しくしてろ!」

レサイト「ごめーん。今はそういうわけにもいかないから、さ!!」

今までは本当に手加減、というか、やる気が無かったのか。

あり得ないほどに槍捌きがうまい。

一瞬でも気を抜けば心臓か喉は間違いなく突かれるだろう。

けれど多分、押されてしまっているのは相手の腕がいいだけじゃない。

シスル「ぐっ…っ!?」

嫌でも目に入る炎。焼けて崩れる壁。

血のにおい…

シスル(なんで光景だけのはずなのに…

音や時間とともに変わる状況、においまで…)

「っ…月陰殺!!」

それを気にしないためにがむしゃらに剣を振るう。

レサイト「こんな大振りじゃ! 闇雷槍!!」

シスル「…っ!」

間一髪、横に避けてかわす。

そのまま何とか間合いを取る。

レサイト「今のかわすなんて、やっぱり結構やるんだねー。

さすがは暗殺者…いや、元王子様?」

物凄い笑顔で言ってくるあたりに悪意を感じる…

シスル「……俺は、ローレルにお前を止めろてくれと頼まれた。」

レサイト「あー、あの将軍さん? そっか、来れないもんね。

今頃向こうには魔族の兵が…」

シスル「…! …あいつは、お前を弟って…」

レサイト「だから俺に兄なんていないよ」

食い気味に否定された。

決戦前夜、リナリアとローレルとネメシアと話していた時、ローレルから聞いた話だ。

レサイト「まーそれはそれとして。俺もそろそろ本気出さないと、キリがないかな」

シスル「……? なっ!!」

黄色く淀んだ光が辺りを包む。

目を開けた時にいたのは、グリフォン。

レサイト「この業火の中! グリフォンの姿は結構かっこいいでしょー?」

シスル「レサイト……」

瞬間、大きく羽ばたいて暴風が巻き起こる。

そのせいで周りの炎の勢いが一気に増す。

レサイト「この炎の中に入れられないように、精々気を付けてねー?」

逃げ場が少ないこの状況で、どう気を付けろと言うのか。

そう考えている間に、グリフォンがこっちに急降下してきた。

シスル「ぐっ…くそっ!」

足に短刀を突き刺して踏ん張るが、さすがに向こうの方が力が強い。

すぐ後ろには炎。熱もちゃんとある。巻き込まれればただでは済まない。

レサイト「このまま燃えて、家族の所に逝けばいい!!」

シスル(家族……)


「逃げて…!」

「貴方が選ぶ道が何であれ、貴方は私達の誇りです!」

「だからどうか…生き延びて幸せに…!」


シスル(俺は…

家族のためにも死ねはしない…!)

そう強く想った時、聖武器が光り出した。

レサイト「え! 何!? うわっ!?」

レサイトから後ろへ距離を取る。

光の守護を利用して炎の中に一度入り込む。

レサイト「ど、どこ行ったんだ!?」

シスル「こっちだ!!」

飛び込んだ炎とは真逆の炎から飛び出してくる。

位置としてはレサイトの真後ろだ。

シスル「ゼロ・オリジン! アサルト・リッパー!」

レサイト「くっ、この…!!」

すぐさま風の鎧をまとわせるが、

シスルのゼロ・オリジンは風の鎧さえ切り裂いて…

シスル「これで…倒れろ!!」

最後の一撃がグリフォンの体に深く食い込んだ。

魔獣化が解ける閃光の後、その場にレサイトが崩れる。


レサイト「…結構、今日は…頑張ってたんだけどな……」

シスル「あの景色、お前の力だったのか…」

さっきまで燃えていた炎や城は跡形もなく消えていて、

ただの魔王城の一室となっていた。

レサイト「そーだよ…はは、乗り越えたんだね、過去を…

…操作、していきなよ。それが、二階層に行くための装置だから。」

力が入らないのか、すごくゆっくりとした動きで装置を指さす。

シスル「…わかった」

レサイトを通り過ぎてその後ろのレバーを下げる。

どこかでガタンという音がしたので、恐らく扉が開いたのだろう。

シスル「レサイト。お前…は…!?」

振り返ったらすぐそばまでレサイトが来ていた。けれど、武器を持っていない。

シスルは念のため、まだ帯刀せずに持っていた短刀を構えようとするが、

そうする前にレサイトがシスルの腕ごと短刀を握る。そしてーー

レサイト「ぐっ…!」

シスル「お前、何やって…!?」

シスルの短刀を自らに突き刺した。

レサイト「お前、暗殺者、でしょー? 駄目だよー、トドメ刺さないと…。

向いてないんじゃない……?」

シスル「………」

レサイト「……伝え、といて…ほしいんだけど…」

【……ローレル兄さん……ごめん……ありがとう……】

・・・・・・・・・・・

シスル「……伝えておく」

レサイトをその場に横たわらせる。

シスル(覚えていたのか…それともダメージによるショックで思い出したのか知らないが…

……元には戻せなくても、思い出す事は、遅くないのかも、しれないな…)

「ローレル。…頼み事は果たしたからな」

そう呟いて、その場を駆け足で去る。シオン達の後を追って。


シオン「結局装置はこの辺には無かった…って……」

一通り探し終えて、三人を探してこようか、となった時…

ガタンと物音を立てて扉が開く。

アイリス「開いた!」

レオノティス「彼らがゃってくれたようだな…」

後ろを見てみるが、まだ誰も来ていない。

シュロ「どうする?」

ブローディア「休んでいるかもしれないし…私達は先へ進もう」

リナリア「…そうだね。」

シオン「……分かる。感じる。この先は、逆刃十架がいる……」

激戦を覚悟の上で、その階段を上って行った。
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